3/3
昨日の翼も、今日の心も
「羽があればな…」
スーパーから出ると雨が首をかしげたような角度で、
ぽつぽつ、ぽつぽつとせわしく降っておった。
傘をもってきておいて、正解だったな。
…だいぶ、急な雨ではあったが、備えあれば憂いなしとやらだ。
「……」
我は雰囲気だけが強い雨の匂いと、スーパーで買った総菜のはっきりした匂いを鼻でつまみながら、革靴を硬質な地面に響かせる。
カコ、カコと…
もし、人間界を経由しても羽が消えぬのなら、我は空を飛んでおったのだろうか。
いや…人が空を飛んでおったら、それだけでおかしな話だからな。
結局飛んではおらなかった気がする。
「……」
まあ、羽がないからそんなことを気にしてもしょうがないがな。
「……」
傘を右手に持ち替えてから、我は横を流れる車たちを眺め、そして、タクシーの数を数え、鳥がいないか…静かに観察する。
「鳥はおらぬな」
雨の日はどこにおるのだろうな、鳥たちは。
…なんだか、飛びたい気分だ。
そして、シャワーにも入りたい気分だ。
「……」
我の羽はどちらかと言えば、撥水性が高いだろうからな。
傘の代わりにもなるだろう。
雨の中、長距離を飛ぶことも可能だろう…
「……ばかばかしいな」
早く帰ろうか、家の姫が騒ぎ出す前に。




