第309話
第309話です。
開演の時間となり、場内は暗転する。
そして大画面のモニターにムービーが再生され始めた。
黒猫の歩くアニメーション。黒猫は俺にとっては非常に見覚えのある田舎道を歩いていく。
悠々自適に、自由気ままに。のんびりゆっくり自分のペースで。
そうして辿り着いたのは学校の屋上だった。
古ぼけたベンチの上をジャンプ台に、屋上の入口上にあるタンクの前までハシゴを使わずジャンプする。
そしてその黒猫は姿を変えて、パッとこの場にいる誰もが知っている人物の姿になった。そして次の瞬間口元がアップされ、無音で口が動き、画面にはスタートと字幕のように表示された。
そこでムービーは終わり、代わりにドラムのシンバルの音が聞こえてきた。周りから歓声が上がる。
その歓声をさらに盛り上げるようにベースの音が響き始める。
そして最後にギターの音が思い切り響いて、ここに来た全員が聞きたかった人物の声が聞こえてきた。
「Chatnoirでーす!!今日は武道館!楽しんでねっ!という事で」
そこで言葉を少し区切ると3人の声が次は重なって聞こえてくる。
「「「START Again!!!」」」
大歓声と共に一気にステージがライトアップされ、モニターにもステージに立つ3人の姿が写った。
ボーカルが思い切り、力強く、そして訴えかけるように。そして、それに合わせるようにドラムもベースも共鳴する。
最初からクライマックスな勢いで始まったこの演奏もいよいよ終わり、2曲目に移ろうとする。
最後のラスサビを思い切り歌いきってから、カオリさんは「来たぞー!」と叫んだ。
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