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第3話 いきなり戦闘!?

モンスターが飛び上がった。同時に、そばの点滴台が、ガタガタと音を立てる。あれ?足とかは当たってないはずなのに。一瞬気を取られている間に異常に長い爪が迫ってくる。慌ててよけると、耳元を、猛烈な殺意のこもった風がかすめた。モンスターが振り返ると、点滴台はガシャーンと倒れてしまった。もう、モンスターと点滴台をつなぐ管が丸見えだ。

次々と飛んでくる攻撃をかわしつつ考える。点滴台にかかっている袋と管には、赤い液体が満たされている。このモンスターは、ひょっとして……。

飛び蹴りをしゃがんでよけ、試しにその管を切ってみた。結構力を入れたつもりだったが、傷がひとつついただけだ。切断するのは相当に難しい。

そう判断した私は、とびかかる狂医師の動線を逆になぞって切りつける。本体ではなく、白衣を切り裂く感じで。いっぱいついてる破れ目を、さらに広げるように。次にモンスターが走ってきたときも、同じような要領で。今度は刃先が体も切り裂いたような感覚が走る。ま、ダメージが入るに越したことはないか。なんて思っていたら、モンスターの額の輪がギラリと光った。気がつくと、私のHPも削れていた。こいつ、食らったダメージを跳ね返すのか!お互いのHPの減り具合を見るに、食らったダメージ以上のダメージを返している。下手な攻撃は悪手か。

今度は体に当てないように注意しつつ白衣を切っていく。そして、頃合いを見て、私にかわされてなお突進する狂医師の白衣の背中をつかみ、白衣を引っぺがす。

点滴の管は、あらわになったモンスターの肩を通り、心臓に入っていた。今度のモンスターの跳躍の時、試しに足に手を引っかけてみる。狙い通り彼はあおむけに倒れて着地した。まっすぐに伸びた管をつかみ、思い切り引っ張る。固定していたテープが一気にはがれ、点滴の管がモンスターから抜かれる。


モンスターの肌の色が緑から青に変わり、暴れ方がなお一層激しくなる。しかし、HPバーはじわじわと減少し始めた。やっぱり、あれがないとダメなんだ。っていうかそれならもっと厳重に警戒しなよ狂医師さん。

ダメージを跳ね返されるのは痛いのでさらなるアタックは控え、ひたすら攻撃をよけることだけに集中していると、モンスターは勝手に死んでくれた。


「狂医師」の討伐に成功しました。施薬エリアを開放します。


こんなメッセージが現れ、モンスターの倒れた地点を中心に光の環がすーっと広がる。その環が通った壁や床、天井や調度品は、まるで新品のように美しくよみがえっていく。ふと見ると、目の前に大きな金色の鍵が浮いている。手に取ると、


病院の鍵

元院長の所持品。


とだけ出てきた。

そうか、ボスを倒すことで解放されるエリアだったんだ。納得。

いや、待て。……開放?ということは、もう下の鍵は開いてる?

いやっほう!ここから出られる!

でもその前に……

誰かが入ってきたら、絶対私が討伐したって思われる!いや実際そうなんだけど、私の平穏なプレイヤーライフが……!


慌てて階段を駆け下り、玄関扉の施錠をしっかりと確認して一息ついた。

……あれ?

これ、さっきまでやろうとしてたことと逆じゃない?

まあいいや。

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