第131話『国切り会談』
世界中が天敵の復活で大混乱に陥った悪夢の日から翌日。
ルィルはイルリハラン王国首都指定浮遊都市イルフォルンにいた。
正確にはイルフォルンにある王宮の応接室の一室だ。
元々この日に訪問する予定で、グイボラと思われる通称〝土竜〟が現れたのを知ったのは、チャリオスからイルフォルンへ移動している機内の中だった。
未来永劫歴史に刻まれる事件に果たしてアポを取っていても対応できるかは不安だったが、チャリオスの方で対処してくれたようで、職員が慌ただしく情報収集など仕事をしている中で案内された。
「本当にグイボラが復活したんですかね」
用意された茶を啜り、バディ兼無自覚の監視役として同席しているティアが呟いた。
「あの映像を見たらね。本物はもちろん見たことないけど、地面から飛び出して人を食べる生き物なんて一種しかいないわ」
地上を徘徊する動物は数多にあれど、地中を移動する巨大動物は一種だけだ。
「けど学術的にグイボラって証明されてないから、グイボラって呼べないみたいね」
「でもあれって間違いなくグイボラですよね」
「まあね。だから苦肉の策で出現国の日本が土竜って仮の名前を付けたんでしょ」
ほぼ全員あれはグイボラと認知している。それでもギリギリまで認めたくないのがグイボラと言う魔獣で、同種であれ近縁種であれ無意味に引き延ばすだろう。
おそらく、グイボラと言う名前は使われず『土竜』で定着させるかもしれない。
「地に付く日本からしたら天敵中の天敵ですよね。どうやって駆除するんでしょうか」
「むしろ地面に立つからこそ手段は豊富でしょ。まあ、簡単にされたらこっちが困るけどね」
「でも本当に出来るんですかね」
「本社の方から出来るって指示が来てるんだから出来るんでしょ。資料も送られて来たわけだし、本社からしたら後押しな事態ね」
だからこそこの土竜騒動にはチャリオスが絡んでいるのではないかと邪推してしまう。
あまりにもチャリオスにご都合的なタイミングだからだ。
しかし証拠がなく、いかにチャリオスとて天敵を一世紀もの間飼育していたとは考えにくい。なにより、チャリオスが発足したのは五十年前で、バーニアン自身も発生は七十年前だ。
絶滅から三十年から五十年の空白を経てグイボラを養殖することは可能だろうか。
ならまだ日本が転移したことで、休眠していた生き残りが活性化したと考える方が自然と言える。
いや、そう考えたくなるようにグイボラは認知したくないのだ。
「それにしても遅いですね。もう約束の時間から二十分も過ぎてますよ」
「土竜騒動で遅れてるんでしょう。仕方ないわよ」
「ですけどー」
結局ドアが開いたのは応接室に案内されてから三十分後のことだった。
「いやはや遅れて申し訳ない」
ドアが開き、今回の営業担当の人が入ってきた。
ティアはポケットに手を入れる。中に入れたボイスレコーダーのスイッチを入れたのだ。
「国王専属相談役フィルミ・バーツです」
その入ってきた人を見て、ルィルは無言で目を丸くさせた。
変にリアクションをして悟られるわけには行かず、先日のことを思い出してフィルミのあの後の動きを予想して落ち着かせた。
エルマがあのあと働きかけ、無事に王宮に復帰したのだ。
ルィルとフィルミはあの一度っきりでしか会っていないため、表向きでは今回が初対面だ。
二度目ではなく初対面の体で接しなければならない。
ルィルは立ち上がり
「……初めまして。チャリオスから来ました。ルィル・ビ・ティレナーです」
「ティア・セル・フランミアです」
「本日はよろしくお願いします」
「お願いします。ですが、大変ですね、グイ……いえ、土竜が現れて」
「ええ。突然のことで我が国ではどう対応するべきか困惑しております。特にソレイ陛下を含め王室も判断に困っておりましたね。いやはや、ベストなタイミングで転職されて羨ましい」
初対面でもルィルの素性は王宮でも有名、と言う体なのだろう。フィルミはさも世間話的にルィルに皮肉をぶつけてくる。
「そうですね。日本のことは大変気がかりですが、土竜となれば離れて良かったかなと少しばかりでも思います。さすがに土竜を相手では身震いしてしまいます」
「おやおや、身震いすると言うことはやる気があると見ていいのですかな?」
身震いすると言うことは体を震わせて体温を上げ、生体レヴィロン機関の反応を高める。日本では武者震いと言い、前向きな捉え方も出来てしまう。
「その逆ですよ」
「と、話がそれましたな。では本題と参りましょう」
小突き合いもそこそこに、互いの仕事をするべく座り直して話し合いを始めた。
最初に口火を切ったのはフィルミだ。
「えー、六年前よりチャリオスはユーストルに拠点を設置したいとのことでしたな。そのことについては一貫して拒否させていただいております」
それに答えるのはチャリオスでは先輩であるティア。
「けれどそれはテロが起きる前の話ですよね? テロが起きてそれを許してしまったのなら、もうイルリハランと日本の警備の限界があると露呈してしまったのではありません?」
「チャリオスが第三の防衛として加わろうと、大幅な改善に繋がるとは思えませんな」
「この資料をどうぞ。弊社はユーストル規模の範囲の移動物を全て感知出来る無人浮遊早期警戒艦の設計を進めています。大きさは五平方センチまでの移動物を千は追跡できる能力を持っています」
ティアはルィルに視線を向け、ルィルはカバンから書類を出してはフィルミの前に差し出す。
「従来の浮遊早期警戒艦の次世代艦なわけですか。それでいて千もの目標を追跡できるとは」
現在主流の早期警戒艦の探知及び追跡数は三百程度だ。それでいて範囲は七百キロほど。ユーストル全周をカバーするには十七機も必要なためカバーしきれないのが現状だ。
「そうすればユーストルに不許可で入る不審艇の早期発見も可能です。日中は太陽光と熱で発電し、夜間は最新大容量バッテリーで維持。ステルスと防衛システムもあるので撃ち落とされる心配もありません」
「チャリオスの技術力でしたらありえないとはいえませんな。しかしこのスペックでしたらシィルヴァスやメロストロも導入を考えるのでは?」
「それに関しては管轄外なので返答しかねます」
あくまでルィルの仕事はユーストルを奪取するための自身を使っての営業だ。その他については知る必要もなければ答える必要もない。
「この早期警戒艦は貸与の形式でイルリハラン軍に運用してもらい、整備等は我が社のチャリオスが請け負います。そのためにユーストル又はラッサロンへの常駐を願いしたいのです」
兵器や運用は任せるけれど、修理や整備はメーカーが請け負う。これ自体は決して変な話ではない。自己完結型の軍隊であっても委託メーカーに任せなければならないことはある。
実際ラッサロンでも規定時間運用した浮遊駆逐艦は造船所に持っていて整備をしてもらっていた。
「それは整備員のみ、ですかな?」
「彼らへの物資配給や警護のための浮遊駆逐艦の派遣と、少なくとも一大隊は容認してほしいですね。なにせ貴重な部品を使ったりするので、時折所属不明の浮遊駆逐艦に警告されることがあるので」
「それでは軍を駐留させろと同じではないですか。主権国として民間軍事でも受け入れは出来かねますな」
実際に国が侵略をする際も、自国にとって大義名分となる理由づけで侵略行為をする。大抵は自国民を守るや警護等他国の領土に移動を必要とする、だ。
そして移動の許可を他国がせず、移動を強行すれば戦争となる。
さすがに国ではなく企業がそれをしたところで、国家相手に勝つのは難しい。後先考えない手段に出れば別だが、証拠を握られてないチャリオスはまだ慎重に進むだろう。
「我が社は民間軍事企業なので契約とお金で動きます。ラッサロンの互助部隊と言う形でも十分共存は出来ます。それに、我が社にはイルリハラン軍には出来ない功績も残せますよ」
ついに使うかと、ルィルはティアの説明を静かに見守る。
「いまユーストルはかつてないほど危機的状況ですよね?」
「その件については今は忘れておきたいのですがね」
「いえこれはイルリハランだけでなく、日本にとってもユーストルにとっても利益になる提案です。チャリオスは今は失われた対地中兵器を保有しています」
土竜の出現はチャリオスにとっては追い風となる僥倖だった。
イルフォルンに向かう途中で聞かされた話だが、半世紀前に全世界で廃棄した対地中兵器をチャリオスは今現在も保有してしかも長期保管などせず定期更新までしていたのだ。
それ故にルィルの中では自作自演の疑念が強く浮かぶのだが、同時にルィルにとっても都合がよかった。
「そ、それは本当ですか?」
「ええ、本当よ」
一応成果を残さないとならないため、ルィルも話に参加する。
「対グイボラ用に百年前に設計された対地中兵器のロームウォーシリーズを保有しており、それを現代版に発展までさせているわ」
ロームウォーは当時は砲弾型の武器で、地面では爆発せず地中まで貫通して爆発する地中貫通弾とされている。
爆発と言っても火薬を爆発させるのではなく、有機物の組織を破壊する特殊な高周波を生み出す物で、地中でも減退せずに伝播するので爆薬よりも広範囲でグイボラを駆逐出来た。
一見浮遊都市にも内部の影響を与えそうな武器だが、大気中では急激に減退する特性を持つため、空間のある構造物内のリーアンにはあまり効果はないのだ。
それよりもミサイルで破壊した方がいいため、ロームウォーはグイボラ専用武器として百年前まで多用され、五十年前に不要の長物として一斉廃棄となった。
だがチャリオスはそのロームウォーを改良していた。
パソコンに送られた資料によると、新型ロームウォーは砲弾ではなくクラスター弾となっており、一定の高度で起爆することで小弾をばら撒き、それぞれが地中に潜り込んで特殊高周波を地中で発生させる。
効果範囲は砲弾の約三十倍となり、一発で直径二十キロにいるグイボラは殺せるらしい。
ルィルはその資料が表示されたパソコン画面をフィルミに見せる。
「詳細な弾数は企業秘密だけれど、十ヶ国に輸出出来るだけの本数は常に確保しているわ。今のイルリハランにとってこのロームウォーは必要ではない?」
グイボラもとい土竜が実在している以上、この兵器の需要はすさまじいものだ。
これは公表していない兵器で、ひとたび公表すれば先進国から導入を打診して来るだろう。
当事国だから優先であり、断れば次に回るのはひと通り売れたあとだ。
それでは買える数は限られると言う、詐欺師特有の考える時間を与えない取り引きである。
ルィルはそれを暗に伝える。
フィルミの才覚は以前のやり取りを見て分かっているから、全てを言わずとも悟るだろう。
ルィルがこの場にいることも察していれば、最終的な答えはもう決まっている。
「確かに地下への攻撃手段を失った現代でこのロームウォーは魅力的ですな。しかし大地に付く人種である日本が土竜に何もできないとは思えませんな。それは貴女が一番分かっていますでしょう?」
「そうね。地面から離れた私たちと、地面に生きて来た日本人。地中に対する理解度は私たちよりはるかに上だわ。もしかしたらもうすでに対処をしているでしょうね」
土竜出現が昨日の昼。そして日本貿易の要である須田町で起きたのなら、日本政府は即日の即断の対処をしているはずだ。ニュースを見る限りだと詳しいことは分からないが、住民の安全が確保できれば奪還のための動きはすぐにするだろう。
「けれど十体だけとは限らないのでは? 人知れず数を増やし、ユーストルだけでなくイルリハラン各地、マルターニにエルデロー、ユリタシアにも出現したら? 須田町は日本が対処出来ても、広大なユーストル全域をカバーできないわ。その時支援を求めるのは間違いなくラッサロンだから、ロームウォーを導入しておく意義は大きいと思うのだけれど」
「……いやはや、先日まで軍人とのことでしたが、意外にも口が上手いのですな」
「そうじゃないと私の居場所が作れそうにないから」
と色々と含みを持った言い方をする。
「それを含めて次世代の無人早期警戒艦ですか」
「ユーストルは火薬庫だから保有する意義はあるかと。まあ土竜がいてフォロンを手にしようとしている国はいないでしょうけど」
「チャリオスは違うと?」
「地上ではなくてユーストル上空での滞在なので、地上に近づかない限り命の心配はないでしょう?」
本音としてはユーストルの実効支配としても建前は整備としての滞在だ。本音と建前が違うから推進できる。
「ユーストルは世界経済の中心地だからチャリオスとしても健全化に協力したいの。イルリハランの心情は分かるけれど双方ともに利害が一致しているはずよ」
「……ただ、それだとロームウォーは購入しても早期警戒艦は保留にしてもいいですかな?」
「っ」
しまったとルィルは悔やんだ。
早期警戒艦は整備としてチャリオスの社員を駐留させる建前が出来ても、ロームウォーは消費する兵器だ。イルリハラン兵に使用のレクチャーをするだけだから駐留させ続ける意味はない。
それではユーストルにチャリオスを進軍させる主題が達成できない。
早期警戒艦とセットで売り込めばよかったものの、別々に売り込んでしまったばかりに別々での判断をされてしまう。
「いえ、早期警戒艦とセットでロームウォーを導入する意味はありますよ」
言葉が詰まったルィルの代わりに、会話を引き継いだのはティアだ。
「これはロームウォーとの運用を前提ではなく、元々は施設や対象の浮遊艦の人の密度を把握して人的被害を抑えるか広げるかの機能なのですが、次世代早期警戒艦は遮蔽物を越えての熱探知機能を持っています。これは地中でも地下十五メートルまでなら探知できまして、土竜の現在位置を把握することができます。これをロームウォーを併用すれば効率的に駆除が出来ます」
土竜ことグイボラは地下五メートルから二十メートルの地中を移動するとしている。十五メートルでは行動範囲より深いが、非接触での探知が出来れば人的物的の被害が抑えられる。
「ティア、その情報知らないんだけど」
ルィルはティアが今説明した仕様を知らず、小声で耳打ちした。
「嘘だよ。そんな機能なんてないよ」
さすがに驚かざるを得なかった。
「嘘って貴女、それは詐欺じゃない」
「いえ、上から言われてます。ありえそうなことなら嘘でも言えって。こっちで何とかするって」
確かに転移技術を秘密裏に作るくらいの科学力があれば、タイムマシンレベルでなければ即興の嘘でも実現は出来るだろう。
出来なければ紛うことなき詐欺であるが、それくらいならやってのけそうな印象を持つのがチャリオスだ。
「それなら大変魅力ですな。ふむ……」
ティアの手助けで別々での検討は避けられた。それでも前向きな答えを得るにはもう一押し必要か。
「フィルミさん、チャリオスに付いて懸念点はあるでしょうけど、今は土竜を処理するのが先決では? 百年ぶりの襲撃に早期解決が出来ればイルリハラン王国の株は上がると思うのだけれど」
強いてはソレイ王の功績にも繋がる。
土竜対策と言うメリットと、チャリオスの滞在のデメリット。どちらが大きいかは国で違えど、イルリハランにとってはメリットの方が大きいはずだ。
「……分かりました。私は復帰直後なので裁量権は持っていませんが、国王陛下に直接お話をする権限は持っています。確約こそこの場では出来ませんが、前向きな返答ができるよう進言することをお約束します」
口には出せず察するに留まるしかないが、内情を知っていればこのやり取りは出来レース。
さすがに承諾を得る前提だから感動は薄いものの、ひとまず一仕事を終えられてホッとする。
ティアはちょんちょんとルィルの手の甲を指で突き、振り向くと笑みを見せながらウインクをした。
「分かりました。ではそのように返答を頂いたことを本社に伝えますね。ですけど、くれぐれも検討で時間稼ぎをしないでください。優先ではあっても予約ではないので、他の国にセット販売することはあります」
「急がせましょう」
「決まりましたらこちらの営業部に連絡をお願いします」
あくまでルィルたちの役目はチャリオスの顔として取引のきっかけを作ること。正式な取り引きは営業部で行うため、ティアはそこの連絡先を記した書類を渡した。
ここまで言えばチャリオスとしても十分な成果として見るだろう。
立場上フィルミは何一つ決定は下せないが、王の側近ともなれば影響力は強い。ならば九割方決まったと見て、役員執行部はルィルとティアの評価をしてくれよう。
口約束であっても言質は取った。ボイスレコーダーでしっかりと記録もされているだろうから、言った覚えはないは通じない。
守るべき国を貶めるのは心苦しいものの今は売国奴だ。これくらいして当然である。
フィルミもこんな提案終始断りたいだろうが、ルィルの行動を理解して前向きな発言をしてくれる。
二人の内情を知る役者がいるからこその茶番劇は、結果的にチャリオスに有利な形で終わった。
*
「いやー、不謹慎ですけど土竜のお陰でアルタランのときよりも有利に進められました」
決まった結果とは言え無事に会談は終わり、帰路に着くロケット旅客機の機内でティアは背伸びをしながら感想を述べた。
「天敵が助けになるなんて素直に喜べないけれどね」
「けどお陰で給料泥棒なんて陰口を言われなくなります」
「録音してるとしても口約束レベルだから、この話は無かったことにってなるってこともありえるわよ」
「それに関してはチャリオスがもう手を打ってますよ。もうネットでさっきの記事を流してるので」
「もう?」
「話が大きくなれば既成事実となりやすいからですかね。そうなれば拒否してもしきれなくなる」
所謂炎上法だ。事実無根でも炎上してしまえば当人が否定しても止まらなくなる。
それが国家規模になれば尚更だ。
チャリオスも出来る事ならなりふり構わずに仕掛けてくる。嫌な敵だ。
「あ、でも日本も動いてるみたいですね」
携帯電話を見ながらティアが呟いてルィルも自分の携帯電話を手にする。
「……土竜の駆除に成功したみたいね」
携帯電話でネットニュースを開くと、トップニュースとして須田町に出現した土竜十体は、須田町郊外にて日本軍によって駆除されたと記載されていた。
詳しい内容を見ると、地上を移動する道具に爆発物を取り付け、疑似餌として食べさせたところで起爆したとのことだ。魔獣であっても生物には違いなく、爆薬に耐える生物はいないから間違いなく死んだだろう。
確かロームウォーが開発される前はリーアンもそうした駆除をしていたとされているから、日本もその過程を再現したらしい。
しかしたった一日で十体とは言え駆除してしまうとは、さすがは地上に生きる人種だ。
「でもロームウォーのようなのは作られてないみたいですね。これならまだこっちに分があります」
「。確か地球には地下貫通爆弾があるらしいけど、日本の国防軍は運用外の武器だから持ってないって話ね。それに想定外のことだから事前準備もしてないでしょうし」
「じゃあ日本が出来るのは疑似餌での釣りですか」
「……それも難しいでしょうけどね」
「どうしてです?」
「フォロン採掘場でも複数体出たらしいわ」
言ってルィルは携帯の画面をティアに見せた。
画面にはフォロン採掘場でも土竜を確認とあった。幸い作業員は避難していたから被害はないが、フォトン採掘場は無期限の閉鎖となってしまった。
これではフォロン流通に遅れが出る。
「だとしたら早期警戒艦とロームウォーの契約は間違いなさそうですね」
「ティアのハッタリが実現できるならね。さすがにその嘘のカバーは出来ないわよ」
「大丈夫ですよ。責任はそれを言った上が取るんですから」
軍にいた時以上にしたたかになっていた。
「ま、私も私の仕事をしたまでだから、あとは他の人に任せるわ」
ルィルの本来の仕事を進めるのもまた人任せだ。こればかりはルィルも祈るほかない。
とにかくあとは成り行きに任せるとして、携帯電話を閉じた。




