何で俺だけ「棄権します」
その集まったプレイヤーたちは即席でのレイドを組んだ事がこれほどにハマるとは思っていなかった。
魔王の城まで向かうのにずっと走っているのだが、魔物には遭遇しないし、先行して先へと行っていた他のプレイヤーとも出会わない。
この様な状況で彼らはこのままこの人数で魔王城へと辿り着いた時の事を話し合う。
「なあ?どうする?確か8パーティ分だろ?」
「そうだよなぁ。1パーティ足りない事になるんだよなあ・・・」
「こういう場合って後から来る奴を待つの?」
「ここまでくると最後まで生き残った奴いるのか分からんな。先行してた奴らどうしたんだろ?城の前に居てもおかしく無いよな?」
「ここまで誰とも会って無いな。もう始まりの街の門出た直ぐの所で散々醜い争いはしたんだし、平和的解決がいいなあ私は。」
「平和的解決?じゃんけん?それともトランプ?」
「何でお前ゲームの中に来てまでトランプで遊ばなきゃならんの?つか、そんなアイテム何で持ってんの?何処で取った?」
それぞれのパーティのリーダーが話合いを行いながら徐々に魔王の城へと近づいて行く。
時に真剣に、時にふざけた様子で話し合いは続いた。それぞれのパーティの仲間にも意見を聞くなどして良い案が無いかどうかを探り続ける。あと一枠分が空いているのだ。
コレが埋まる時までこのまま待たされるのか?といった疑問が彼らの中にあった。
そしてとうとう城の前、その巨大な門へと到着した時に結論が出た。
「うちのパーティメンバーが棄権したいって言ってる。なんだかんだ仲間はもうお腹一杯だってさ。散々大魔法ブッパして結構もうスッキリしてるって。」
城の前に来たら一つのパーティが棄権を申し出てきた。どうやらリーダーは最後まで、と言った気持ちでいたようだが、仲間はどうにも始まりの街での大暴れで既に気持ちは満たされていたようで。
しかしここでその意見は承諾はされない。他のパーティが「それだと話が進まなくなるから」と。
こうして最後の1パーティを待とうとしていたプレイヤーたちの前に6つの影が舞い降りた。それは彼らよりも先に魔王城へと向かっていた集団の内の一つ、忍者パーティだった。
人数がこうして揃った瞬間にミャウエルがこの場に姿を現した。その顔には仮面が被られていて、しかも声すらも擦れておりその正体の一切を隠されている。
「では、私に着いて来てください。」
たったそれだけの言葉ではあったのだが、プレイヤーたちはこの素直に案内へと付いて行く。忍者が現れた驚きを置き去りにして。
コレは案内役であるミャウエルが「只者じゃない」と理解したからである。忍者の六人も「隠密」が得意だったにもかかわらず、影すら認識させないミャウエルの登場に肝を抜かれたからこそ、素直に何も言わずに付いて行っていた。
城の門へとミャウエルが近づけばその巨大な門は音も無く左右へと開く。人が通れるだけの隙間が空くと、そこへゾロゾロとプレイヤーたちは入っていく。
出場者全員が中へと入った後に案内人を務めるミャウエルが入り、門が自動で閉まっていく。
「つか、この案内役、やべえ雰囲気ビシビシだな。」
「多分だけどさ、この魔族って俺たちじゃ倒せないよな?」
「ここに居る全員で連携完璧で良い勝負、ってくらいじゃね?」
「なあ?このイベントの内容ってさ、この後どうなるかって言うのは説明無いよな?」
「そうだな、出場をした奴だけが知る、っていった感じじゃないか?後で中身の事は俺たちが掲示板に書き込むって事で。」
「そもそも案内人であれでしょ?この城で戦う事になる相手ってそれ以上にヤバい相手確定じゃね?・・・魔王か?」
この言葉は確かに的を得ていた。プレイヤーたちはコレに納得をしたようで全員が「うんうん」と首を縦に振る。
そして全員が以前にあったプレイヤー誘拐事件を思い出していたのだった。




