82.些事の解決②
私の気分は沈んだまま口を開けないでいた。
「俺からもいいだろうか。」
祖父がこの雰囲気の中で言葉を発した。
気遣いなのか雰囲気など気にしないタイプなのか、
どちらにせよ私にとっては救いだった。
〖なんだ?〗
「結希から言われた事ではあるが、
遺骨を池に沈める時に砕く理由は何なんだ?」
〖あぁ、それは今池を見てみるといい。〗
「さっき見ただろ?映像が映った時に。」
〖誰が水の話をした、そうじゃない足元だ。〗
最初からそう言えよ!!!
と言う言葉は、私達3人共通だっただろう。
足元……池……?
私達はゆっくりと地面に視線を動かした。
すると……………。
「「「!!!!!」」」
〖ここも池の中だ。今は干上がってるがな。〗
「ほ、骨………踏んで……!!あっちも…。
骨が無い所に移動しよう……。」
「そ、そうだな。ゆっくりな!」
点在する骨を踏まないように注意して、
何とか本当の岸部分に着いた。
〖この頃まで骨はそのまま沈めていたのだ。
穢れによって力が弱まっただけなら、
まだ桜が少し散る程度で済んでいた。〗
「まさか……祠から御神体を出したから…。」
〖そう。祠を取り壊す前に像を外へ出した時、
池が枯れ始めたのだ。少しずつな。
桜庭の者が気付いたのは、祠が壊された後だった。
隆延は取り壊し作業を内密で進めたから。
驚かせたかったのか褒めて貰いたかったのか…。
幸いにも骨に気付いたのは隆延の祖父だった。
祖父達は隆延に気付かれぬように骨を集め、
池の水が残っていた中央部分にに纏めて沈めた。
その祖父が池に眠る時、骨を砕くよう隆延の父に言ったのだ。
そこからずっと続いている。〗
隆延…悪いやつじゃ無かったらしいけど、
この話を聞いたら悪いやつじゃ……?
〖庇うわけではないんだが、
良かれと思ってやった事…ではあったんだ。
祠が綺麗になるように、とな。
結果は逆効果だったわけだが。
桜庭は呪われ、己の立場も失った。
因果応報とは良く言ったものだな、
他国の教えもなかなか的を射ておる。
まぁ、骨についてはこんな所か。〗
水神様は己の祠が壊されたのに怒っては…無いらしい。意外。
〖何やら失礼なことを考えているな?
そもそもお前達口に気を付けろ!我は神であるぞ!!
他の神ならば「はい次ーーー。」………。〗
神なのは知っている。最低限敬っている。
でもこっちは殺されかけた。
事情は理解するが、すぐに納得するのは無理でしょ?
「話ちょっとだけ戻すけど、
水神様はなんでここにいるか聞いてないよ。
迎えじゃないなら何しに来たの?こっそり来たの?
我らが行くとか言ってたけど、
欠片の神様達が『あの方は来れない』って言ってたの聞こえたよ?
あの方って水神様でしょ?」
「結希に対しての介入は事が終わるまで出来ないが、
俺達をここに送り込んで、俺達を辿って来たらしい。」
「欠片の神様達がそう言ってたんならこっそりなんじゃない?」
〖違う!ちゃんと手順を踏んできた。
罰を食らうのは御免だからな。〗
「…罰って受けたらどうなるの?」
〖現世に居られなくなる。
あるいは、神格を奪われるか消されるかだな。
なのできちんと許可を取ってきたのだ。〗
「ふーん。」
〖感想が適当すぎる!!〗
問題がなさそうならいいや。
そもそも水神様達のせいだもんね。
「じゃあ沈む前に神の力を食らった私は
大丈夫なの?腕とか欠けてないよね!?」
「それ僕も思った!どうなの!?」
〖それは問題ない。力の影響は内部だ。
肉体への影響は、岸にいた時の脱力感のみだ。
池に沈む最中に回復は終わった。〗
「……無事なら、いい。
後は、何かあったっけ?
…………顔!無駄にイケメンなの何?」
さっき殴っちゃったけど、超絶イケメン!
今その要素要らなくない?
〖そなたが言ったろ?水辺で。
それに合わせてやったのだ。〗
『漫画でよくあるでしょ!?
人ならざる者の人型は、妖しくも美しい顔で人々を魅了するって。
漫画は漫画?今のこの状況。漫画としか言いようがないじゃない!!』
……言った。っていうか思った。
叔父達は微妙な顔で私を見ている。
何その目。別に面食いじゃないぞ!
言ったは言ったけど……。
「今じゃないんだよなぁ……。」
〖何だと!?美男が好みなのだろう!?〗
「いや見るのは好きだけどさ、
神様達のせいで指一本動かない程クタクタだった時に
イケメンで癒されたかっただけなんだけど。」
ホント、今じゃないんだよなぁ……




