93話 秋祭り その6
秋祭りのお話、part6です。…まだ続きます。長くてすみません…。
いつも通り、未香子視点となります。お祭りでの出来事となります。
あの後は何とか、葉月とも打ち解けられた雰囲気となり、私も葉月も共に、夜店で何か食べ物を買っては、一緒に食べ歩きをしたり、金魚すくいや射的などにも、挑戦してみたりしていた。昼間に食べた物とは異なり、よく縁日とかで売っているような、しっかりした系の物を食べたりしたのです。夕月は甘いものが大丈夫だから、綿菓子とかりんご飴とか、よく一緒に買っていたのですのよ。しかし、まさか…葉月が苦手だったとは、思いもしませんでしたのよ。主に一緒に買ったのは、フランクフルトやイカ焼き等で、それから…ジュース等でしたわね。
「…う~ん。こういう屋台の綿菓子とか、りんご飴とかは、苦手なんだよね…。バレンタインチョコとかなら多くなければ、まだ何とか…食べきれるけどさ。こういう場所の駄菓子系って、甘すぎるんだよ…。まあ…少しぐらいなら食べられるんだけど、さすがに全部は…無理だよなあ…。」
「昔は…どうしていましたの?…確か…幼い時は、買っていましたわよね?」
「小学生ぐらいまでは…ね。皆が食べていれば、少しぐらい…食べたいと思ってね…。でもさあ、昔から…全部は食べきれなくて、残りは…夕月に食べてもらっていたんだよねえ…。ああ見えても、夕月は甘党だからさ…。」
「…えっ?!…そうでしたの?…全く知りませんでしたわ。お兄様は残さずに、全部召し上がられておりましたから、葉月もてっきり…そうなのだとばかり、思っていましたのよ。」
「いや…。朔兄のあれは…根っからの甘いもの好き、なんだと思うとよ?…あれと一緒にされると、男性の殆どは…困ると思うよ?」
「…そうでしたわ。そう言われましたら、お父様も…甘いものは、苦手でしたのよね…。あれは…お父様の方が、普通の対応でしたのね。」
「…うん。そうだよ。朔兄の味覚は、ちょっと…ね…。ついていけないよ…。」
葉月は、甘い食べ物が苦手なのですね?…それでも、チョコは割と好きみたいで、毎年私達が作っているチョコは、大丈夫なのですわよね?…チョコを食べているのを見ていましたから、今まで全く気が付きませんでしたわ…。まさか、残りを夕月が食べていたとは…。夕月が平気で、甘いものを食べていましたから、葉月も全く同じ好みなのだと、私は思い込んでいたみたいです…。それに、食べ物の好みは、双子の2人にとって…全くという程、異なるそうなのですわ。本当に、初めて…知りましたわ。
それに、お兄様も私達と同じように、甘い駄菓子も平気な顔で食べられておられましたので、それをいつも見ていたものですから、ついつい葉月も同じように甘い物が大丈夫なのだと、思ってしまったのでしょうね。…ふふっ。お兄様と一緒にされますと、殆どの男性方が困ってしまうとは、葉月の話すこと言葉が大袈裟だなあ、と思っておりましたけれど。葉月は、お兄様の味覚についていけないと、言い出しまして…。…ふふふふふっ!段々とおかしくなって来て、思わず…吹き出してしまいました、わたくし。そうしますと、私の笑う姿を見て、葉月も…同様に声を出して笑い出しまして。
「…あははははっ!…朔兄なら…きっと今も、甘いものを食べているんじゃないかな?…寮にいる時も、普段から何か甘いものを食べているんだよねえ。一緒に居る夕月も、流石に…朔兄の甘いもの好きには、退くかもね?…あははは…。」
葉月のお話からしますと、お兄様は、いつでも甘い食べ物を、用意しているみたいなのですわ。私も、思い返せば、お饅頭を食べている兄、将又、羊羹を食べている兄、そして、私達が作った、手作り系のケーキやチョコを食べている兄……と。
いつもいつも、三千さんや真姫さんが用意した和菓子や洋菓子を、私と一緒に食べておられましたお兄様。お陰で、私は…それが当たり前のように、思い込んでおりましたのよ?
「……ふふふふっ。お兄様、いつも、私と一緒に食べておられましたわ。あれは単に…甘いものがお好きだから、私とご一緒にお茶受けを食べられておられましたのね?…夕月でも一緒にお茶した時に、ケーキ1切れでしたのよ。それなのに、今思い出しますとお兄様は、確か…毎回2切れ以上は、食べておられましたわ。そう気が付きますと、とても…可笑しいですわね?……ふふふふ。」
「……あ~~。朔兄なら、そのぐらいは…平気で食べそうだよね…。」
私も声を立てて笑いながら、お兄様との日常を思い出していた。先程までは大笑いしていた葉月だったけれど、私から聞いたお話で、兄が食べている姿を想像した模様です。葉月は「うっ…。」と声を漏らし、私と手を繋いでない方の手で、口元を押さえていたので。夕月は…そういう仕草をしたことが、なかったわ。
リアルに想像して気分の悪そうな葉月を、私は微笑ましく思いながら、見上げていたのです。
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それから暫くして、私と葉月も2人は、予め決めていたという落ち合う場所に行き、兄と夕月の2人と無事合流することが出来た。合流した時には、兄はチョコバナナを食べておられまして、私達の全員の分まで買っておりましたわ。
仕方なく…という体で、食べている葉月は…。
「まあ…チョコバナナぐらいなら、食べようと思えば…食べられるけど。…というか、朔兄。僕の分は買わなくてもいいって、いつも言ってるよね?」
「え~?…皆で一緒に食べた方が、美味しいだろ?…ああ、そうだった。他にも色々買って置いたから、後で4人で一緒に食べようか。」
葉月も、チョコバナナは大丈夫なようですわね。これなら何とか食べられる、と葉月は話しておりますが、私達も色々と食べた後ですからね、もう…お腹一杯に近いのですよね…。しかし、チョコバナナに関しては私も別腹ですので、しっかり食べましたわよ。夕月は、もう既に食べたそうでして、何と言いますか…半眼でお兄様を見つめておりますわね。もしかして、お兄様。何を…やらかしましたの?
それから…お兄様。葉月がお話している内容を、聞いておられました?
お兄様には、夕月も呆れられている節が見られましたわ。一体…何をされましたのやら。夕月がそのような態度を取るとは、余程ではありませんかしら?
私に呆れた際にですら、夕月は苦笑するぐらいですのに。そのような態度をされたことは、一度もないのですが。つまりは…それだけ、夕月に呆れられることをお兄様がされた、ということなのですか?
「実は、チョコバナナは…3回目の購入でしてよ。他にも…沢山の食べ物を、朔斗さんは召し上がられておりますわ。今の私は…見ているだけでも、お腹一杯になりましてよ…。もう…何も要りませんわね……。」
……お兄様。流石に…食べ過ぎですわよ。夕月からのお話を聞いた私も、呆れ果ててしまいましたわ。そして…葉月も溜息を吐いて、肩を竦めておられますわね。
お兄様の恋人としてお付き合いするお方は、お兄様に付き合うのは…本当に、大変そうですわね…。私は…妹で良かったですわ。
そうしてまた4人で一緒に歩いていた筈でしたのに、気が付くとまた、お兄様達を見失っていた。これだけ人が多いですと、どうしても人の波に流されてしまって。ふと…横に目を遣り、私は昼間にも見た出店を見つける。天然石のお店は購入したけれど、このお店は素通りして、何も購入していなかった。よく見れば手作り小物を扱っていて、可愛い小物入れが幾つか置いてあった。昼間の際には、もっと他にあるかもしれないと思い、結局は他のお店ではなくて、購入し損ねていた。
私は立ち止まりそうになり、葉月がすぐに気が付いてくれた。私の顔を覗き込みながら、「何か見たい物が、見つかったの?」と訊いてくれる。私と夕月が昼間に来ていることは、葉月にもお兄様にもお伝えしてある。だから、別に隠す必要はないのよね。「ええ。昼間来た時に、気に入った物を見つけていたのですわ。」と私は返答しつつ、昼間に見つけためぼしい物を探して行く。あっ!…ありましたわ!
まだ残っておりましたわ。よかったです…。
私が気になっていた物は、アンティーク風のデザイン画が描かれた、小さな小物入れである。外側に西洋っぽい飾りが付いており、クリップとか指輪とか小さな物を入れることが出来る、小物入れである。萌々花さんにあの例の茶店を紹介されて以降、アンティーク風の商品にすっかり目が奪われてしまいますのよ。…うふふっ。
やっぱり…これが気に入りましたわ。少々お値段が張る小物入れですけれど、私のお小遣いでも十分に買える値段ですし…。
実は…夕月の前では、躊躇しておりましたのよ。だって、いつも私が欲しいと思う物は、夕月が買ってくれるのですもの。夕月のお小遣いが減ってしまいますのに、申し訳ありませんわ。今ならば…夕月がおりませんし、自分のお小遣いで買うチャンスよね。ですから、私は堂々と手に取っては、眺めておりましたのですわ。
それなのに、私の手からは…その小物入れが取り上げられてしまいまして。
「…えっ!」と思わず…小声を上げてしまい、慌てて口に手を当てて押し黙る私。
そして、その小物入れは、このお店の店員に手渡されてしまい…。
「これ、プレゼント用にしたいので、包んでもらえますか?」
…ああ!…私の小物入れが……。…えっ?!…どなたかへのプレゼント?
それは…どういうことですの?…私が…気に入りましたのに……。
秋祭りのお話、part6となります。夜のお祭り会場の続きです。
一度、夕月と兄達と合流しましたが、また2人っきりになりました。
朔斗兄は食べてばかりで、夕月にも呆れられてしまっています。
逆に…未香子と葉月は、何だか良い雰囲気でしょうか?
さてさて…プレゼントは…誰が誰に、でしょうか?




