何で俺だけ「優勝賞品」
順調に試合は消化されていき、とうとう優勝パーティが決まった。
「おめでとう諸君。優勝賞品はこれだ。三回までは死亡から復活できるネックレスだ。受け取ると良い。」
賞品は一つだが、破格である。コレが一つあるだけでパーティが崩れた場面で持ち堪えられるか、そうで無いかが大幅に変わる代物である。
それをミャウちゃんがトレイに乗せてプレイヤーの前にまで運び渡す。
「マジか!まだ復活の魔法を覚えたって奴の情報聞かないしな!」
「復活アイテムの話も話題にでてこないよね、掲示板にはまだ。」
「コレで最前線のダンジョンのボスに挑まねえ?ちょっとくらい無茶しても大丈夫になった事だし?」
「馬鹿お前何言ってんの?そんな勿体ない事できねえよ。これの今の価値を考えろよ。」
「これ、誰が装備するのが良いと思う?俺は僧侶が良いと思うんだが?」
「あー、それな。一番死なれると困るからなあ。それで決定?」
「諸君、喜んでいてくれたかな?それではそれをしまってくれたまえ。これから始まる時間の事を忘れて貰っては困る。」
優勝パーティは全員が生き残っていた。かなり練度の高い連携と、相手の攻撃を的確に防ぐ、潰すのがかなり上手かった。
それに相手に大技を繰り出させない、或いはタイミングをコントロールしてそのタイミングを読み切り、出す直前を確実に潰すなど。高度な作戦を実行している。
「君たち程の実力を持つプレイヤーなら、私のこの力を測るのに最適だろう。さあ、やり合おうか。」
プレイヤーがこの言葉に反応してネックレスをアイテムボックスに仕舞う。俺はこれをプレイヤーが準備できた合図として玉座から立ち上がる。
先ずは小手調べで良いだろう。俺はそう考えて前方へと大きくジャンプした。その高さは7m近い。
これに驚いたプレイヤーたちは完全に初動が遅れる。しかしその遅れをカバーしようとディフェンダーが前へと一歩出てその装備する盾を前に突き出すのだが、これは悪手だった。俺からのこの飛び蹴りの一撃は避けるべきだったのだ。
ベコン、その盾は強力そうではあったが、俺の飛び蹴りが当たった部分がめり込んでド真ん中から思い切りへこんだ。
そして一拍、間を開けてからそのプレイヤーはドゴン、といった派手な音を立てて壁へと激突する。
「まだ消えてはいないな?ふむ、盾で衝撃を大幅に吸収したか?吹き飛んだ事でエネルギー減衰が起きてダメージが抑えられたか?それとも、受け身を取って即死を免れたのか?ふむ、かなりの勢いを籠めた良い蹴りだったと今のは自画自賛していたんだが、な?」
こう言って俺はプレイヤーたちからのリアクションを待った。しかし一向に俺へと、魔王へと警戒心を向け続けるだけで動き出さない。
「先ほどの吹き飛んだプレイヤーを回復するまでこちらからは手を出さんでおこう。ゆっくりと今度は戦闘態勢に入ってくれたまえ。」
俺はこの初撃の感触だけで、プレイヤーがまだまだこの「魔王」を倒せるには至らない事を確信する。
なのでこうした不意打ちまがいの攻撃ではなく、ちゃんと今度は正面からぶち当たる方向へと切り替える。
「さあ、今度は準備が整ったら君たちの方から攻めてきたらどうかね?それまでは待とう。覚悟が決まったら再開しようか。」




