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第29話 ここは地獄か天国か

仕方がないのでレンに襲い掛かっていた天使は短剣でサクッと始末した。

「ケガはないか?」

「はい、何とか……それにしてもアオバさーん、バリバリ武器使ってますねー。」

「素手より武器の方が実戦では役立つからな、最近ではこの刀ばかり使っている」

「えっ、『最強格闘少女』なのに?」

「あれは昔の話だ」

「むー。でも、なんかそれ、もったいなくないですかー?」

「いつまでも無駄口叩いてると、またさっきと同じ目にあうぞ」

そう言って、意味ありげにレンの背後を見つめてみる。レンはぎょっと振り返るが、そこには何もない。

「あっ、アオバさん、だましましたね!」

「さっきのお返しだ」

「大人げないー!」

「私は未成年だと、さっきから言っているだろう!」

「そういえば、アオバさんはいくつなんですか?」

ジョーが割り込んできた。

「いくつに見えるか?」

「うーむ……」

ジョーは割と真面目に考えこみ、答えを出す。

「……11歳?」

「たわけ、どこ見て判断した」

「い、いや、総合的に見て判断しましたよ?」

「ならそんな齢になるはずなかろう」

「昔、ある先生が、『女性の年齢を当ててみるときは、見た目年齢から5~7歳くらい差し引いて答えると喜ばれる』って言ってて……。」

「そいつを未成年に適応できるか」

でも、そうやって差し引いた答えを言ったんだとしたら、おおむね当たってるんだよな。

「皆さん、油売りはその辺にしといてくださいです!」

サクラの言葉で我に返る。

「ああ、すまんすまん」

「すみませんでした」

「ごめんね、まじめにやるよ。」


サクラに謝罪するそばから、モンスターが近づいてきた。遠目には白と黒に見えたが、近づいてくると、白い天使風のモンスターと黒い悪魔風のモンスターが、手をつないで仲良くやってきているのがわかった。

「めっちゃミスマッチな取り合わせですね……。」

「いかにも」

こちらを認識したモンスターの悪魔の方が、一気に飛びかかってくる。

「まかしといてください、どりゃ!」

サクラが大剣を振るい、悪魔を一刀両断のもとに切り捨てる。

「おお、すごいなサクラ!」

「一撃じゃん、すごーい!」

「いやあ、それほどでも。」

サクラが照れている。しかし、その背後にあるのは、素材ではなく……。

「油断するな、よく見ろ」

光のエフェクトを出し、悪魔を再生成する天使の姿だった。

「これは、黒が攻撃、白が回復を担っているのかな……。」

「じゃあ、天使さんを潰しちゃえばいいわけだー!」

レンが素早く矢をつがえ、放つ。天使に見事クリーンヒット、天使は霧散するが、ほどなくして悪魔の体から黒いエネルギーが放たれ、天使を形作る。

「こいつら二人で一組ですか!」

「ベタな設定じゃあるけど、いざ目の前で戦うと手ごわいねー!」

「じゃあ、両方潰してしまいましょう!」

ジョーが行動に移るより早く、天使と悪魔を、衝撃波が一辺に始末した。

「範囲攻撃ならば攻撃はほぼ同時だからな、タイミングを合わせるよりはるかに効率が高い」

「うう、俺、物語開始から一度もまともにバトルしてない……」

「何を言ってるんだ、これから活躍の機会なんていくらでもあろうさ」

「そうですね、頑張ります……」

「アオバさん、アオバさん!」

「どうした?」

「オーブがありますよ!どうやら、こいつらがボスだったみたいです!」

「何!?」

「ほとんど雑魚もいなかったのにー?」

「おそらく、強敵が一体出るタイプのダンジョンだったのでしょう。さっきの闇ダンジョンでは、雑魚が多かったけれどボスはそこまで強くありませんでしたし。」

「そういうものなのか」

「しかし、エキストラステージがあるとは初耳ですね。」

「まー、得したからいいでしょー!」

「結果オーライです!」

「次、行きましょう!」

「そうだな」

オーブをつかむと、白いオーラが私たちの全身を包み込み、視界はホワイトアウトしていった。

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