第2話 「最強格闘少女」
私の本名はコユキではない。外見もかなりいじっている。
全ては、こっちのゲームではめっちゃ平穏にプレイするため。
前やっていたゲームでは、普通にバトルしていたら、なぜか「最強格闘少女」とかいう二つ名がついていた。ほんで、超筋骨隆々のむさいおっさんが、
「勝負だ!」
なんて言って、バトルを挑んできたりとか。これ、構図的にどうなの?筋肉お化けの大男が、年端も行かない小柄な女子にガチで勝負挑むとこもそうだけど、結局私に負けて半ベソかくところも。それになんで「格闘少女」なのかが、いまいち腑に落ちない。私、体術も使うけど、ナイフとかの武器だって、バリバリ使ってるからね?それなのになぜ「格闘」なのか。
それで、なんだかつまらなくなった。どこに行っても、みんな私の顔を知ってるし、羨望のまなざしを向けてくる。そういうのにうんざりしたんだ。もっと普通に、ゲームを楽しみたかったのに。
だから、今度のゲームでは、生産職でもやって地味に遊ぼうかな、と思っていたら、いきなりヤバそうな場所に転移するし。最悪……。
ま、くよくよ考えたってしょうがない。まずはここを徹底的に調べよう。ひょっとしたら、外に出る方法が見つかるかもしれない。
歩を進める。
診察室には、待合室に通じるドアのほかに2つのドアがあった。一つを開けると、ベッドが4つ並び、入り口には簡単な洗面台がある。こっちの世界にも水道はあるみたいだ。大方魔法だろうけど。鏡をのぞくと、色白の優しげな少女がのぞき返してきた。顔は設定通りという予測は確信に変わった。もうひとつにはベッドがひとつだけ。そのベッドには、杭が4本打たれていた。近くにはロープもある。これは……拘束具、かな……?恐ろしや。
それから木の階段があった。上ると、札のかかったドアが2つ。ひとつには「施薬室」と書かれているけれど、鍵がかかっていて入れない。もうひとつの「院長室」と札のあるドアを開けると……
緑色の肌をした、人型のモンスターが椅子に座っていた。額にはぎらぎら光る環がつき、ところどころ破れた白衣からはがりがりに痩せた手足が伸びている。
狂医師
よからぬものに取りつかれ、正気を失ってしまった院長。
スタッフが消えたという廃病院の説明に合致する説明を読み終えたころ、モンスターが椅子から立ち上がり、こちらに向かってきた。気配から、これがそこそこに強いモンスターだとわかる。この初期装備で立ち向かうとか無謀でしょ。
でも、やるしかない!
小刀を構え、腰を低くし、目の前の狂医師を正面から見据えた。




