激闘、チュートリアル!オーバートラッパー対戦
蘭が持っているそれは、何の変哲もないトランプであった。
「それが、オーバートラッパー?」
「違いますよぉ、ねえ板山さん?」
「ええ、これはトランプです」
こちらの疑問に仲良く答える蘭と板山さん。どうやら板山さんの怒りは収まっているようだ。しかし、これでは無いならオーバートラッパーとはなんだ?疑惑の眼を向けているのを感じたのか蘭がトランプを上に掲げながら答える。
「オーバートラッパーって言うのは先程も言った通りソリティアで言うスパイダーみたいな対戦ゲームです。そこに色んなキャラクターと効果を重ね合わせて対戦するんです。つまり?」
「何の効果も無くて良いなら、トランプでも可能って事?」
「正解でーす。流石だね流石だよ遊ちゃん」
つまり、どういう事かはわからないが、オーバートラッパーと言うゲームは例えスターターデッキが無くてもトランプで遊べるものなのだそうだ。確かに、これならトレーディングカードゲームと名乗らなくてもセーフになりそうだ。コンテンツと重ね合わせることで意味が出るコンテンツならば、コンテンツと重ね合わせ無ければ脱法ではあるが許されるという事になるからだ。なんたる屁理屈。これが収集ゲームの恐ろしさなのか。
「では、トランプなら許されると言う事で対戦しましょうか」
二人が教室に移動する。それを追うのはどうやら俺一人のようで、他の生徒会メンバーは全員生徒会室に残るようだった。
「ああ、ちょっと待ってね」
大友生徒会長に呼び止められる。
「この紙に部の色々書いて今週末までに提出してね。それじゃあまた明日」
「あっけらかんとしたその言葉に少し驚きながら俺は生徒会室を発ち教室へと戻った」
教室では、既に死闘が終盤に差し掛かっている様子で、どうやら蘭が勝ちそうらしい。
「コスト9クラランスでメインを攻撃」
「なんの!エイトアントでシールド」
「それを見越して、トラップカード発動。不埒なメイドロイドの特殊効果でシールドを破壊、アタック」
「く、負けたわ。強いわね」
「板山さんもよ、メイドロイドが居なきゃ私が負けていた」
「入部させてちょうだい、アナタのオーバートラッパー部に」
「違うよ板山さん、ここはオーバートラッパー部じゃない、戦略型紙遊戯同好会。もちろん他のゲームでも対戦しましょう」
どうやら女同士の熱い友情が最短時間で芽生えていたらしい。とても素敵な話である。それと同時に、明らかな違法所持の現行犯でもあった。
「隠し持って来ていやがった!」
そして、もう一つの事実に気が付く。蘭が俺にオーバートラッパーの話をしていなかったと言うことは、蘭が俺にオススメのゲームをオススメしていなかった期間があると言うこと。そして、そこから導きだされる答えはただ一つである。
「蘭、受検期間中にカードゲームで遊んでいやがったー」
一応言おう、ここ立木高校の偏差値は六十を越えている。
こうして、部活動が始まったのだった。




