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チャリンコ・チャリオット  作者: 怠慢兎
第1章 ーワンパク ワンダー ワールドー
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41. モグリの冒険者

「今の発言は聞かなかったことにする。そして俺の頭はどうもしていない、至って冷静だ」

「それでもその手の案件は冒険ギルドを通して依頼を出すのが筋だと思いますが?」

「この街が出来るずっと前から湖の主として君臨し神格化した獣は、自分への悪意だの殺意だのの思念を感じ取るくらいは朝飯前だ。それが人によるものだとしても。そんな事を考えていると天罰が下るというやつで、とある商会ではその影響で一家全員無理心中にまで追い込まれたという噂すらある」

「……」

「噂だからと疑うだろうが、我々の業界ではその手の新たな噂は毎年のように出て来る。火のない所に煙は立たぬというだろう? 我々も怖いのさ、貸し先が呪われただの潰れただの幸いこの場では心を読まれる心配は無いが、ここから外部へ出てギルドで『ここの神様を殺してくださいな』なんて依頼するだけとは言え、行動に移してしまえば実行者諸共どんな目に遭うのやら……いい機会だから(しがらみ)を失くそうと」

「…私にはそれは建前で、本当はアルト君を傷付けたエルドワーフ君に危険な事をさせたいだけなんじゃないですか?」

「………いかんな、真実を混ぜても噓をつくと言葉が多めに並んでしまう。そして女性の勘というのも侮れんなぁ」


 女の勘でなくても誰でもそう思いますよ。きっと。


「そう言う事でしたら承服しかねます。こんな幼い子供をそんな目的で…」

「構わん、依頼を受けるかはソイツの選択で、依頼を受けると決めて初めてスカーレッド嬢の選択に意味が生まれる」

「神様が聞き逃しても私が告発しますよ!」

「握り潰してくれるわ」


 おやおやとうとうソイツ呼ばわりですか、馬脚を露しましたかねぇ。銀行の偉~い人なのに、口では冷静と言いつつ無事に終わった事をグチグチと、しかも後始末に依頼とか言って俺に死にに行けとか……


「おかしい……こんな幼稚な仕返しを考える方ではない筈だが?」


 セイン爺さんの呟きを参考にすれば……これもまたアルトみたいに操られてるんじゃ?

 あっ、コレこのままここに居たら面倒臭い事になる予感がする!


「すいませんが盗聴していたなら知っているでしょうが、どの道言われなくとも御詣りに行くつもりでしたよ」

「それは結構、では早速……」

「ハァ? 流石に報酬決めずに引き受けられねえ、です」


 神様の横槍だとかで冷静な判断と思考力が低下するにしても、無報酬は酷いだろ。


「チッ、今は虫の居所が悪いのでとっとと逝って欲しかったのだが……金貨千枚でどうだ」

「しばくz…じゃなかった、確か霊獣の討伐相場は金八百~千枚、しかも基本値。加えて何処の何ぞとなれば桁が増えたりは当然。更には冒険者の等級や個人への指名依頼など値段の変動する要素は沢山ある。なのに神獣一匹に一千枚ぽっちは有り得ないでしょう?」


 俺が仕留めた中でも最大の超級蛇(レイク・サーペント)は皮一枚で金貨二千枚の価値がある。アレが霊獣に匹敵するかは分からないが、神様レベルの獣だったら一千や二千で納まる訳が無いでしょうよ。


「ああそうかい、言われてみればそうだな。なら言い値で結構だ。ただし殺しきるまで来るんじゃないぞ」

「オイ、正気か!? 黙って聞いてりゃ雇い主でも限度ってもんがあるぜ!」

「口を慎め、黙ってろ。前向きな気持ちを無下にするんじゃない。貴様は減給だ」

「俺ぁアンタに恩も有って頭も上がらねえ、けどな、道を外しそうなのを黙って見過ごす程浅い付き合いはしてねぇと思ってるぜ?」

「私を諌めるのは仕事上の側近の役目であって、護衛の貴様ではない」

「それ以前に冒険者だ! 若い奴をむざむざ死にに行かせやし……!?」


 ちょっと喋ったら言い争い、もううんざりしてきたから、顔の前に指を一本立てて黙るのを待った。


「まず一つ、お二人の気遣いありがとうございます。二つ、まだ十歳で冒険者の登録もしていないので冒険者を基準に考えるのはよしましょう。そして三つ、報酬はこれでお願い致します。」

「「「「「?」」」」」


 冒険者じゃないのに冒険者の依頼をされる訳だから、相場通りに受ける訳も無い。つまり、俺はモグリだからね。


「3億だ」



「「えええーーーーー!!!!!!??????」」

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