表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/383

29.山崎と育築

「その結果、呪いはどうなりましたか?」


祖母がそう聞くと、山崎の表情が再び恐怖に変わった。



「結果は、ご存知の通り……です。

桜庭は呪われて、更に強い呪いが朝倉に。


化物に……睨まれて………反されて…。」


「化物?」


「水…大きな水……山のような塊……。

1つの……大きな目………たくさん……の…小さな…目…。」



さっきまで饒舌に朝倉の感情のまま話していた山崎が、急に口籠ってしまった。

文章と言うより単語を話している感じだ。祖母は山崎の話に目処をつけたようだ。


「まぁ、こんな所かしらね。

朝倉さんは水の玉について何かある?」


「えっと、特には…。私の場合はただ見ていただけです。害を加えられる事はありませんでした。

あれは…本当に居たんですね……。」


「どう言うこと?」


「過去の夢とは言え実際の記憶かどうかははっきりしないので、一部は夢特有の脚色みたいなものかと思ってて…。」


「夢、まぁそれもそうか。非現実的なものではあるわよね。」


「非現実的………そう言えば、室内で降った雨も幻だったんでしょうか。」



朝倉がそう言った時、静かだった山崎が突然喋り出した。


「雨。そう雨!また雨に阻まれた!積年の怨みを叶えるべくあの日…………なけなしの力を使ったんだ。

最後の最後の力だった。16年前に果たせなかった桜庭の血脈を、呪いなんかに頼らず自らの手で絶ち切ってやろうと!


なのにまた雨だった……。」


(なけなしの力?16年前?そんな前に何があった…雨……水………水辺…………まさか!!!!)



「………なけなしの力で何をしたの。」


祖母は静かな怒りを込めて山崎へ問い掛けた。


「殺してやったさ。あの日、外回りからの帰り道。ぺしゃんこにしてやろうと思った。そうした……筈だった。

また雨だったんだ…死んだけど……死んでない…。

また…また俺の望みは叶わない…。」


(………ゃなかった…………事故じゃなかった!!!

彼奴が……彼奴がカナちゃん殺したんだ!!!

なのによくも……よくも……)



驚きと怒りと悲しみで逆に少し落ち着いてしまった。それは私だけでは無かったらしい。

祖母を筆頭に、父、伯母、母、義伯父と順に見回すと皆血の気が引くほど手を握りしめていた。


必死に堪えているのだ………彼奴を殺さないために。



「フゥー…。………じゃあ16年前は何したの。」


「16年前……そうだよあれだよ!!あれが成功してたらこんな事になってねぇんだ!!!俺の子孫の癖に最後に日和りやがってこの間抜け野郎がよ!!!

あんなチビ殺すのに力の殆どを使った挙げ句殺せなかった。そればかりか気付かれやがった!

間抜け!!間抜け間抜け間抜け間抜け間抜け!!!」


(私が溺れた時の話だ……。水に足を取られたと思ってた。水の中は怖くなかった…。"守られてる"って感じてた。私を引き上げたカナちゃん怖い顔で遠くを見つめてた。……彼奴がいたんだ。


私を溺れさせたのは彼奴?私を殺せなくて、残った力でカナちゃんを殺した…………化物だ……。)



「お前が!!娘をあの川で溺れさせたのか…。

あの時奏多は俺に言ったんだ……『守んなきゃ』って。

何の事か聞いたら、『兄さんの不注意だって事にしとく』って……言ったんだ。

奏多はずっと知ってたんだな………ずっと一人で…。」    

      ダァァァァァァン!


父が悔しげに、憎々しげに振り上げた拳は……壁を砕くのに充分な威力を持っていた。




「はっ、溺れただと!?

隆延もそうだったが、この家は1人以外全員間抜けなのか?…いや…各代で1人……か…。

隆延の兄貴も親父も爺も皆賢かった。中々手を出せなくてやきもきしてた…。

隆延は本当に間抜けだった。今のお前らみたいにな!」


「なんだと?」


山崎の言葉…いやもうずっと朝倉育築だった。

育築の人格が山崎樹を飲み込んだのか、山崎自身が受け入れて共生してるのか……。

そんな育築は父と伯母を指して嘲笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ