斬るのは路、人ではない
オードランの第一撃で、僕は一つのことを理解した。
彼は僕より強い。
少し強い、ではない。
アランを横に構えても、黒剣は護手を押し、剣背が胸へ当たる。体が十数歩滑り、背が許可柱にぶつかり、ガンドが横から支えてようやく止まった。
「肋骨は」とフィアが聞く。
「まだあるはずだ」
「戦えるか」
「戦えない」
オードランは追わなかった。
黒日の核心の前に立ち、剣先を下げ、話を終えるのを待っているようだった。
「都市領域内での記録は驚くべきものだ」と彼は言った。「噂は、個人の部分を誇張していたらしい」
「宣伝部門も飯を食わねばならない」
再び立つ。
虎口は裂け、右腕が痺れている。
アランだけが、目に痛いほど明るい。
「吾に任せろ」とそれは言った。
「脚がない」
「持剣人を替えればいい」
ガンドが一歩出る。
オードランが剣を上げた。
一つの動作だけで、彼は止まった。
恐れではない。
黒剣のまわりに、数百条の命令道路が浮かぶ。進む、退く、受け、撃つ。持剣者の取りうる方向を、先に封じている。生涯をかけて秩序を剣術へ練り込んだ人間だ。
「五十七年前、生まれた行省で九年戦った」オードランは言った。「通貨が七種、地方法が十二、領主が三十一人、それぞれが路を封じた。糧車は関所で腐り、兵士は隣県へ行けば盗賊になった。母は病院から三里のところで死んだ。二都市が互いの通行証を認めなかったからだ」
「だから大陸の誰も拒めない通行証を作った」
「少なくとも三里先で止められる者は、もう出さない」
「他所へ行く選択も、もうできない」
「選択か」彼が後ろの炉灰管を見る。「飢えた者に選択はない。弱い都市に選択はない。地方の習いで縛られた異族にも選択はない。法を統一し、通貨を統一し、道路を統一して、はじめて誰もが同じ秩序を得られる」
「同じ部屋は、家ではない」
「家とは、管理に失敗したあと、自分を慰める言葉だ」
再び剣を出す。
今度の標的はフィアだった。
黒い光が向きを変えるのが見えただけだ。アランが自分で僕の手を引き、剣身の羽民紋が高所の視点を捉え、牛角の槌印が衝撃を受け、樹霊の活木膠が剣脊を曲げても折らせない。
十二城が、この一撃を止めた。
僕は止められなかった。
手首が外れたような痛みで、膝が地面へ落ちる。
「言ったはずだ、替えろ!」アランが叫ぶ。
セインが柄を受けた。
剣術は僕より厳密だ。三合のあと、それでもオードランに挑ね飛ばされる。ガンドが剣を受け、力で正面から押す。オードランが身をかわし、彼を黒日へぶつける。フィアが魔力のない風帆を二枚開き、核心の上昇気流で引き戻した。
一人では勝てない。
交代を始めた。
僕は路を見る。セインは規則を判断する。ガンドは重撃を受ける。フィアは立ち位置を変える。インクは許可柱の底の固定栓を外す。アランは各人の手で、違う再鍛の技術を使う。
オードランは、なお優勢だった。
黒剣がガンドの肩甲を裂き、セインの左脚を傷つけ、フィアの風帆まで二つに斬った。
僕たちは、彼に触れていない。
「無能を協働と呼ぶのか」オードランが言う。
「宿でもそうだ」息を切らしながら答える。「一人では料理も、屋根直しも、シーツ洗いも、夜番もできない」
「だから管理者が要る」
「勤務表が要る」
インクが、ようやく最初の固定栓を抜いた。
許可柱が半寸傾く。
黒日の内部に、極細い金線が見えた。
アランが急に静かになる。
僕も見えた。
核心へ通ずる路ではない。
核心がすべての都市へ強いた路だ。無数の地方道路が同じ方向へ押し潰され、最終的にオードランの足元の帝都印章へ集まる。
印章がある限り、黒日には唯一の主人がいる。
「アラン」
「見えている」
「斬れるか」
「斬れる。だが彼が遮る」
オードランにも、聞こえたらしい。
黒剣が初めて許可紋をすべて点け、力はこれまでのどの一撃より重い。核心のまわりの壁、扉、風、炉灰が、すべて僕たちへ押せと命じられる。
出口が後ろで閉じる。
金色の道路が闇に呑まれる。
アランを握り、左へ踏む。
オードランが左路を先に封じた。
セインが右から飛びかかり、黒剣が横に払い、彼を盾ごと壁へ叩き込む。ガンドが許可柱を抱え、全身の重さでさらに傾ける。フィアは術を使わず、残った半枚の風帆を開き、核心の熱流を僕の足元へ送った。
風を借りて上がる。
オードランの剣のほうが速い。
黒刃が外套を貫き、肋の脇を長く裂く。バランスを失い、アランが手から飛んだ。
落ちなかった。
再鍛した剣鍔の人狼の夜路紋が点き、羽民の校正線が核心を狙い、反響煉瓦の粉が澄んだ一声を出す。アランは自分で、十二城が共に示した方向へ一間ほど飛んだ。
ガンドが一握りでそれを掴む。
剣を振り、オードランへ斬る。
黒剣が防御へ戻る。
アランは最後の一瞬で方向を変えた。
剣鋒がオードランの肩を掠め、肉には触れず、背後の帝都印章へ落ちる。
金光が爆ぜた。
帝都印章の一角が裂ける。
黒日は激しく震えた。崩れはしなかった。
オードランが返しでガンドの胸を撃つ。彼は飛ばされ、アランが再び落ちた。
「俺を殺す機会はあった」オードランが、金光で切られた肩の生地を見る。
アランを拾う。
「斬りに来たのは路だ」
「俺を殺さねば、黒日は動き続ける」
「殺しても、次の誰かがこの位置に座る」
「それがお前たちの軟弱だ」
「修繕の経験だ。漏りを管から直さず当直を替えても、意味がない」
オードランの顔に、初めて怒りの色が出た。
両手で剣を握り、黒日が道路の所有権をすべて剣身へ押し込む。
この一撃は、受けられない。
アランも受けられない。
二人とも、わかっている。
「天野陸」フィアが後ろから呼ぶ。
振り返らない。
彼女が風向紙を一枚、背中へ貼った。
「今のお前は風路の総責任者ではない」と僕は言った。
「あなたも総管理人ではない」
「正式に辞めていない」
「先に慣れろ」
核心の上に風の音がする。
フィアの魔力ではない。
遠く多くの場所から来る気流が、自ら点いた分火を一つずつ伝い、ここを探している。
最初の一筋が、封じられた核心へ吹き込む。
オードランが顔を上げた。
漆黒の壁面に、ごく小さな火が一つ点く。
次いで二つ目。
三つ目。
それらは僕の命令を聞かない。
どこから来たかさえ、わからない。
だが大陸の各地で、人が自分で扉を開けると決めている。




