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昨日の翼も、今日の心も

「羽があればな…」

スーパーから出ると雨が首をかしげたような角度で、

ぽつぽつ、ぽつぽつとせわしく降っておった。

傘をもってきておいて、正解だったな。

…だいぶ、急な雨ではあったが、備えあれば憂いなしとやらだ。

「……」

我は雰囲気だけが強い雨の匂いと、スーパーで買った総菜のはっきりした匂いを鼻でつまみながら、革靴を硬質な地面に響かせる。


カコ、カコと…


もし、人間界を経由しても羽が消えぬのなら、我は空を飛んでおったのだろうか。

いや…人が空を飛んでおったら、それだけでおかしな話だからな。

結局飛んではおらなかった気がする。

「……」

まあ、羽がないからそんなことを気にしてもしょうがないがな。

「……」

傘を右手に持ち替えてから、我は横を流れる車たちを眺め、そして、タクシーの数を数え、鳥がいないか…静かに観察する。

「鳥はおらぬな」

雨の日はどこにおるのだろうな、鳥たちは。

…なんだか、飛びたい気分だ。

そして、シャワーにも入りたい気分だ。

「……」

我の羽はどちらかと言えば、撥水性が高いだろうからな。

傘の代わりにもなるだろう。

雨の中、長距離を飛ぶことも可能だろう…

「……ばかばかしいな」

早く帰ろうか、家の姫が騒ぎ出す前に。

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