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封印からの目覚め

何となく書いてみたくなったので書いてみました。

面白くないシーンなどもあると思いますが、よろしくお願いします。

数多に渡る並行した世界の1つ、神々が存在する世界グリムガルがあった。


その世界グリムガルには、様々な種族が存在し、神が頂点に立っていた。


神とは、あらゆる生物がその種族的限界を超える事で、神格を手に入れた存在の事だ。

また、神は不老だが不死ではなく、死ぬ事も普通にある。

謂わば、神とはあらゆる種族の上位互換の様なものだ。


そんな世界グリムガルの遥か昔、今では神話の時代と言われる時、1人の愛した人間の為に戦い、沢山の神によって敗れ封印された1人の神がいた。


その神の名はナグリュス。

最上位の神の1人であり、呪い子と言われる存在を愛した神だ。





そして神ナグリュスが封印されて一万年。

如何(いかに)に数多の神々の封印といえど、それだけの年月が経てば劣化する。


そして遂に一万年の時を得て、封印が解かれた。



◇◆◇◆◇◆◇◆



封印が解け、ナグリュスは目を覚ます。


一万年もの時を封印されていた為、暫くボーとしていたが、意識がはっきりしていくにつれて、自分が封印される前の事を思い出す。


(そうか、我は負けたのか)


負けた。それは愛した者の為に戦いに挑んだナグリュスにとっては、とてつもなく苦しい事だった。


そしてナグリュスは自分が封印されていた時間の事を考える。


1人ならともかく、あれ程の数の神によって(ほどこ)された封印だ。劣化するには軽く一万年は掛かるだろうと推測する。


(一万年か、我が封印された後、例え生き残っていたとしても、もう生きては居ないだろうな)


そう考え、ナグリュスは悲しみの表情を浮べる。

もう会う事が出来ない。もう愛おしい人の顔を見る事が出来ない。もうあの声を聞くことが出来ない。

会えない事が分かるにつれ、ナグリュスはそんな事を考える。


「オリビア···」


そしてナグリュスの頬には、何時しか涙が流れていた。


________


それから少しして、大分落ち着いて来た。


ナグリュスが目覚めたのは、何処かの洞窟だった。

封印される前には洞窟などなかった筈だが、恐らく一万年の間に地形が変化したか、封印を施した神々が作ったものだろう。

取り敢えずナグリュスは洞窟の出口を探しながら、現状について考える。


ナグリュスは一万年もの間、封印されていた。

そのためナグリュスの事を知っている者は、新たに生まれた神や人間を含めて、最古の神々以外はまず居ないだろうと考える。

かと言って、神のみが行く事が出来る神界(多くの神々が集まる世界)に行くのは、得策とは思えない。

したがって、ナグリュスは世界グリムガルや他の並行した異世界で生きて行く事になる。

また、もしかしたらナグリュスが復讐に行くかもしれないと、考える人は多いだろうが、愛した存在が居ない今、復讐などしても何もない事は、ナグリュスは理解していた。


それから暫くすると、不意に視界に光が差し込んで来た。

もしかしたら出口がないかもしれないと考えていたが、どうやら無事に出口に辿り着いた様だ。

因みに今まで道は、ナグリュスは暗闇でも目が効く為、何の問題もなかった。


そして遂に洞窟の外に出た。


洞窟から出た先にあったのは、森だった。

気配からして、野性の生物と思われる反応でいっぱいな為、この森が相当深い事が分かる。


(さて、取り敢えずこの森から出るか)


そう思い、ナグリュスは洞窟から出口から見て、真っ直ぐに歩いて行く。

もしも方向が間違っていても、別に急いでいる訳ではないので、問題ない。


________


ナグリュスが歩き出して小一時間経った頃、1つの気配がこちらに向かっているのが分かった。

その気配は人間のものではなく、気配からして恐らく野性の動物か魔物だと考えた。


そして暫くすると、ナグリュスが進む方向から1体のオオカミが見えてきた。

しかし、そのオオカミは3mは有ろうかという巨体だった。


「この大きさは魔物か」


ナグリュスはそう言い、巨体なオオカミと対峙する。


「グルルルル!」


オオカミはそう唸り声を上げながら、ナグリュスを威嚇している。

そしてナグリュスはその唸り声を聞きながら考える。


(縄張りにでも入ったか?···いや、確か魔物でもオオカミは群れで活動する筈だ。でははぐれか)


そう結論付けた時だった。

痺れを切らした、オオカミの魔物がナグリュスに向かって、爪を振り抜いて来た。


そして次の瞬間―――――――――オオカミの頭が消し飛んでいた。


何故、オオカミの頭が消し飛んだかは、ナグリュスが使える2つの特殊な能力の内の1つにあった。


ナグリュスが使える2つの能力は【虚無】と【混沌】だ。

虚無の能力は、有を無に塗り替える。『消滅』

混沌の能力は、無から有を創り出す。『創造』

この2つの能力が使えるからこそ、ナグリュスが1人で沢山の神を敵に回す事が出来たのだ。


そして今回は虚無の力を使って、オオカミの頭を消し飛んばしたのだ。


「どうやら、封印されたからと言って、腕は落ちて居ない様だな」


そう独りごちり、ナグリュスは殺したオオカミに近付き、オオカミを空間魔法で収納する。

ナグリュスは最上位の神だ。普通に魔法ぐらいなら簡単に使う事が出来る。

空間魔法もその1つで、収納の他にも転移や結界などと色々な事が出来る。因みに転移は消費する魔力が多く、一度行った事のある場所にしか転移出来ない。(森の外には一万年の間に環境が変わった事で転移出来なかった)

先程ナグリュスが魔法ではなく虚無の力を使ったのは、封印によって力が落ちていないかを確かめる為だった。


そしてオオカミの処理(収納)をしたナグリュスは、また森の外を目指して歩き出した。





暫くして、ナグリュスはある事に気付く。


(これは人の気配か?何故こんな森の奥に?この感じだとかなり弱っているな。これは急がないと危ないやもしれぬな)


そこまで考えた後、その方向に向かって走り出した。





人の気配がする場所に向かって見ると、そこには15歳くらいの少女が倒れていた。

その少女は、ガリガリで相当飢えている事が伺え、体中に痣や傷があった。また、その首には首輪の様な物が付いていた。


「おい、大丈夫か?」


「····ぅ、あ···」


どうやら息はある様だが、結構やばい状態だと判断して、光魔法の1つである回復魔法を使い、傷と生命力を回復させる。


そしてその時ナグリュスは見えてしまった。少女の左胸の少し上辺りにある紋様を。


(これは!?呪い子の紋様!?······オリビアと同じ·····)


「····う。····ここは?」


回復魔法を掛けて、暫くすると少女が目を覚ました。


「一応、回復魔法を掛けたが痛みはないか?」


「っ?!す、すいません!わ、私の様な奴隷の為に貴方様の貴重な魔力を使って頂き!」


その言葉は、内容こそお礼の言葉だったが、その声には怯えがまじっている事がナグリュスには分かった。

しかし、ナグリュスにはもう一つ分からない事があった。


「奴隷とはなんだ?」


「え!?えっと奴隷とは物であり、道具です。同じ人間としては数えられません」


ナグリュスの疑問に少女は驚きながらも、奴隷に付いて教えてくれた。


(物だと?同じ人間をか!?意味が分からぬ。)


「その奴隷とは、どういった者がなる?」


「はい、奴隷には罪を侵した者や借金があり売られた者など、他にも色々な理由で奴隷になる事があります」


「では、お前も罪を侵したか、売られたと言う事か?」


「いえ、私は、その····」


少女はそこで口籠ってしまったが、ナグリュスには1つ心当たりがあった。


「···呪い子か」


「っ!?どうしてそれを!?」


そして少女はその言葉に過剰に反応した。

これは肯定と受け取って良いだろう。


因みに呪い子とは、黒髪黒目と言う姿をしていて、体の何処かに紋様がある者の事で、神を含めて沢山の人から忌み嫌われている。


「お前が倒れている時に紋様が見えただけだ。それよりもその様子だと、腹が減って居るだろう。これでも食え」


そう言って、ナグリュスは少女が眠っている間に創った、握り飯を差し出す。


「······」


しかし、少女は握り飯を見て固まっていた。


「どうした、食わぬのか?毒など入ってないぞ?」


「·····して」


「ん?なんだ?」


「·····どうして呪い子である私にそんな事をするのですか?」


すると少女がいきなり意味の分からない事を言ってきた。


「例え呪い子だろうと、飢えていたら助けるのが普通だろう」


「普通ではありません。普通の人は呪い子にそんな事はしません。もう私は生きたくないんです。私に生きる意味なんてありません」


そして少女が本音を漏らした。


(生きたくないか。この世界は一万年の間にそこまで呪い子を苦しめる様になったか)


「例え呪い子だろうと、生きる権利はあるだろう?」


「こんな苦しい人生に生きる意味何てありません」


どうやらこの少女は本当に絶望している様だ。

この少女にとって生きる事は、とても辛いものなのだろう。


「だが生きろ。生きる意味が、安らぎが欲しいのならば、わ、俺が与えてやる。だから生きてみろ。それが生きる者の権利だ。どんな理由があろうと命を無駄にする事は俺が許さん」


一瞬我と言おうとして、それは高圧的過ぎると考え、一人称を俺に変えてそう言う。


生きろ。安らぎを与えられる。

少女にとってはその言葉は、今まで1番聞きたい言葉だった。


「うう、わああああああ!」


そして次の瞬間、少女の心にあった壁が砕け、女の子が泣き出した。


急に泣き出した少女にナグリュスは、どうしたら良いかも分からなかったが、取り敢えず背中を撫でてやる。


そしてナグリュスは少女が泣き止むまで、手を止める事はなかった。


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