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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「小さな歯車の落ちる音」

 盾からは出るなと言っていたのに斥候が出て行ってしまった。しかし敵の攻撃は一向に来ず、寧ろこのままもしかしたら?などと思ってしまった。

 私はこのパーティーのリーダーだ。何としてでもこの時、彼を一人で行かせなければよかったと、次の瞬間に後悔をする事になった。

 音も無く前へと大分進んでいた斥候は森の木々に姿が紛れて私たちからは見えづらくなっていた。盾の裏に隠れると言う行動をしているので迂闊にその陰から顔を出す事もままならない。

 そんな時に私はちらりと目だけ盾から出して斥候の向かっていった先に視線を向けた。


 その時だ。丁度木々の隙間から無事な斥候の姿が見えたと思ったら青い光になって消えた。


「!?狙撃された!皆!最大警戒態勢!斥候がやられた!攻撃を受けない様に全員盾の後ろに固まれぇ!」


 大声で私は叫ぶ。それがしっかりと伝わって盾持ちがそれぞれの仲間を守るように動き出す。


「敵の攻撃は正面からだ!斥候がやられた時の光の筋は前方からだった!盾を正面へと構えろ!」


 私が発した情報に他のパーティも一斉にあらかじめ決めていたフォーメーションを組む。

 しかしそれから暫くしても次の攻撃がやって来なかった。


「全員!慎重に前進!隙を見せるな!今攻撃が来ないのはもしかしたらこちらの精神を削る目的なのかもしれない!平常心を保つんだ!」


 攻撃をする、と見せかけてしない、と見せかけてする。ここに来て心理戦を強いられた事に私は歯噛みする。

 ここでいっその事、連続して攻撃を仕掛けて来てくれていた方が安心した。しかし敵はその行動を取っては来なかった。

 そもそも最初からこちらの取った作戦は「忍耐」が必要な方法だった。これを採用しようと決めた時には多少の不満が皆にはあったが、それでもこの方法が一番効果があると分かってはいた。

 だがこうしてこの様な場面で、こんなプレッシャーを掛けてくる相手だとは思いもよらなかった。

 心理的負担が私たちの肩にずしりとのしかかって来る。しかしここで私は明るい声を出す。


「大丈夫だ!奴が攻撃してこないならソレはそれで好都合!その分距離を詰めるぞ!」


 前進あるのみ、と皆の心を鼓舞する。どうせ自分たちの選んだ方法ではそれしかできないから。

 ジリジリとした時間が過ぎていく。ここに集まったプレイヤーたちは比較的遅い時間まで居られる者たちが集まっていたので、この状況は別段、焦る場面では無かった。

 だが、やはり焦れて我慢ならなくなった者が出た。それはやはり斥候役のプレイヤーで、うちのパーティーとは別の所のであった。


「やられた奴は間抜けだったんだ。木々の重なった射線の通らない場所を見極めて進んでりゃやられはしなかったはずだ。俺が行ってくる!成功すりゃ俺が一番乗りに塔に到着だぜ!」


 自信家、言葉からそんな印象を受けるその斥候は盾から飛び出して近くの木の陰に隠れた。狙撃の射線に入らない様にと慎重に木々の間を素早く移動している。

 だが、結果だけ言ってみればその斥候も射抜かれてしまった。頭を一撃で。


「曲射だ!前進停止!安全確保ぉ!頭を守れぇぇ!」


 私の声が森に響いた時にはこの森に入っていた8パーティの内、2つがその曲射の餌食となって消された。

 警告の言葉に反応が遅れた者たちが散ったのだ。敵の攻撃は別に連射では無い。しかし確実に一発一発がプレイヤーの急所を打ち抜くクリティカルを出していた。

 しかもその射抜かれたプレイヤーは盾持ちからだった。確実に崩す、そして間髪入れずにその陰に隠れていた者たちを仕留めていく。一つ一つ。

 盾持ちを、自分を守るはずの仲間がやられて狼狽える、動揺したその一瞬のスキを、敵は見逃さない。だから2パーティーも潰された。


「皆集まれ!プラン変更だ!分散は意味が無い!固まるぞ!」


 ここで私はこれ以上数を減らされないために、あらかじめ幾つか考えてあった作戦の内、より防御に専念する作戦に変更した。

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