第四十一五話「免罪符」
「お会計が5460円になりますね」
ファミレスでたらふく昼食を食べた我らは会計に並んでおった。
「すいません、悪魔さん、ちょっと胃が痛くて…」
「外で待っておるから、はやく行け」
ひとみのやつ、食べすぎたのか?
「……あ」
財布の中に小銭がちょうどないな。
そういえば、昨日、スーパーできれいに出しすぎてしまった。
……すっかり忘れておった。
「小森、小銭あるか?」
「……」
「…小森」
「は、はい、統轄長?」
こやつ、話を聞いておらんかったな。
「すまんが、少しばかり小銭を貸してはくれんか」
「は、はい」
小森のやつ、何をそんなに考えておるのだ。
「お会計ありがとうございました」
カランカラン。
「小森。もしかして…飴、ほしかったのか」
「……」
「さっき、ずっと見つめておっただろ」
「…は、はい」
さっき飴を買ったばかりだったはずなのだがな、飴マニアにはどれも一期一会なのかもしれんが……ファミレスの飴は、そこまで良いものなのか?
「あれはどうやったら買えるものなんですか。値札がなかった…」
「子供ならひとつだけもらえるというものだ、ファミリーサービスと…」
「……」
「……」
カラン、カラン。
「ちょっと、待て」
我は、店に何食わぬ顔で戻ろうとする小森の腕を誘拐犯のように強く掴み、
店から遠ざけた。
「ひとつ言っておくが、お主は人間界では全く幼くないからな」
「……」
好きなものへの執着はほどほどにするのが大切だ、小森。
好きという理由が免罪符になることはないのだからな。




