勝ったあとに、壊れたベッドを数える
防衛戦の翌日、ゴブリン劇団は祝典をやりたかった。
臨時議会は否決した。
嬉しくないからではない。
西壁がまだ風を漏らしているからだ。
点検は宿屋から始まった。
壊れたベッド枠が七。
窓が十一。
扉枠が三組。
なくなった枕が九。うち六つはベリーの巣で見つかり、損失に数えない。
厨房の人参が籠半分足りない。責任者は、まだ捕まっていない長牙兎一頭だ。
公共区域はさらに重い。
住宅三箇所が傷み、西壁が三段崩れ、水渠が二百歩詰まり、四十二畝のうち六畝が踏まれた。風鳴レンガの壁は百七十塊砕け、銅鑼台は東へ十五度傾いている。
ガルドは銅鑼台はまだ使えると言う。
セインは検収前に真っ直ぐにしろと要求する。
ギグは傾いている方が戦後の芸術だと主張した。
三方が争った末、銅鑼台は当分そのまま残し、傍らに支えを二本足す。
救援は僕に頼っていない。
河妖が水渠を浚う。
羽民が高所から危壁を確認する。
牛角族が石を運び、灰耳族が土を搗き直す。医務室の薬が足りず、モリスの商隊が抜け道を回って補給を届けた。商業ギルドは緊急調達の価格で清算し、助けてくれたからといって帳を曖昧にしない。
ジェリーは残った火種を消す担当だ。
焦げた木と灰を一日吞み、体は黒くて青い泡が二つ残るだけになった。
ベリーが洗おうとする。
火を一口吹きかけ、ジェリーはさらに黒くなった。
公衆衛生の責任者二人は、揃って水院から追い出された。
最初、鎮庫の動かせる金を全部住宅の修繕に使おうとした。
ルミラが賠償表を押し返す。
「被害世帯の私物は別に列ねます。公共の壁と道路は公共予算で直す。商隊の貨物損害も同じ一筆から出してはいけません」
「まず家を直せばいい」
「先に直していい。だが帳は混ぜられない。あとで賠償が来たとき、誰に渡すかわからなくなる」
過度の融通の裏側は、問題を先に覆い隠したくなることだ。
仮の一枚板は、永遠に壁にはなれない。
帳も同じだ。
支出を三欄に分ける。
負傷者の治療。
私宅と財物。
公共施設。
工房の材料は製造ギルドが先に立て替え、宿泊組は被害三世帯の公共家賃を一ヶ月免除する。宿屋が負傷者を受け入れているあいだの食事は、公共救助の帳へ原価で清算する。
「自分の宿屋からも取るの」とフィア。
「食材は空からは来ない」
「進歩したわね」
「褒めているようには聞こえない」
宿泊票の束を渡される。
防衛戦の夜、宿屋には六十八人泊まった。
ベッドは三十六しかない。
広間、食堂、階段下に全部草筵を敷いた。部屋が狭いと文句を言う者はいない。扉を壊さなかった牛角族が二人、褒められたいと自ら申し出てきた。
備考に書く。広い扉の改修は有効。
尋問も宿屋で行う。
一号を一時空にし、窓の外に羽民を二名置き、入口は自衛隊が交代で立つ。術師三人は治療と熱い飯を受け、食費は司法の臨時支出につける。
いちばん若い術師はコルといった。
証言する気はある。だが公開調査の中でだけ述べる。
「命令は誰が出した」とセイン。
「領地の道路署だ」
「書面の命令は」
「執行後に焼いた」
「支払いは」
「道路維持費を通した」
「男爵本人は現れたか」
コルはしばらく黙る。
「声は聞いた。顔は見ていない」
それが問題だ。
バルド男爵は、自分で駆獣碑を抱えて北斜面に立つほど愚かではない。
杖は領地の公物、支払い名目は偽装できる、証人は雇われた術師しかいない。
あの反響レンガが、鍵になる一環を補えるかもしれない。
王都調査団が着く前日、セインは帰巣炉の傍で封じ検査を行った。
晴風、術師、王都駅舎が各一名の立会人を出す。
レンガの番号は登記と一致する。
封蝋は破れていない。
全員がサインしたあと、セインは晶紋を叩いて開く。
レンガから、まず倉庫の扉の音がする。
次いで足音。
見知らぬ男が言う。「碑は北斜面へ運べ。第一回の偏転のあとで向きを変えろ」
コルがすぐ頷く。
「道路署長だ」
続いて、さらに遠い声が響く。
「男爵が欲しいのは接収だ。廃墟ではない。獣群に炉を壊させるな」
その一句だけだ。
名前はない。顔もない。
一分が来る。
レンガは沈黙に戻る。
ギグが残念そうに叩く。
「もう少し言えないのか」
ガルドが言う。「コスト十倍、一分しか保たない。買うときに書いてあった」
証拠にはなる。
単独では結審できない。
セインが内容を一字ずつ写す。
「道路署の支払い帳、駆獣碑の出庫印、コルの証言、この記録。四項が互いに証明できればいい」
「帳が焼かれていたら」
「王都の財政処に写しがある」
「印が紛失したと言ったら」
「出庫には印が二枚要る」
「男爵が署長の独断だと言ったら」
コルが口を開く。「だから公開を要求した。署長が命じたとき、男爵の私設秘書がいた」
鍵は、突然罪で埋まった日記が一冊現れることではない。
小さな証拠がたくさん、同じ結果を指すことだ。
公開調査の申請は、その日のうちに発送された。
黒茨領が人を送り、術師の引き渡しを要求する。
セインは臨時開拓区の司法例外条項を引用し、拒んだ。
相手はさらに、男爵が職人を先に送り、壁を無料で直す用意があると言う。
ガルドは「無料」の二字を聞くと、すぐ材料費を尋ねた。
使者は答えなかった。
こちらも受けなかった。
三日目の夕方、最後の負傷者が宿屋を退室する。
四号の鍵を返してくれる。
「祝典はいつだ」
「壁が直ってからだ」
「壁は今日直った」
ガルドがちょうど門外から入ってくる。
「本体が直っただけだ。漆喰、排水、頂部のよじ登り防止——」
「明日の夜」ルミラが遮る。「祝典の予算は住民が持参した食べ物だけ。公共糧は動かさない」
ギグはすぐ銅鑼台を直しに走る。
その日の巡房を終える。
被害世帯にはすべて住まいがある。
負傷者には見る者がいる。
鍵はすべて対応する位置へ戻った。
それで勝利が、本当になった。
門外で車輪の音がする。
祝典の客ではない。
王都調査団の黒い馬車が石路を来る。車扉に銀色の天秤の紋が下がっている。
後ろにもう一台、紫の屋根の馬車。
バルド男爵が、自ら来た。
セインが証拠箱の錠を下ろす。
コルが一号の扉の内側に立ち、顔色が白い。
「公開で証言する」と彼は言う。
入居簿を手に取る。
「ではまず調査団の部屋を分ける」
公開審理は厳粛でいい。
王都の役人にも、ベッドと湯と朝食は要る。




