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プロローグ
今日は特別な日。
私は今日という日を迎えるのを、ずっとずっと待ち侘びていた。
「これより、本年度のデビュタントをお迎えいたします」
そうよ、今日はデビュタント。
____何も知らないままの私だったら、迎えられなかった大切なイベント。
心臓が高鳴る。大きくて立派な扉が、ゆっくりと開かれた。
私は思わず、エスコート役である彼の腕を握る手にギュッと力を込めた。
「緊張していますか?」
「……そうですね。私にとっては……これは、ただのデビュタントではありませんから」
「大丈夫、きっと上手くいきますよ」
根拠もない彼の優しい言葉。それだけで、不思議と勇気が湧いてくる。
「シュヴァリエ伯爵令嬢、クラリス様のご入場です」
式典係が私の名を呼ぶ。いよいよ、始まるのだ。
デビュタント…………いえ、私の人生全てをかけた『復讐』が。
私は深呼吸をしてから、ゆっくりと会場に足を踏み入れた。




