何で俺だけ「落ちていくモノたち」
どんどんと最後方のプレイヤーの青点から消えていくその状況に俺は満足した。
「いやー、けし掛けた魔物がフィールドボスだったのは気付いたけど、攻撃され無いなソレ、って思ったんだよねえ。けどまあこうして結果オーライか。お?ポイント入る入る。でも、一人につき入って来る数はそこまで多くないな?ま、入るだけ儲けたな。」
俺は「レース」をしているプレイヤー集団をずっと観察していた。そして魔物を操作してけし掛けた事は正解だったと一人満足する。
ミャウちゃんは今もまだ始まりの街の側にいる。そしてどうやら失格となったプレイヤーの暴走に付き合っているみたいだった。
何故それが分かるのかと言うと、こちらの「レース」を観察している間、青点が消えていないタイミングでポイントが入ってきたりするからだ。
そして俺はそれの確認をしっかりとしておこうと思ってミャウちゃんの様子を聞いてみる。
「そっちはどうなってる?もうそろそろミャウちゃん戻って来れそう?」
「いえ、魔王様申し訳ございません。愚かなるプレイヤー共の一部で暴動が起こりました。それを只今消している所です。まだもう暫くは戻れそうにありません。今もまだ私に攻撃を仕掛けてくる馬鹿がおりまして、その対処中です。」
やはり自分たちが失格だと言われて納得しない奴が出てきたらしい。無謀にもミャウちゃんへと攻撃を仕掛けていると言う。
「ああ、そう言った奴らには容赦無く攻撃してオッケー。あ、でもミャウちゃんが押し込まれて不味い状況に追い詰められたりしたら即逃げるように。プレイヤーをプチッとして得られるポイントよりもミャウちゃんの命の方がよっぽど俺には大事だからね?そこの点をちゃんと忘れない様に。」
「魔王様・・・はい!有難うございます!これからもこのミャウエル!魔王様の御側に、ずっとずっと!仕え続ける所存!」
何だかもの凄く感極まったような声でそう宣言をするミャウちゃんにちょっと引きながら俺は「無理せずに頑張ってね」と言っておいた。様子を見てこちらに戻って来るようにも追加で言っておく。
取り敢えずはまだまだどうやらミャウちゃんへと挑戦するプレイヤーが多いみたいなので、ポイント稼ぎを粘って貰うつもりだ。稼ぎ時と言うやつだろうか。
おそらくはプレイヤーは興奮をまだしているのだと思う。これだけの規模の乱戦、しかもプレイヤー同士のなのできっと気分が高まり過ぎて正常な判断ができないんだろう。
ミャウちゃんに敵わないと分かっていても、お祭り騒ぎで昂った気持ちを抑えきれずに「挑戦」を選んでしまうのかもしれない。
今もまだまだポイントが増え続けている事がそれを「真実だ」と肯定されている様に感じた。
「あ!先頭集団がポチポチと消えて行ってるな?んんん?赤点が何だかゆっくり消えたり、点いたりしてるなぁ?お?赤点が近づいたら青点消えちゃったな?この魔物、結構強い?」
俺はこの先頭集団へとけし掛けた魔物がどう言ったモノなのかを知らずにいた。まだまだ城の周囲の魔物の把握はしていなかったのだ。
プレイヤーがまだまだここには来ていない事で後回しにしていた。なのでこの赤点の明滅がどう言ったモノなのかが気になった。
けれどもそれを考えるのを止める。最後方のプレイヤーたちが蹴散らされて赤点がドンドンと先頭集団へと近づいて行っていたからだ。
「ここのフィールドボスがどれくらい強いのかをまだ把握して無かったからなー?流石にやられるって事は無いと思うんだけど、でも、ここに来て連携されたらもしかして数の暴力でやられちゃうって言う事も考えるべきだったなぁ。」
でも、俺のこの考えは杞憂だった。たちまちのうちに消えていく青点。プレイヤーが蹂躙されていっているのがそれだけで分かった。
最後方より迫り、次々に青点をけし飛ばして突き進み続けた赤点は、とうとう全てを追い抜いて先頭に躍り出た。
「うわぁ・・・ごぼう抜きって言葉が生温いなこれ。現場の、それこそ当事者としてその場にもし居たとしたら、さぞや地獄だっただろうなあ。ヤバすぎるだろ、コレは。」
その後も生き残っていた青点を一つ残らず虱潰しにした赤点。そして青点が全て消えた後にその動きがピタッと止まる。
「終わったな。さて、ミャウちゃんそっちはどう?」
「はい、こちらも終わりました。私へと攻撃を仕掛けてくる者は止まりました。帰還します。」
「はーいご苦労様。あ、レイド組んでたパーティの様子も見て来てくれない?」
「畏まりました。そ奴らの処遇はどの様に致しますか?」
「うーん、人数次第かな。何人集まってるのそのプレイヤーたちは?」
「はい、確か42人であったはずです。どうなさいますか?」
俺は8パーティと指定していた。なので人数的にあと1パーティ分足りていないと言う訳だ。まああんまりにも多かったらまた面倒だったのでまだマシな方かもしれない。
「まあ、城の前に来るまで様子見でいいや。そのままミャウちゃんも戻って来てくれていいよ。」
こうして当初は捌き切れないと思っていたプレイヤーの数は、最終的にここまでの人数に絞られた。




