表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【3部 秋の巻 編】
105/199

94話 秋祭り その7

 秋祭りのお話は、やっとこれでイベント回収出来ました。残すは、締めの部分のみで、秋祭りのお話は終了となります。


いつも通り、未香子視点となります。


※今回、暴力行為が見られます。暴力など苦手な方には、気分が悪くなりませんよう、ご注意くださいませ。

 えっ?!…私は、店員に手渡した人物を見上げて、固まってしまう。そう、私の手から小物入れを取り上げて、店員に渡したのは葉月(はづき)だったのである。

えっ?…どういうことですの?…プレゼントと言われておりますが、()()()()()()()()()おつもりですの?…どういうおつもりですの…葉月…?


このお店の品物は、手作りということで1点物ばかりですから、同じものは置いていない。つまり…、私は買い損ねたということでしょうか?…私は、信じられない光景を見るような気持ちで、その小物入れの行方を一心に追いかけ、呆然と見つめていたのでした。


葉月がお金を支払い、包装された小物入れが、再び葉月の手に渡るまで、只管ジッと見つめていた…私。葉月は、このお店から少し離れた所に来てから、手に持っていた包みを、私の方に突き出して来た。…えっ?…今度は…何?

私は全く意味が分からず、見上げるようにして葉月の顔を仰ぎ見る。葉月と目を合わせると、途端に彼は挙動不審な様子となって。私と目を合わせないようにして、彼の目線が彷徨う。


 「…その…未香子(みかこ)が欲しそうに見えたから、プレゼントした方がいいかな~と、思ったんだよ…。以前に貰った…夕月(ゆづ)とのお揃いのペア・アクセ、あの時の…お礼のつもり…だったんだよ。…え~と。未香子……貰ってくれる?」


えええっ~~!…これのプレゼント用の包装は、()()()()()()()()…のつもりだったのですの?…本当に…私が貰っていいの…かしら?…元々、私が買うつもりだった小物入れですけれども、葉月にとっては…ペア・アクセのお礼のようなもの、だとは…正直吃驚ですわ。それでも…何だか…嬉しい。さり気無い優しさに、とても照れ臭くて。そう言いましたら、先程から…葉月の様子がおかしいのですわ。

私と全く目線を…合わせようとしない。…あら、あらっ?…もしかしなくても…照れていらっしゃいますの?


 「…葉月、ありがとう。私…この小物入れを気に入っていましたの。ですから、自分のお小遣いで買うつもりでいたのです。正直言いまして、葉月から…プレゼントされるとは思っておりませんでしたのよ。…とても…嬉しいですわ。本当に…ありがとうございます。大事に…しますね?」

 「…うん。良かったよ…。欲しいと思っているのなあ、と思っていたけど、自信があった訳じゃないし。買ったのはいいけれど、急に違っているんじゃないかと、自信がなくなったんだよね…。自分で買う程、欲しい物なら…良かったよ…。」


私は…正直に今の気持ちを伝えてみる。葉月が私の為にと、初めてプレゼントしてくれた物なんですもの。葉月は自信満々のように見えましたけれど、きっと私が戸惑っていたのを勘違いされたのね?…自信がなくなってしまったのは、私の態度の所為ですのに。…ごめんね、そして…ありがとう、葉月。まさか、私にプレゼントする為に、態々ラッピングまでお願いするとは、()()()()()()()()()のですわ。


よくよく今日という日を振り返れば、確かにプレゼントとは異なりますが、夜店で遊んだ金魚すくいでは、葉月が取った金魚も含め全部貰っておりますし、射的コーナーでは、私が欲しがったぬいぐるみを当ててくれて、それも私が貰っておりますのよ。…う~ん。そう考えますと、夏休みにお兄様達と一緒に水族館に行った時にも、ゲームコーナーのクレーンゲームで、水族館の非売品がどうしても欲しくて、葉月が私用にも取ってくれましたのよ。もう1つ葉月が取ったお揃いのぬいぐるみは、夕月(ゆづ)用でしたわね。…ふふっ。


 「もうすぐ、花火が始まる時間だから、朔兄(さきにい)達と合流しよう。」


葉月と兄は、花火を観賞する場所も明確に、予め決めているらしい。先程、一度落ち合いました時も、花火会場に向かう為の確認と調整だったと、葉月が教えてくれて安心しましたわ。彼が言う通り、この場所から花火会場までは、ほど近い距離でしたのね。花火会場には、兄達が既に場所を取ってくださっておられて、私達も漸く合流して、一緒に花火を見ることが出来ましたの。


花火が上がろうとしている中、ふと隣に目を向けると、夕月(ゆづ)()()()()幾つか持っている。お兄様も…何個か。あらあらっ…。どうやら…お2人で、ゲームコーナーで遊び回っておられた様ですわね?






     ****************************






 花火も終了すると大勢の人達が、一斉に駅の方へと移動する。お兄様が焼きそばとか食べ物や飲み物を買い込んでおられますので、私達はそれを摘まみながらも、人混みが減ってからゆっくりと帰宅することにして、その場で過ごしていた。

4人で楽しくおしゃべりしたりしながら。


花火会場に居た周りを通る人達が、私達を横目に見ながら去って行く。所謂カップルでない人達が、羨ましそうに見つめてきたり、「うわっ!リア充、死ね!」とか「お揃の浴衣着て、当て付け?」とかいう、心無い声も聞こえてきたりして。

いつもと異なり、普段の夕月(ゆづ)を知るような好意的な人達は、この場にいないのですものね?…今日の夕月(ゆづ)は、可愛らしい女性ですから、仕方ありませんわよね。


兄も葉月も聞こえているはずですのに、全く動じておりませんわね。完全無視状態ですのよ。言いたいものには言わしておけ、ということでしょうね。逆に私は、赤面してしまいそうでしたわ。何とか耐えましたけれども、恥ずかしくて。

()()()()()()()()()()()とは、兄と夕月(ゆづ)がカップルで、私と葉月も…そう見えるということで!?


…えええっ~!?…私と葉月が…お揃いの浴衣?…確かに、いつもと逆の組み合わせだと、思っていましたけれども。色も揃えたかのように、同じ生地の色ではないかとは…感じておりましたが。もしかして…態とお揃いでしたとか…?

もし…そうでしたら、それは…間違いなく、お兄様の陰謀ですわね!…お兄様!

私とはそれほどまでに、()()()()()()()()()()()()()()のですの?!

妹として…少しだけショックでしてよ!


私達の周りに人が減って来た頃、逆に私達の近づく気配がして、ハッとするのと同時に、()()()()()()が一斉に動く。私が気付く頃には、私の前に夕月(ゆづ)が、私を守るようにして抱き込んでいた。兄と葉月は既に立ち上がり、私達の前に立ち塞がるようにして守ってくれている。兄達の前には、学生と思われる若い男性達が居た。

如何(いか)にもガラが悪そうな男達が、4~5人ほど見えて。…ううっ!…この人達…何ですの?…何がしたいの…でしょうか?


 「おい、おい。見せつけてくれてじゃん。お前らみたいな優男ばかりが、モテるなんてムカつくんだよねえ。俺らにも…その幸せを分けてくれよなあ?…ちょっとでいいからさあ、彼女達を貸してくれよ~。そしたら…穏便に済ませてやるよ。それぐらい、簡単だろ?」

 「…折角…穏便に済ませてやろうと、思っていたのに…な。これは…見逃せないよね?なあ…葉月?」

 「…そうだね、朔兄。選りにも選って、彼女達を貸せとは、随分とふざけたことを言うね、君達?…手加減は…要らないよね、朔兄?」


私達がカップルだと勝手に勘違いしており、因縁をつけて来たようである。

…私達を。何だと思っているの!…物ではなくてよ!…男達の言葉には、私だけでなく、兄も葉月も夕月(ゆづ)も…キレていた。お兄様は…物騒な言葉を吐いておられ、葉月も…声が一段ほど低くなっていた。私を包み込む夕月(ゆづ)も、ギュッとより強く包み込む。いざとなれば、夕月(ゆづ)も浴衣で戦うであろう。そのような事態には…()()()()()()()でしょうが。お兄様も葉月も…夕月(ゆづ)同様に、いいえ…それ以上に、ケンカが強いのですもの。それに、お兄様達が…手加減など、される訳がありませんわ。


「何だと!」と怒り狂ったかのように、先に…し掛けて来た男達は、あっという間に数秒の速さで、お兄様と葉月のお2人が…してしまわれましたのよ。

因縁をつけた男達の攻撃を躱し、彼らの脇腹に拳を入れたり、足を引っかけてよろけた時に、背中に肘攻撃を食らわしたり…。まるで…次々と流れ作業のように、片づけて行かれましたわ。


…ふう~。…やはり…ね。お2人共、あまりお顔には出されていませんでしたが、とても怒っていらしたのね?…あんなにも怒らせてしまっては、お相手の方には…勝ち目はありませんわね…。お兄様は見逃せない…と、葉月が手加減しない…と、キッパリ言い切られておられますもの。


そのお兄様は、男達のリーダーと思われる人物の耳元で、何か呟いたご様子でしたわ。ロクな…お話ではないでしょう。その後、リーダー格の男は、お兄様が話し掛ける度に、プルプルしたりビクビクしたりと、かなり怯えているご様子ですわね。お兄様が…何か強烈な脅しをされた、と思われます。葉月も横顔しか見えませんけれど、かなりのご立腹なご様子ですし、冷淡な冷たいお顔をされてますわね。

本気で怒った時の夕月(ゆづ)に、そっくりなお顔でしてよ。


夕月(ゆづ)が私を包み込んでいたお陰で、私はいつもよりも冷静に観察が出来ましたわ。

お兄様達のケンカを、初めて真正面から見た気が致します。今回見学していて、葉月のケンカの仕方が、夕月(ゆづ)のそれに…非常に似ている、と…気が付きましたのよ。まるで…()()()()()()()()


それは…双子だからなのでしょうか?…それとも、葉月が夕月(ゆづ)に…武術を教えたからでしょうか?…何だかとっても…不思議な気分でしたのよ…。

 秋祭りのお話、part7となります。夜のお祭り会場の続きです。

漸く、夜のお祭りのメインのお話、終了の目処が立ちました。恋愛イベントとケンカのイベント両方が回収でき、満足しています。


葉月がプレゼントを買うお話と、4人が男達に絡まれるお話が、94話に詰め込んだ形になりました。次回で『秋祭り』は終了予定ですが、他の人物視点の裏話として、いつか書きたいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ