第7話 整体院、始動!
ギルドで素材を換金してもらい、私は服屋に行った。
「い、いらっしゃいませ!」
「邪魔にならない、比較的軽めの全身装備をもらおうか。」
「ええ、こちらへどうぞ!」
茶髪をショートボブにした、細身で背の高い女の人は、私を奥に案内すると採寸を始めた。
「私はメラニアと申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
初見の客なのにずいぶんと手厚いなと思っていたら、メラニアさんはそっと言ってきた。
「あなた、『最強格闘少女』のアオバさんですよね?」
「ん!?」
この人もそっちでプレイしてた人か。
「あ、まあ、そういう二つ名があるようだが……」
私の目標は、つつがなくひっそりとゲームを楽しむこと。この人にも口止めしておかなくちゃ。
「こちらを始めたことはまだオフレコだ。ここまでもひっそりと人目を忍んでやってきたのだ。もしばらしたりしたら……そこから先はあまり言いたくないのだが」
そう静かに告げて、意味ありげに視線をそらして口をつぐんでみる。この脅しはずいぶん効いたらしい。メラニアさんは、
「は、はい!」
と身をきくんとすくませ、そそくさと採寸を済ませた。
「お、お客様ですと、こちらの忍者装束をアレンジしたものがいいかなと思いますが……」
「これが忍び装束?ずいぶんと赤いな」
「ええ、忍者は、本当は黒ずくめではなく、柿のような、こういう赤っぽい服を着ていたようです。和装は見た目にもよく合っていらっしゃるし、ちょうどいいかなと……。」
「そうだな、そちらをいただこうか。代金はいくらだ?」
指定された額は手持ちで十分払える金額だったのでその場で払い、口止め料としてちょっと上乗せした。
「では、細かい修正などを加えて、三日後にお渡しします!」
そうして私はメラニアさんの店を後にした。
廃病院の近くまで来たのでいったん「透明化」で姿を消し、廃病院のドアを開けて入り、鍵をかけて「透明化」を解除した。見た目を「コユキ」に変え、再びドアを開けて、今度は「透明化」を使わずに堂々と表に出る。
「お、おいそこの小娘!」
あれ、これは……「アオバ」の時にへいこらしてきたおっさんか。
「お前、なんだってあそこの廃病院の鍵を持ってるんだ!」
「なんでって、言われましても……」
「あそこは、俺らのボス、セルリアス様が狙ってたエリアなんだ!オメエみてえな小娘が手、出していいもんじゃねえ!」
ああ、ここまで雑魚とは悲しいものだ。こういうやつには、これが一番効くんだな。
「あー、私が開放したんじゃなくて、散歩してたらここを通りかかって、たまたま出てきた女の子に『これ、ここの鍵。』って、鍵をもらったんですよ。」
「ン、そいつはどんなやつだ?」
「真っ黒い髪の毛をポニーテールにした、小柄できりっとしてる子です。」
「ま、まさか、それはアオb……」
「それじゃあこれで!」
こういうのは関わらないに限る。
またメラニアさんのお店に行き、出来合いの白衣を買う。ついでにピンクの白衣をオーダーし、店を出る。その他いろいろな物資を商店街で買い込み、三日ほど後に……
ついに、私の念願の整体院、「コユキ整体院」がオープンした。
ネーミングセンス悪いって言わないで。これが私の精一杯。