先輩たちとのお泊まり回・・・・え?夏の大陸で? ※挿絵
最近不定期で申し訳ないですがよろしくお願いします。
--ティアーネ--
先輩たちが家に泊まりに来た。
家って言うよりも、クラリティ王国にある別荘と言った方が正しいけど。
そこで、フリージア様たちが拍車をかけて世界中に存在が知られるようになった大事件
悪魔スタンピート事件
これが実際に起こり、解決した状況を録画した魔道具を鑑賞しました。
結果、
フリージア様たちを敵に回すと文字通り国丸ごと消滅させることなんて朝飯前だと実感させられました。
そして、フリージア様がかつて色々とやらかした珍事件の数数。
いやぁ・・アレは、いろんな意味ですごかったね。
主にフリージア様による天然ぼけの行動とそれに乗っかるメンバーと巻き込まれるメンバー
そして、その数々のぼけにツッコミが間に合っていなくてへとへとになってるカルナ
をタダ眺めて楽しんでる翠とシャスティ
で、今も昔も変わらずにすべてをスルーしてフリージア様を抱っこしてほおずりするアルナさんと
それもやっぱりスルーしちゃうフリージア様
そんな光景を微笑ましく眺めてるだけのリカルさん
まぁ、そこに時折母さんとかがアルナさんに混ざってフリージア様を愛でてるんだけど。
改めて先輩たちに言われちゃったよ。
普通の貴族じゃないって。
身分同士による壁はモノの見事にフリージア様の天然ぼけと天然物の魅了によりすべてが取っ払われて非常に和気藹々としている光景は普通じゃあり得ないんだそうな。
まぁ、知ってるけど物心つく前からこれだし、それ以外の貴族をまともに見たことないんだよなぁ。
で、今も昔もフリージア様には相手を魅了する魔法を纏う体質ではないかと言われてるけど。
実際のところ、アルナさん曰くそう言う体質”は”ないらしく、正真正銘タダの天然物なんだとか。
で、”は”の部分をやけに強調してたから何か体質があるのか聞いてみたところ。
「リア様は悪心の持ち主が一定範囲内にいたら1人残らず殲滅せずにはいられないと言う体質なんですよ。まぁ、ある意味それのおかげで今こうしてリア様が生きて下さっているのですから。」
すごく柔らかい笑みを浮かべながらそう言ってた。
聞くと、フリージア様は幼少期に色々あって寿命が冗談抜きで30歳まで生きられない状態だったらしいけど、異世界人風に言うとどう考えても無理ゲーだろという条件をクリアしたことにより今の種族に進化し、その寿命問題を解決したんだとか。
どうやら、フリージア様の種族である天使族の中でも階級持ちであり始祖になった条件は元々条件を知っていたとしてもほぼ確実にクリアすることは不可能と全員から即答された。
一応、クラリティ王国の図書館(協会内だけど)に記録されているらしいけど最高ランクの権限がないと見れないらしい。
で、話は戻すけどフリージア様のその体質は種族進化する際の生贄としてステータス上では消えはしたものの、種族特性の1つとして残っているんだとか。
まぁ、その体質に関してはクラリティ王国の国柄をそのまま体質にしたモノだと言われてるのである意味クラリティ王国王族の血筋を持つ1人だと納得される証拠の1つ扱いされてたりする。
と言うか、貴族特有の身分を笠に傲慢で部下を人として扱わない屑とかは、そもそも都に入ることすら出来ないし。
だって、門番であるレティンスさんが全部ダメだって判断して門を開けないし。
脅迫しようモノなら、そこら中を跳び回ってる小鳥によって鼓膜破壊の刑に処されるし
ちょっとした裏話(隠してないけど)をすると、さっさと始末しないとフリージア様が率先して襲ってくるのでその対処のためだったりする。
え?
好きにさせれば良いじゃないかって?
そんなことすれば、尋問してそいつらが関連してる連中も芋づる式に一欠片も残さずに自分で全部対処しに行っちゃうからだよ。
始末だけして後片付けをすべて周りの人たちに丸投げして。
ついでに言うと、レティンスさんの人の内面を見抜く力は、フリージア様が全面的に認めるほど優秀なため、時折彼の門番としての力を見習おうと見学に来る人がチラホラいたりするし、
なにげに女性にモテる。
本人は親切な人だとしか思ってないから気付いてないけど。
レティンスさんは、門番としての仕事をメインに誇りを持って頑張っており、それ以外の時間帯は事務処理や雑用、警備に農業とかなり幅広く手伝っていたりして非常にまじめで堅実な人だ。
そんな彼を勧誘する人はなにげに多いけどどんな条件を掲げようともすべて即答でNOと断っており、最近では断るためだけのために懐に断る理由を書いたメモを仕舞ってたりする。
まぁ、彼が都にいる理由は、軽いいじめっぽいことにあっていた彼をイリス様が勧誘したからだ。
ちょうど長期間の休みを王命で強制的に取らされていたときに小旅行をしていた通りすがりだったんだとか。
彼は生まれつきしゃべることが出来ず、そのことで色々と言われていたらしい。
とはいえ、彼が元々勤めていた町の領主さんは人を見抜く力はあり、彼の優秀さは太鼓判を押して認めていたらしい。
そのため、問題があったのはホントに勤めている場所の連中だけと言う状態のようだ。
で、そのまま都に住むことになり、救ってくれた恩を返すことと、しゃべれないなんて些細なこととすべてスルーして普通にやりとり出来る都のメンバーを守るためにあぁして門番としての仕事を誇りを持って勤めている。
そんな彼が、どんな好条件だったとしてもあの地を離れるはずがあり得ない。
まぁ、アルナさんも似たようなモノだけど。
「・・と言うよりさぁ-。」
「どうしました?」
夕ご飯やお風呂などは住ませてパジャマ姿でくつろいでいたときに双子先輩から微妙な表情で言われる。
「セニアちゃんから聞いたフリージア様のことと、この国のあちこちで良く聞く噂が全部事実だって確認も取れたのは良いんだけどさぁ。」
「その珍事件と良い、バトル方面の事件と良いさぁ・・ギャップがありすぎてどういうお方なのか余計に想像つかなくなったんだけど。」
「と言うか、人って拾うモノなの?」
「人を拾った人って正直物語以外で聞いたことないんだけど。」
「あぁ・・」
気持ちはわかる。
と言うより、基本放任主義だしなぁ・・ありとあらゆるモノをスルーする最強幼女
そして、トラブルに巻き込まれているような巻き込まれていないような、放任主義と言いながら首を突っ込んでいるようで受け流しているような色々と動きが読めないある意味不思議ちゃん。
「母様は、タダ単に周囲のことに無関心なだけですよ。ただ、敵には容赦しないだけで。ついでに言うと、珍事件の方は母様は無自覚にやらかしているので文字通りの天然です。」
ついでに言うと、あのお方に嘘は通じないし、無言で押し通すことも不可能である。
どうやら嘘を見抜く魔眼持ちらしい。
後、無言で押し通そうとすると、ジーッとしゃべってくれるまでタダひたすら無表情で見つめてくるんだよ・・。
おまけに、何をどうしてもすべて無反応でどこに移動しても一定の距離を開けたところからずっとジーッと見つめられる。
あの美貌も合わせると非常に精神ダメージが大きく、彼女相手に何かしらの事実を隠し通した人は1人も存在しない。
そのため、ごくたまにギルドからの依頼で尋問してもしゃべってくれないからどうにかしてくれと言う指名依頼がフリージア様相手にあり、その手口で全員がゲロっちゃう。
もれなく、信者になるというおまけ付きだけど。
「言い方は悪くなりますが、フリージア様はボケとツッコミで言うところの純粋培養な純度100%の天然系のボケです。どう言っても無駄です。本人が一番理解してないので。」
あの状態で20年以上続いてるというのが事実だし、ツッコミ担当なカルナが日々ツッコミに追いつかず遠い目をしてるのを良く目にする。
そして、ツッコミを入れたれた本人は不思議そうに首をかしげてるだけと言うのが定番。
「あぁ・・」
「なんとなくわかった。・・だから余計にアレで経産婦だって信じられないんだよねぇ。」
それは、私たちも同意見
確かにフリージア様が妊娠してお腹が膨れていたことや実際に出産したことは目撃されてはいるのに誰もが不思議がる謎の1つ。
「どこからどう見ても大事に大事に育てられた箱入り幼女だしねぇ。」
実際のところ、箱入り娘なんて言われるような人生送ってないけどねあのお方は。
しっかり旅もしてたし、メイドにおんぶに抱っこな私生活は全く送ってないし。
まぁ、ある意味嬉々としてお世話してるアルナさんのせいとも言うけど。
アルナさんがフリージア様を抱っこして歩いてる時点でそう認識されやすいんだよね。
それもあって、フリージア様は魔法以外の私生活では何も出来ない超純粋な箱入りお嬢様どころかお姫様と認識されてるんだよ。
まぁ・・・クラリティ王国側のメンツはほぼ全員が姫様呼びしてるのもそう認識される理由の1つだけど。
で、もしもホントにフリージア様がメイドさんなしで生きていけないような自堕落な人だったら・・・
・・・・・
・・ダメだ。
主にアルナさんが喜ぶだけだ。
他にもフリージア様を構いたくて仕方がないメンツにとってはご褒美にしかならない。
じゃあ、典型的なわがままお姫様だったら・・・
・・・・
ダメだ。
こっちもアルナさんが喜ぶ。
ここまで来るとアルナさんがいろんな意味で最強に聞こえてくる。
イエスマン(女性だしイエスウーマン?)というわけじゃないのにフリージア様関連だとある意味無敵になるアルナさんってホントになんなんだろう?
とかなんとか言ってるところで、突然ひょこんとセニアのケモ耳が動き、本人も何かに気をとられたのように誰もいない方向を見つめる。
「セニアちゃんどうしたの?」
「・・・・」
セニアに双子先輩が声をかけるけどセニアは無言でひょこひょことお耳が動くだけ。
可愛いけど視線は誰もいないところをジーッと見つめるだけ。
・・・頭の端っこでにゃんこが何もないところを見つめているのを彷彿とさせた。
フリージア様も時折同じことするけど、ホントに何もない。
余談だけど、アレは見えない何かが見えると言う説が有名だけど、実際はそんなのではなく小さな虫とか宙を舞うほこりとか小さい何かを目で追っているだけだったりすると言うのが現実。
偶にホントに半透明な何かだったりすることもあるらしいけど。
そして、すたすたすたと突然窓を開け、外に飛び出していく。
「どこ行くの?」
やっぱりスルーして歩いて行くセニアの先には種類豊富な大量の鳥たちだった。
「うわっ、なんかすっごいいっぱいいる。」
「え・・なんで・・」
それを見てから私とリンは察した。
「あぁ・・セニア宛のお客さんか。」
「え?」
「お客さん?」
「お客さん」
「お客さん・・・」
「お客さん」
「・・・」
リンとよくわからないやりとりをしてるけどまぁいいや。
セニアは、種族特性としてありとあらゆる動物と意思疎通が人と行うのと同様レベルで可能だ。
そんなわけで、時折こうしてセニアは動物と意思疎通を行って情報を提供してもらったりしている。
報酬は、都の薬草茶を改良して作ったおやつだ。
ぱっと見は真緑色のお米だけど、1粒1粒がモチモチとしていながらもつるんと飲み込めてしまう。
味は、果物ジュースと野菜ジュースを混ぜたようなモノで人も食べようと思えば普通に食べてもいいモノだ。
ただまぁ、人用のと比べると素材の味のみのため、少々味がうっすらとしてるけど地味にそれを定期的に購入する人は多い。
で、一応おやつ枠。
動物たちにとってはとんでもなく栄養豊富な上においしい特上品という認識らしくそれを食べたいがためにせっせと情報を集めては食べにやってくる。
ついでに言うと、情報がなくとも普通にあげるし、食べれるんだけど動物たちが率先して献上してくる。
元々は外猫に餌をあげるように無料で配布してたんだけど、申し訳ないと動物たちが思い、考えた結果、自分たちで報酬を用意しようと言うことになった。
で、当初は木の実とか自分たちから採れた角とか鱗とかだったんだけど、気付くと情報を渡すと言う形で落ち着いた。
ちなみに、誰1人としてそんなのをくれと言ったことは皆無で、ホントに自主的だ。
まぁ、フリージア様も時折同じようなことをしてるけど。
その光景を見るたびにあぁ親子だなぁと実感する。
いつもなら穏やかな表情で耳を澄ませてるはずなんだけど、様子がおかしい。
セニアの表情が裏人格モードになってる。
それだけ、ヤバい情報らしい。
で、目を見開いて
「え・・1晩で大国が滅んだ?どういうこと?わかる範囲で良いから教えて。」
とんでもない台詞をつぶやいた。
さすがに双子先輩たちも聞こえたらしくものすごく慌ててセニアに大声で声をかける。
ちなみに、ずっと無言だったけど他2人の先輩たちも一緒だよ。
「あぁ、今のセニアに話しかけない方が・・」
で、リンが声をかける先輩たちを止めようとするが、遅かった。
「うるせぇ!!邪魔するんじゃねぇ!!消し飛ばすぞ!!」
とんでもないレベルの殺気がセニアから飛ばされた。
全員「っ!!!」
おまけに瞳は縦長くなりまさしく獣そのものの瞳に変化している。
あぁあ。
だからリンが止めたのに(遅かったけど)
・・・アレはヤバい。
ガチモードだ。
その瞳の状態でガチモードの殺気は冗談抜きで普段のガチの殺気と比べものにならないレベルになる。
それと、セニアが消し飛ばすと言ってるけど・・・やろうと思えばガチで出来ちゃうんだよなぁ・・。(遠い目)
おかげで全員脚ががっくがくで顔を真っ青にしている。
ほぅ?
意識を失わないだけ優秀だね。
大抵の人は泡吹いて気絶か、人によっては永遠に寝たきりになるのに。
まぁ、過去にそうなったのは生きる価値のない屑だったからもーまんたい。
そして、セニアはそんな死屍累々状態の先輩たちを放置して鳥たちとの話に戻る。
「ごめんごめん。屑共が邪魔だったから。それで?わかる範囲で良いから。」
先輩たちを屑共って・・・
「ぴぃぴぃ」
「うんうん」
「ぐあぐあ」
「うんうん」
「ぺんぺん」
「うんうん」
「にゃぁお」
「うんうん」
「うっふんふん」
「うん、なるほど。」
なんか一部鳥とは明らかにおかしい鳴き声とか鳥じゃないのが聞こえた気がするけど、今のセニアの状態だと私たちでもヤバい。
ヘタすれば冗談抜きで攻撃される。
「・・・なるほど。大体わかった。情報ありがとう。何かわかったらまた情報ちょうだい?報酬はしっかり払うからね。」
ちなみに、その報酬というのはさっき言ったおやつとは別で、各動物用にそれを改良した特別品だ。
鳥用とか猫用とかそんな感じで、それぞれの種族用だと食べる本人たち曰く味がよりしっかりするのでおいしいらしい。
種族ごとに味わう感覚とかが色々と違うらしい。
そして、報酬はたっぷりと支払われ、セニアは真剣な表情のまま屋根の上まで跳んでいき、静かに月を眺めながらひざを抱えている。
そんなセニアをどことなく心配そうにサリエルが寄り添い、セニアは苦笑しながら撫でている。
「・・・とりあえず、先輩たちを部屋に運ぼうか。」
「だね・・。話は明日で良いね。」
「・・今はダメだろうね。」
だって、まだ瞳が獣モードだし。
え?
あの獣状態の瞳は何か説明しろって?
セニアには、フリージア様にガチの緊急時以外には使用禁止を言われているワザが1つあるんだ。
アレは、そのワザの一部開放って感じかな。
セニアのステータスを見たことがあるなら【獣化】ってワザがあったと思うけど、それを極々一部だけ使用している状態ってわけ。
あぁ・・・・どうしよう。
「ねぇ・・ティア・・。」
「うん・・・アレ・・どうやったら戻ると思う?」
「と言うよりも、僕たち2人がかりで甘やかしたとして元に戻ると思う?」
「今回のは、そんなので戻るようなヤワなモノじゃなさそうだしなぁ・・。」
「うん・・アレは、規模が規模故にガチモードになってるだけでぶち切れてると言うわけじゃないし。」
「と言うより、真剣モードだからちょっとした割り込みすらも逆鱗になりかけるかなりヤバい綱渡り状態だからヘタに刺激しない方が身のためだし・・。」
実際過去に何回か今みたいに瞳だけ獣モードになったことはある。
あのときは、正直私たちが総出で数日間みっちりと甘やかして落ち着いたわけだけど、ちょっとした刺激であっという間に元通り獣状態に戻っちゃうから完全になだめられたワケじゃないし。
そういうときは・・
「仕方がない。フリージア様を召還するか。」
リン・・気持ちはわかるけど召還って・・。
「しかないね。」
それに限る。
これに関しては、イリス様でもグリム様でもなく、フリージア様ただ1人にしか元に戻すことは出来ない。
それがマザコンだからとかそう言うレベルではなく、魂レベルの上下関係によるモノらしいと黄昏から聞いてるから文字通りの格の違いというものらしい。
けど、神獣である黄昏相手でもどうにもならないのでますますフリージア様の謎が増える。
で、通信用の魔道具を使って事情説明をしたら、翌朝目を覚ますとフリージア様が当たり前のように黄昏を背もたれにしてくつろいでた。
そして、隣には当たり前のようにアルナさんがでれでれ顔でフリージア様を愛でており、そしてひざの上には当たり前のようにシャスティがいる。
まぁ、フリージア様の肩には翠さんがいて、首元にはマフラーになりすましているラナがいるけどそこはいつものこと。
それと、ずっとツッコミを入れたかったのを我慢してたらリンがツッコんだ。
「えぇっと・・フリージア様・・」
「?」
不思議そうに首をかしげてる。
「その・・尻尾はどうしたんですか?」
そう。
フリージア様のお尻からにょろんと尻尾が生えてる。
ご丁寧にゆらゆらと手を振るように揺らしたり指差すように動かしたりと自由に操ってる。
「?」
そして、フリージア様は首をかしげるのみ。
仕方がなくアルナさんに視線を向けると苦笑して答えてくれた。
「ある日突然生えてきたんですよ。可愛いですよね。」
いやまぁ・・可愛いのは否定しないけど何で生えてきたのとかそれ何とか色々言いたいんだけど。
「一応翠さんが言うには、リア様が信仰されすぎたことが影響してるらしいですよ?」
「信仰・・はさておき、されすぎとは?」
【信仰の尾】
世界中で一定数以上の人数と種族に信仰された証
だが猫の尻尾なのは、趣味。
色は髪色と全く同じになる。
長さは1~3メートルの長さの間なら自由自在だが意味はない。
リンと私、そしてずっと頭を撫でられ、ブラッシングされながら宥められてるセニア3人にだけ教えてもらった。
「これ・・・間違いなく陰の親衛隊のせいだよね?」
「うん。」
世界中に蔓延っているフリージア様命の集団。
この間会員人数が5桁を軽く超えたとか6桁くらい軽くいるとか国や町に必ず数人はいるとか色々言われてる。
種族とか性別とか年齢とか問わずフリージア様の人気は高いからまぁ・・・納得と言えば納得。
フリージア様の母親であるペチュニア様は何というか戦いの英雄的な扱いで大人気だけど、フリージア様の場合かなりファンのバリエーションが広いので文字通りの信仰枠だったりする。
それに紛れてペチュニア様と似たようなポジションに立ってるのはグリム様(本人は不本意)で、その本人は引きつった顔になってる。
それと、猫の尻尾なのは趣味って・・・誰の趣味なのさ。
と言うか、意味がないのになぜに長さが変わる。
ちなみに、セニアのご機嫌はフリージア様のブラッシングによって速攻で戻った。
そして、突如尻尾が生えた当の本人はと言うと全く気にせずスルーしていたらしく、気付いてツッコミを入れたまわりのメンツは生えてきてから数日以上経過した後だったりするのだとか。
で、色々と落ち着いたところで先輩たちとフリージア様たちとのご挨拶はフリージア様のおかげ(せい?)でサクッと終わった。
{セニちゃん。滅んだ国について教えてもらえますか?}
フリージア様のブラッシングですっかりご機嫌が戻ったセニアにフリージア様はドストレートな台詞を手軽にたたきつける。
そんな遠慮もへったくれもない台詞にロード先輩は顔が引きつっている。
で、超弩級マザコンなセニアは蕩けた表情で答える。
「夏の大陸の中にある大国が何かやったらいけないことをしてその被害者による八つ当たりで消し飛んだらしいです。一応関係ないと思われる人とかは命に別状はないらしいですが、トラウマとセットで衝撃波をプレゼントされて各地に吹っ飛んだらしいです。おそらくヴォールと言う名前の国と思われます。」
何というか、同じく遠慮もへったくれもない台詞が飛び交ってる。
と言うか、人間事情なんて知ったことじゃないはずの鳥からすっごく詳しい情報が集まってることにびっくり。
で、フリージア様はというとそれを聞いて軽く目をつむって動きが固まった。
あぁ・・これは確か
「情報整理中だな。」
どうやら色々と知識関連のワザも豊富で自信の膨大な情報量も合わせて聞いた情報をキーにして関連情報を記憶の中から引っ張り出し、状況を推理して推測しているらしい。
その結果に関しては、預言者として有名なイリス様の娘としてふさわしい精度だとだけ言っておく。
そして、ゆっくりと目を開いて答えと告げた。
{おそらく禁忌魔法である拉致魔法を使ったようですね。}
えぇっと、フリージア様が言う拉致魔法って確か正式名称は・・
「異世界召喚魔法でしたか?話の流れからして召喚された人によって状況を速攻で理解してそのまま盛大に仕返しをしたと言うことですか?」
リンがおそるおそる答える。
(コクリ)
リンの意見で合っているらしい。
関係ないけど、リンはフリージア様が少々苦手らしい。
何というか、時折フリージア様による少々過剰なスキンシップによって盛大に(いろんな意味で)乱されるから勝てる気がしないらしい。
リンはスキンシップ後はいつも足腰が立たない状態で顔を真っ赤にしてぷるぷるしてるし。
そこで、アルナさんが首をかしげる。
「アレ?あの冬の大陸での件以降でも何カ所かリア様国どころか大陸ごと消し飛ばしてましたけどまだ残ってたんですか?セイちゃんたちも旅の途中で協力して滅ぼしたはずですけど。」
全員「・・・・・」
・・・・・
フリージア様・・あなたは冗談抜きで世界最強なんですね・・。
全員の顔が引きつってる。
と言うか、リンの両親も盛大にやらかしてた。
さすが、(言えないけど)勇者と聖女コンビ。
{そのようですね。確認不足でした。その方にはご迷惑をかけました。}
「リア様のせいじゃないと思うんですけど・・。」
{私が私として存在している使命でもありますから。}
「・・・なるほど。当然私も協力しますよ」
(コクリ)
使命・・・フリージア様の場合だと種族か職業のどっちかの関連かな?
言えないし言わないけど。
「ですが、召還された初日に国丸ごと敵のみを消し飛ばすなんてその方すごく優秀ですね。大抵は状況に混乱するかすべてを破壊するだけなのに。」
{意外と似たような経験がある方なのかもしれませんね。}
「なるほど・・すごく大変そうな人生を歩んでるんですね。」
アルナさんの言いたいことはすごくわかる。
世界規模で拉致されるようなことに速攻で理解出来るような人生って私もそんな人生に慣れたくない。
「母様。私はどうしたら良いですか?何かした方が良いですか?」
セニアがフリージア様に尋ねる。
{状況次第では必要かもしれませんが聞く限りですとその拉致された方だけで十分どうにか出来ているのでとりあえずは放置で良いですよ。後は関係しそうな連中を私が始末しておきますし、その方の支えになるように調べてフォローしておきます。親に任せておきなさい。}
「わかりました。・・ありがとうございます。」
よしよしと頭を撫でるフリージア様と顔が蕩けてるセニアを見る。
・・やっぱりどう見ても親子じゃなくて姉妹だね。




