第3章-20
父さんが天然乾燥に適した角材の切り出しを終え
俺が荷台に【空間転移】で積み上げる
人力でやるより圧倒的に効率がいいので
先程、次の大経木を伐倒する準備を終えたタダッキニ先生が俺らを呼びに来る頃には
作業の殆どが終わっていた
荷台から落ちないように縄で固定したり
縄が食い込んで角材を傷付けないように緩衝材を挟んだり
その作業の方が時間がかかっていたくらいだ
「ええ!?もう終わったんですかい?俺はこっちの作業状況を見て、進捗次第でどれくらい人員をこっちに連れてくるかとか、今日はどれくらいで上がるかとか考えるつもりだったのに」
「ああ、こいつのおかげでな」
父さんが俺の肩をポンポンと叩いている
「マジか・・・、こりゃミナさんも鼻が高いってもんだ。いや凄え、クロス!この業界で働かねえか?笑」
「いえ、すみませんが僕はやりたいことがあるので」
「かーーーっ!ウィールヒル夫妻の伝説再来はまたお預けか・・・。クロス!お前がどんなスキルなのか詳しくは知らねえが、有用なことは間違いねえ!精々この仕事よりもすげー役に立つんだぜ?」
「頑張ります!先生!」
「おし!」
「おい、先生ってなんだよダウ」
母さんのこともよく知ってるようだ
ほんの少しだけ顔が引き攣りそうになったが
ダウコッチ先生は単純に母さんを持ち上げて尊敬しているだけだ
悪い気は全くしなかった
だから父さんも先生にここまで気を許してるんだろうな
俺達は3人で次の大経木のとこまで移動した
お昼も過ぎていた頃だったが
次の大経木の縄は半分が終了しているくらいだった
伐倒方向も問題はないらしい
父さんが色々確認してから作業員全員に告げた
「みんなご苦労さん!この木を倒すのは明日に回そう!今日出来ないこともないが暗くなってしまうだろうからな。疲れるし、明日に回した方が安全で、何より全ての質が良くなる筈だ。それでいいか!?」
作業員全員から了解の返事が聞こえる
「ありがとう!今日はみんなで晩飯にしよう!このダウコッチが全部出してくれる!俺の息子をみんなに紹介したいんだ!来られる奴はこっちに集まってくれ!」
ダウコッチ先生が青ざめているが
大丈夫なんだろうか
小さい声で
「来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな」
と目を閉じながら祈っていたが
残念ながら全員参加のようだ
「じゃああとよろしく」
そう言ってダウコッチ先生の背中をポンと叩いて
「先に帰るぞクロス」
「え?うん」
俺達は声にならない叫びをあげているダウコッチ先生を残して
先に現場から帰宅した
「大丈夫なの?」
「大丈夫さ、あいつには仕事も縁もくれてやってんだ。金はたんまり持ってるし、今日あいつあんま働いてねえだろ?」
そう言えばそうか
最初は俺に色々教えてくれてて
その後は木取りの交渉
こっちの作業が終わった頃に呼びに来るくらいには動いてないかもしれない
「ああやって悲壮感に暮れてるのも同情を買うための奴の芝居だろ。ああしとけば好き放題飲んだり食ったりする奴が減る。今頃、『あんたも苦労するな、まあ今日はご馳走になるぜ』みたいな声をかけられてるだろうよ。それを聞いて内心ほくそ笑んでる奴だよ、あいつは」
なんか心配して損した気分だ
「だから俺達は逆に宴会を盛り上げてやろうぜ!」
そこまで言うのなら遠慮することはない
先生に恨みはないどころか恩しかないけど
楽しいに越したことはないからな
頑張らせてもらおう




