第305話
第305話です。
オシャレなオープニングを介してから、上からのアングルでMCの俳優2人が映し出される。イケメン俳優と言われるのは伊達ではなく、流石といったところか。
MC2人の挨拶が済むと、ほんの少しのVTRが流される。主に今回出てくるアーティストの経歴や、活動を簡単にまとめたものだ。Chatnoirが主役の今回の映像では、複数のライブハウスで行ったイベントの映像が使われている。
「おぉ、俺だ」
ライブハウスでの映像の中に、客として来ていた俺の姿が映っていた。
「あんな顔してたんだな……俺」
初めて見た、ライブでの自分の表情。こうやってでしか見ることができない自分自身の姿だ。
浮かべている表情は満面の笑み。心の底から楽しんでるような、まるでステージの上で歌っている時の先輩と同じような表情だ。
俺のシーンはメインではない。すぐに映像が切り替わってSTART Again!!!を熱唱する先輩が映る。
少し気恥しい気分だったので、それから解放されて安心しつつ、俺はひたすらに先輩の可愛い姿を眺めるのだった。背後からゴソゴソという気配がしたが、今は振り向かないでおこう。
VTRが終わるとMCがChatnoirの事を呼ぶ。すると幕袖からChatnoirの3人が出てきた。いつも通りの先輩に、これまたいつも通りのアスナさん。そして動じてなさそうに見えるメグさんが映った。普段のメグさんを知らない人からすると、ただのクールビューティーな女の人、という感じにしか映らないだろう。しかし、普段を知っている身としてはその姿があまりにも不思議に写って仕方がない。
「んっ!?」
テレビを眺めてると後ろから頭をぎゅむっと柔らかい腕に包まれる。何事かと思って振り返ろうとすると、頭の上から声がした。
「メグさんの事、見すぎじゃなーい?」
「ひ、ひや、そんな事はないですよ。大半は先輩しか見てません」
「本当かなぁ。後輩くんが、嘘ついてないか監視するために私もやっぱり一緒に見ないとね」
そういうと先輩はすとんっと俺の隣に降りてきた。ずいっと俺の方に寄りながらさり気なく腕を取ってくる。
「ほら、インタビュー始まるから、それ見てよーよ」
「は、はい」
気にした様子のない先輩はほんのりとだけ頬を染めていた。
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