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僕はテイマー  作者: 鳥越 暁
伯爵昇爵と領内経営
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昇爵と婚姻の儀

僕は今日、三人と婚姻の儀を挙げる。

三人とも素敵だし、いつも僕を一番に思ってくれる。嬉しいことだよね。

僕には正直に言って、結婚とか夫婦というものがよく分からない。エリナ姉さんも独身だし、考えて見ると周りに既婚者は少ないな。ショー兄さんとか、イードさんとかくらいかな。


その婚姻の儀の前に昇爵式があるんだけれど、普通は王宮に呼ばれて賜るんだ。今回は特別らしいんだけれど、きっとエリナ姉さんが何かしたんだと思うな、間違いないと思う。




僕の屋敷の大広間の扉が開いて、僕は進んで行く。いつも見ている場所とは思えない装飾などがされている。


「パドレオン・ユリアス卿。こちらへ」


呼ばれて歩み出る。


イブロスティ女王陛下が昇爵にあたって、僕の功績(?)なんかを周りの出席者に伝えるように言う。だいぶん、盛っていると思う。


「……これらを踏まえ、この国の女王として、卿の働きに報いなければならぬ。よって、卿を男爵位から昇爵し、伯爵位を授けるものである」


「「「どわーっ!」」」


な、なんか、歓声と拍手がすごいんだけれど!?


ちょっとびっくりしたけれど、平静を装って名と爵位の刻まれたプレートを頂く。同時に男爵位のプレートを返上した。褒美の品の目録を受け取って、御礼の言葉を述べたら終わりだ。

なんとか上手くこなせたと思う。


その後でエリナ姉さんが子爵を賜った。こめかみがピクピクしているので、ちょっと怒っているようだけれど、理由は分からない。事前に姉さんも賜爵すると聞いていたんだから。


なんとガディアナまで賜爵した。「当代男爵位」。聞いたことがない。

女王の代わりにお付の人が説明してくれる。


本来、非継承(一代限り)の爵位は「士爵」「騎士」位だけなのだが、働きが目覚しく特別に男爵位を授けるとのことだった。今のところ、非継承だが、今後の働きで正規の「男爵」位を授けよう、との事だった。

これで、ガディアナは「()男爵」となったのだ。


来賓からは少し拍手が少ないようにも感じたけれど、僕の知る人達は思いっきり拍手している。後で手が痛いんじゃないだろうか。



これで昇爵、賜爵の式は終わりだ。と思ったら、女王が続けて口を開いた。


「最初に述べたが、新・伯爵家は我らを魔物の脅威から守ってくれている。特に東部のブカスの森からの魔物を数度押え、その元凶と思われる奥の森にまで遠征したのだ。

今、新・伯爵家以外に押さえられる者はいないだろう。

そこで、今後の良からぬ事態に備え、ブカスの森のある程度の管理を依頼した」


それを補足するようにグオリオラ公爵が言う。


「これからブカスの森へ入る際はパドレオン卿の許可を得るように。これは陛下と高級公爵会議での決定だ」


会場はざわつく。


その訓示?宣言? が終わり、本当に爵位に関する式次第は終わる。



僕と妻になる3人は、一旦、屋敷の外に出されてしばし待つ。打ち合わせしたから大丈夫だ。

中では婚姻の儀用に舞台セットを変えているはず。


僕は3人と談笑していると、ルドフランが「準備ができました。鐘が一つなったらお入りください」と告げた。




鐘が鳴り、扉を開けると姉さんが出迎える。「おめでとう」と言って前を歩く。

その後ろを僕が。僕の後ろに3人が並ぶ形だ。


本当は新郎と新婦が並んで歩くのだけれど、僕はいきなり3人とだから、こうなった。


おおっ、プラティーナ達デーアビントルが天使を装って周りを飛ぶ。ありがとう。あれ?水の妖精のマイムが混じってるじゃん。


バージンロードの両脇にはルドフランやツキシロ、イーナ、イードさんやチョコレッタもいるな。僕の領の執行部が並んでくれている。姉さんが祭壇のところで脇に引っ込むと、代わりにパドディアとタカラナがにっこりと微笑みながら先導してくれた。練習したんだな。偉いぞ。


僕達は二人の神父様に認めてもらって晴れて夫婦となった。


こうして式は進み、無事に婚姻の儀を終えた。

本当にみんなありがとう。お客様もありがとう。


その後はパーティだ。屋敷の扉は解放。ビレッジユリアスの敷地内もパーティ仕様になっている。

屋敷の中は貴族の方達。外は領民達に分かれている。


最初は僕達が挨拶にまわる。昇爵の件と婚姻のために持参してくれた祝いの品への御礼だ。


それが一段落して席に着くと、今度は僕らのところに人がやってくる。陛下やテノーラさんに紹介される人も多い。あのシムオールの東の地区長もニコニコしながらやって来て、お祝いの言葉をくれる。根はいい人なんだけれど、欲深いから注意が必要だ。


貴族の方々との懇親を適当に済ませて、僕は表に出る。

ドワーフ族とかコロン族、ゼル村村長、シロコ村村長なんかが集まってくる。村人達もいるね。もう大分飲んでいるみたいだ。

幼なじみのショー兄夫妻は手品を披露してくれた。助手にチョコレッタがついていた。


婚姻の儀なんて、と思っていたけれど、みんなが楽しそうで良かったな。


こうして夜半過ぎまで祝宴は続いた。

ちょっと疲れた。

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