第153話『試験地中潜航型潜地艦〝でいりゅう〟』
昨晩のチャリオスの夜襲に日本政府と国防軍はヒヤリとしたものの、無事に防ぎきって四日目の朝を迎えた。
実戦経験がほぼない日本にとって連戦連勝は官民ともに自信を強く抱かせた。
民間の主にネットでは大盛り上がりとなり、そのままチャリオスを落としてしまえと興奮が収まらなくなっている。
反戦を誓って三四半世紀が過ぎ、平和を標榜してもいざ戦争となって連勝をすると人間的精神性からかそうした感情が蘇ってしまうようだ。
逆に日本政府は落ち着いていた。
過去の敗戦の原因がまさに連戦連勝による正常性バイアスに陥って敗戦へと道へと辿ってしまった。それを最大級の教訓とし、何度勝とうと一度の負けで敗北になるとして勝利するまで勝ち続けることを政府と国防軍双方の共通認識としている。
そのため政府職員も国防軍自衛官たちも緊張の糸は緩めない。緩められない。
「現在のチャリオスの位置はどこです?」
情報収集センターに入室した若井は、集まって起立している閣僚たちの前で問う。
「現在チャリオス本島は房総半島沖南東二百キロの地点で停泊しています。約十分に一発の間隔でバスタトリア砲をラッサロン天空基地に撃っています」
「ラッサロンに被害は?」
「ありません。基地とケーブルで繋いで一体化させている空母ロナルドレーガンのコクーンがラッサロンを包んでいるため被害はありません。同様に近隣のユーストル側須田町もコクーンの範囲内なため被害はありません」
「鹿児島県沖は?」
「膠着状態です。非武装鉄甲が壁として機能しているため敵艦隊五十隻は牽制程度の攻撃に止め、本格的な攻撃には移っていません。第2、5、8護衛艦隊は整備と武器弾薬の補充を行っています」
「この状況で心配しなければならないことは?」
「国内で組み立てられた鉄甲の搬出が難しくなったことです。今まで鉄甲はここ中央部から搬出していましたが、バスタトリア砲が狙っている状況から部分解除も難しい状態です。そのため中国コクーンまたは東北コクーンから搬出することになり、いま運送計画の見直しをしている所です」
全国のコクーンはそれぞれが独立しているため接触面はシャボン玉のように一体化はせず接触状態のまま垂直に降りる性質を持つ。
そのためコクーンからコクーンへの物資の輸送は、当初は時限解除して運搬するしかないかと思われた。
しかしコクーンは接触した地面より下には深く侵食しないため、トンネルのある山を狙いうちして展開することで、大量とまではいかないがトンネルを通って北海道から九州まで物資の輸送路を確保した。
その要領で須田町に地下運搬路を作れれば、いちいちコクーンを解除せずに鉄甲や国防軍装備を国外に出すことが出来たのだが、三週間で山のトンネルのような地下道を作るには物理的に間に合わず、結果時限解除をするしかなかった。
関東と関西を覆う中央コクーンから搬出出来なくなった以上、するなら射線的に被害がまだ少ない東北コクーンと中国コクーンからとなる。
「……凱旋門みたいなゲートを設置出来ればよかったですね」
幅のある門の上にコクーンが展開するように出来ればより効率的に装備品を外に出すことが出来た。
ただし、コクーンの接地面にはある程度の耐久力が必要で、常に荷重が掛かるため家程度では押しつぶしてしまう。三週間の突貫工事で出来る門でも耐久力に難があって早々に却下された。
「地面ならともかく人工の建物ではコクーンの圧力に耐えられずにいずれ壊れてしまいます」
それ故に日本各地のコクーン展開地では大量の家屋の大破が発生している。
もちろん出来る限り被害を最小限出来る範囲を出し、尚且つ避難指示を出して人的被害はゼロだ。それでも被害総額は数千億はあるため保障費用で終戦後の日本の財政は相当ひっ迫する。
国家総動員でも兆に届く費用が掛かっているから、勝ったところで辛く長い日々がすでに確定している。
だが戦わなければそれ以上の被害が出ることを考えれば選択肢はなかった。
これもまた従来の日本政府の感性からすればありえない選択の一つだ。
「分かりました。バスタトリア砲の被害を受けないようタイミングを見計らって搬出をしてください」
「各所に指示を出します」
「チャリオスが房総半島沖二百キロに停泊しているなら、特殊艦は近くにいるのでは?」
「はい。一度すれ違いましたが定期連絡で引き返し、時速三キロでチャリオス本島から三十キロを移動中とのことです」
「チャリオスがその通信を傍受した恐れは?」
「ないと信じています。AEを施していますし、通信時は静止状態で行っていますのでチャリオスは気づいていないと思います」
「時速三キロで移動してるなら真下に付くのは午後五時か」
「それもチャリオスが移動しない前提ですが」
「……向こうの狙いが分からない以上、チャリオスのコクーンは突破して起きたいですね」
「ペオによる攻撃がいつ行うか分からないですし、仕掛けるなら早急が好ましいです」
昨日のチャリオスによる夜襲があったように、今回は日本側が仕掛ける。
これは一発限りのやり直しの利かない、今後の勝敗に大きく関わる作戦だ。
若井の決断でこの作戦は決行され、成功すれば勝機は大きく日本・イルリハラン側に傾く。
ただし、失敗すれば決定打を失うと同時に自衛官を百人近く犠牲しかねないし劣勢にもなる。
「成功確率は?」
「現段階で七十パーセントです」
防衛省がたたき出した成功確率は七割。
ある程度の妨害予想は立てられても、バーニアンと言う未知の要素として三割が割り出せないのだ。
決断を下すなら最低でも九十パーセントは欲しいのだが、こればかりは情報不足で引き上げられない。
重大な転換作戦を七割の確率で、しかも急遽拵えた特殊艦に任せるにはリスクが大きすぎる。
移動に時間が掛かるから事前許可を出したものの、決行の指示がなければ何もせずに終わる。
もしかしたらチャリオスは特殊艦の事に気づいていて、日本がアクションを起こすのを待っているのかもしれない。
選択は二択。行くか行かないか。
だが、待ったところで成功の確率は上がるのか。逆に失敗の確率が上がるのではないか。そうした考えが過る。
すでに戦争は始まり、国民も国防軍も戦っているのだ。なのに指導者が躊躇するわけにはいかない。
「最後の定期通信はいつです?」
「午後三時です」
「……それまでに決行の判断をします。成功率を百パーセントに持っていくため、幾度と精査しているであろうデータを今一度全部確認して三割を埋めてください」
チャンスは目の前にある。それを活かすためにも成功確率を楽観視無しで上げるのだ。
核兵器使用の準備も今日から本格的に始まる。
この残された八時間の大半、若井は野党党首と話し合いを随時行っていく。
速やかに使えるようにするための根回しとはいえ、使ってはならない兵器の使用準備では開口一番拒否が目に見える。
しかし、この転換作戦が失敗すればいよいよ可能性が高まる。
その時に根回しなしで国会を開いて全会一致を目指すのは厳しい。
各党首から党内議員に話をして通しやすくしなければ、いざと言うとき何もできなくなる。
綺麗ごとを言えば使わない選択一択だが、戦後より最悪の結果が約束されるのに綺麗ごとに意味などない。
どれだけそれを議員が理解と覚悟を示してくれるのか、非常に低いがやるしかないのだ。
決行への精査は専門職の職員たちに任せ、若井は若井にしか出来ないことをする。
役割分担だ。
*
エルマは自覚できるほどの身震いをしながら、日本人仕様の床に備え付けの椅子に腰かけていた。
スペースを確保するため日本人仕様でも狭いと思うほどの部屋で、そこにはエルマ他テロ発生後から共に活動していた別動隊の面々も同じく座っていた。
窓が無く機械的なケーブルや支柱が天井や壁を走り、部屋的にふさわしくない機器も置かれている。これは場所を節約するためにデッドスペースを極力なくすための配置とのことだ。
複数ある椅子と机の間隔は狭く、人ひとり分が通れればいいと言うほどで、日本人と比べて背丈が高いリーアンであるエルマ達からすると圧迫感が強い。
場所が場所だけに生理的身震いが起きて止まらず、冷や汗も時折流れてしまう。
他のメンバーも同じで、表情こそ軍人として平常心を保とうとしてもそれ以外が恐怖心でいっぱいと、意識とは裏腹に主張する。
「一日半といると気が狂うな。早く外に出たいぜ」
「我慢しろ。これしか手がないんだ。今貯めてるうっ憤やストレスは外に出た時に一気にぶちまけてやれ」
「だけどリィア隊長、多分俺ら史上初だぜ、これだけ長い時間〝地下〟にいるなんて」
「密閉空間って意味なら浮遊都市の下部も同じだけどね」
「いやいや、空での床下と地面の下じゃ全く違うだろ。こう、目に見えない圧迫感がよ」
「気持ちはわかります。テロが起きる前までは頭の片隅にも無かった行動ですからね。だからこそ意表を突くことが出来ます。無警戒とまではいかないでしょうが、これはないだろうと言う考えは向こうも持ってるはずです」
「そういう意味じゃ大将自身が出張るのもな。貴方が前線に出ちゃまずいでしょ」
リィアはエルマに諭すように言う。
リィアは部隊としては最先任としてトップでも、全体で言えばエルマがトップだ。戦術的トップは前線に出ても戦略的トップが出てはならないのが軍の指揮系統だからイレギュラーではある。
「ルィルや皆さんが死と隣り合わせの中にいるなかで、自分だけモニターの前にいるのは許せないんです。成功しても失敗しても共に分かち合いたいんです」
「人情としては立派でも司令官としては失格だぞ」
「ええ、理解してます」
「……ともかく出撃してからは俺の指示で動いてもらう。エルマもそれでいいな?」
「もちろんです」
「作戦決行の最終判断は日本政府だが、するとなれば行動の裁量権は我らに移る。今一度おさらいするぞ」
もう何度としたか分からないブリーフィング。しかしたった一度で訓練もリハーサルもなしでするため、イメージだけで体を淀みなく動かすべく出来るよう繰り返す。
「決行許可が下りたら日本軍がチャリオスコクーンに向けてミサイルを撃つ。その直後に俺たちも飛び出て破壊した敵コクーンをすり抜けてチャリオスに侵入する。間違いなく予備のコクーンがあるだろうが、破壊から予備の起動にタイムラグがあるはずだ。そこを狙って破壊と同時に、自身のコクーンを展開して破片から守りながら突入する。ここまではいいな?」
「敵コクーンを破壊できなかったら終わりだな」
「こればかりは保険はない。もちろん可能な限りのことを考えての対策をしての攻撃だ。出来ると信じよう」
「俺たちが突入することにルィルは気づくかな」
「メッセージは届いてるんだ。コクーンが破壊されたと知れば俺たちが来たと察して動くだろ」
「問題はどうやって接触するかっすな」
ルィルには暗号で援軍を送ると伝えても、どうやってまでは決めていない。
元々テロの証拠を見つけるのが目的で、援軍などは念のために過ぎなかった。さらに状況が刻々と変わる中で事前に取り決めしたところで出来ないことも多々ある。
最たるのが事前に決めた集合場所に行けない場合だ。待ち伏せや行動規制で行けないことも考えられるから、事前の集合場所は考えていなかった。
だからルィルとエルマ達は互いに来るだろうポイントを即興で決めていくことになる。
どちらかと言うとルィルの判断次第だ。
「俺たちがどれだけルィルの考えに寄り添えるかがカギになる。適当に移動したところで大型浮遊都市だ。まず出会うことは出来ない」
「ポイントを絞るとなると浄水フィルター室か? 司令部は論外だし……」
「もしくは民間生存者のいる下層区画か……ですね」
今までのルィルからの情報から得られたポイントは少ない。
ルィルの自室、食堂、司令部、エミエストロンがあるとされる浄水フィルター室、未解雇者が残る下層区画。この程度だ。
ルィルもエルマ達に伝えた場所に限りがあるのは知っているはずだから、援軍が来るとすればそこ辺りと考えるだろう。
「当たり前だがチームを分散することはしない」
「五千人対十三人っすからね」
「それでどこを焦点に移動します?」
一同が集まるテーブルの上にはチャリオス本島の地図が広げられている。ブラックアウト前に情報省から手に入れていた地図で、地図の真偽はルィルからの情報で概ね合っていることは確認していた。
地図には両者の間で共通しているポイントが丸付けされており、どこで落ち合うかはまだ決めあぐねいている。
「拠点として使いやすいのは民間人のいる最下層だが、自称民間人が邪魔だ。純然な民間人だとしても邪魔だし、敵なら背後から撃たれるし情報が筒抜けになる」
民間人に対してそうした言い方は問題だが、ここにいるのは身内だ。思ったことをそのまま話す。
「全員敵じゃなくても一人でも紛れ込んでたらアウトっすからね。いい場所ではあるんすけど論外ですね」
「ルィルは作戦開始時は普段の行動から食堂にいるだろう」
食堂はチャリオス本島上部の建物にあり、そこをリィアはペンでつつく。そしてコクーンがある最下層もつついた。
「俺たちが突入するのは本島下部の整備用出入口またはコクーンの穴だ。奇襲に気づいて動いたとしても互いに距離が離れている」
「最悪なのがすれ違いですね。ルィルも同じように考えてはいるでしょうけど、盗聴の心配から独り言でも場所を言わないから……」
「これは一種の賭けだが、攻撃の混乱に乗じて向かい場所を言う可能性もある。俺たちと合流するなら盗聴されても意味ないとしてな」
「合流するほうに舵を切ればいいけど。ひょっとしたら陰ながらサポートする方に動くこともありえるぜ?」
ルィルは怪しまれてもまだスパイと断定はされていない。ならば陰ながらリィア達をサポートする方に動くことも考えられる。
「いや、援軍を送ると伝えたんだ。自身が人質に取られることもあるから合流を考える」
「ならいいすけど。で、結局どこに向かいます?」
「……ルィルから連絡が来ることを期待しつつ、エミエストロンに直行する」
リィアは決断する。拠点は欲しいものの、侵入が分かれば最重要区画の警備は厳重になる。たった十三人では突破は不可能になるから速攻で行くべきだ。
「来なかったら来なかったであいつならな考えて動くだろ」
「ま、何であれ俺たちは死ぬだろうな」
シンと静まり返る。
圧倒的人数差での侵入だ。どう頑張ろうと物量で制圧されて、人質かまたは全滅となるだろう。生き残って脱出できれば奇跡とも言える。
だからこそ最低限エミエストロンを封じてブラックアウトを解くことが最優先となる。
そしてエミエストロンを制圧すれば、逆にチャリオス本島を掌握することも可能だ。
ただ、そうなる前に殺される可能性が圧倒的に高い。
援軍を送ると言っておきながらネムラに対抗できる戦力を投じれないのはリィア達にとって不服でしかない。
しかし、現況では分隊を送るので精一杯なのだ。
だから決死の覚悟で挑み、全員それを理解して志願してくれた。
「だとしても千載一遇のチャンスだ。この作戦で、例え俺たちが全滅しようと敵の戦力を減らすだけ減らす。そうすればあとはラッサロンと日本がチャリオスを叩いてくれる。もちろん今から逃げるのもアリだ。誰も責めやしない」
「まさか。ルィルが敵地のど真ん中で情報送ってるのに、俺たちが命惜しさに逃げれるわけないでしょ」
全員の目が決意に満ちている。
様々な意味で逃げ出す者はここにはいなかった。
「みなさん」
そこに日本軍、天上自衛隊の隊員が一人入って来た。
「防衛省より入電です。作戦実行のゴーサインが出ました。三十分後のヒトナナマルマルに、この〝でいりゅう〟はチャリオス本島に奇襲攻撃を仕掛けます」
リィア達分隊は無言で見合い、気持ちを改めて統合させた。
*
そうりゅう型潜水艦〝でいりゅう〟。
日本国防衛省が完成させた、世界初の地中潜航システムを搭載した地中潜航型潜地艦の試験艦だ。
元々フィリアでは使い道が限定的でお蔵入り予定だった旧海上自衛隊の潜水艦。
転後六年の間で使い道を探り、一つ可能性を見出して建造途中だった計画2900トン型潜水艦8127号艦を、試験艦として予算を回して改修作業を行った。
目的はレヴィロン機関を使い、浮遊ではなく地中を移動し潜水艦の新たな運用法と戦術・戦略を確立するためだ。
これが実現すれば、割譲されたユーストル領日本領をパトロールして探知困難な地中から敵に対して攻撃することが可能となる。
その考えを見出したのはリーアンにとって天敵であるグイボラだった。
グイボラ自身が持つ生体レヴィロン機関によって土中のフォロンに干渉して土砂を移動または密度を著しく減らすことで、通常であれば身動きすら取ることも出来ない地中を高速で移動することを可能とした。
そのことに目を付けた防衛省と防衛装備庁は、使い道がなく維持費だけで莫大な予算が飛ぶ潜水艦に施そうと考えたのだ。
当然この改修計画はイルリハランを含めフィリア社会には極秘裏に行われた。
グイボラを参考に地中潜航システム構築して、しかも探知困難な兵器を作ろうとしているのだ。
リーアンからしたら脅威でしかないし、愚弄以外何ものでもないから同盟国であるイルリハランにも秘密にして研究・開発を続けて来た。
最初は小型の試作機で潜航可能かどうかを実証し、幾度の成果を経て建設途中だった計画2900トン型潜水艦8127号艦へ施すことを決定。
一年半前、秘密裏に〝でいりゅう〟として竣工したのだった。
とはいえ潜航出来る深さは三十メートルと潜水艦としては出来損ないの深さだ。
理由は万が一土中で取れなくなった際、浮遊用レヴィロン機関のみで自力生還出来る最深度だからである。
基本的な武装はそうりゅう型を踏襲している。戦略原潜のような艦背面に垂直発射管は搭載していないため、地中から攻撃する場合は艦体を垂直に起こしてハープーン対艦ミサイルを同時に六発発射する。
この試作艦を経て次に作られる時は背面からの攻撃となるが、元々試作艦だったため攻撃手段は深く考えていなかった。
それがチャリオス本島による侵略行動で、起死回生に繋がる艦として見直されて急遽運用することが決まり、同時に秘密裏に人を運搬できるとしてエルマたちを乗せることにしたのだ。
懸念点で言えばロームウォーや新型早期警戒機による地中探査が出来る装備を、チャリオスが保有しているかどうかだ。
エルマからの情報だと探知能力はブラフとのことらしいが、アメリカ軍が保有しているバンカーバスターでは〝でいりゅう〟の最深度に届いてしまう。もし地中探査が出来る早期警戒機相当のシステムを持っていたら、奇襲開始前に攻撃を受けて終わりだ。
そしてそれを天自や〝でいりゅう〟が知る術はない。
しかし現況では〝でいりゅう〟以外に奇襲を仕掛けられる艦は存在せず、危険を承知で横須賀は出撃を命じ、さらに追加任務も課した。
作戦決行は午後五時のヒトナナマルマル。
日本は嘗てハワイ真珠湾に奇襲攻撃を仕掛け、以後八十五年間日本はどれだけ他国と対立しても武力行動も含め奇襲攻撃を仕掛けていなかった。
三十四半世紀を経て、戦況を変えるべく日本は奇襲攻撃を行い、エルマ達をチャリオスに送る危険度最大にして最重要任務を実施する。




