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黒幕

エレベーターが一階へと到着し、扉が開く。そして優雅たちにフロント前ロビーが視界に入ったがすぐにロビーの中心にうつぶせに倒れた人を見つける。

「じいや!」

 華音が叫んだ。

「優!雅!2人はフロントを確認してくれ!」

 優雅はしまったというように舌打ちをし、2人にそう言って老人のもとへと駆け出す。

(眠っているだけか……)

 老人の状態を確認し立ち上がる。優たちもフロントの確認を終えこちらへやってきた。

「どうだった?」

「どうやら眠っているだけだ」

優雅の問いに雅が答える。

「そうか、ひとまず運転手のこの人もフロントへ運んで寝かせておいてくれ」

「わかったよ!」

「華音、悪いがパーティはなしだ。いまから少々厄介なことになる」

「え、ええ。わかったわ」

 華音は以外にも動揺を隠せないでいる。まぁ無理もない。

「しかしこれはいったい……、優雅くん、これからどうするのだ?」

 東郷が優雅に聞く。

「それは犯人に直接聞きましょう。……そこの通路の陰にいるやつ、見ていないで出てきたらどうだ?」

「「「「えっ?」」」」

 優雅の予想外の発言に優雅以外の4人が同じように驚く。

 数秒後、通路の陰からガラの悪そうな男が現れる……5匹の血に飢えたような狼を引き連れて。

「くっくっく、よく気付いたな」

「そんな忍術の塊のような幻獣を連れているんだ、当然だろ?」

 優雅は男の方へ一歩歩み寄り華音と東郷を守るようにして答える。

 後方で優と雅は「気付かなかったぁ」というような表情をしていた。

「それで?目的はなんだ?やはり華音の命か?」

「さてどうかな。そんなことよりずいぶん余裕じゃないか。

 そんなことでは守れるものも守れんぞ?」

 優雅の問いに男が意味深に答えた。 

 優雅はその言葉にやや疑問を抱くがすぐに男が「いけ」と幻獣の狼たちをこちらへと放ったきたためすぐに戦闘態勢へと切り替える。

「狼たちはおれが相手をする!華音、東郷さんは下がってくれ!

 2人はやつを捕えてくれ!」

 即座に優雅が指示をだし、4人がそのように動く。

「風遁、『烈風斬・乱舞』」

 優雅が忍術を発動しながら片手を狼めがけて軽く素振る。

 するとそこから5つの風の斬撃が生まれ一瞬で狼たちを切り裂いた。

 幻獣の狼たちがシューっと音をたて消滅する。


 一方で優たちの方も、優の放った『大旋風』を男が交わしたところで雅が後ろをとり、「終わりだ」と言って『烈風斬』の構えをとる。さすがのコンビネーションだ。

 しかし優雅はここでもまた疑問を抱いた。

(妙だな……、たしかにやつは大した忍術者ではない。しかしあまりにも抵抗が少なすぎる)

 優雅は男の方へと歩み寄り再び問いかける。

「もう一度聞く。目的はなんだ?」

「……ふ、ふははははは!」

「貴様!何がおかしい!」

 雅が強い口調で言うが男は構わずに笑い続け、ようやく止まったところで答えた。

「くっく、おれにそれを聞いて答えるとでも思っているのか?

 さっきも言っただろう。そんな余裕でいいのか?」

「そうか」

 優雅は一言だけ言うと一瞬で男の背後へと移動し、首筋に手刀を入れる。男は鈍いうめき声をあげ気を失った。

「よかったのか?」

雅が問いかける。

「ああ。答える気がないなら下手なことされる前に処置しておいた方がいいからな」

「それもそうだね」

 優も雅も納得したようだ。だが優雅はそこである大事なことに気が付いた。


(まて、たしかこの階にいた人たちは眠らされていたはずだ……それも忍術で。おそらく香りを使った忍術だろう。だが調べたがここにはこの男しかいなかった。

 なら香忍術者はこの男ということになる。こいつはおそらく、いや確実に二つの忍術は使えないはずだ。では幻獣は……まさか!)


 優雅は疑問に確信を持ったように後方にいる華音と東郷の方へ振り返った。

 同時に優が「あぶない、華音様!逃げて!」と叫んだ。

 華音は「え?」といったあと自分の後ろにいる東郷へと振り向く。その東郷の手には小型のナイフが握られている。

「死ねぇ!」

 その言葉とともに大きく振りかぶったナイフが華音めがけて振り下ろされた。

(くそ!)

 そう優雅は心の中で叫びながらその場から駆け出す。残像を残して。

 

振り下ろされたナイフが華音の心臓へと付き刺さる寸前、カランカランと音を立てナイフが後方へと弾き飛ばされた。

「ば…かな。貴様はあそこに…………なっ!残像だと!」

 優雅の残した残像が消えるのを確認した東郷が痺れた右手を抑えながら驚愕する。

「やっぱりあんたが黒幕だったか」

 華音を後方へ退避させ答える。

「どういうこと?優雅くん」

「東郷さんが華音様の命を狙っていたのか?」

「おかしいわ、私を殺しても東郷にはメリットなんてないもの」

 3人がそれぞれ答える。

「ああ。もちろん東郷さんが華音を裏切ったわけじゃない。この男は忍術で変装した昨夜の襲撃者たちのリーダーだろう?」

 優雅が優たちに真実、犯人に確認といった感じで答えた。


 右手の痺れが取れたのか東郷は、すっと右手を上げパチンっと指を鳴らす。

 すると変装が解けたのか、東郷が見覚えのない男の姿へと変わる。

「やはり幻術だったか」

 優雅が呟く。

「ほう。よく気付いたな。」

「まぁな。そうすればすべての疑問が繋がるからな。

 怪しいと思ったのはあんたが華音と商談していた時だ。どうも誰かに監視されてる気がしてな。ただそこではあまりにも微かだったんで気付かなかったといっていいだろう」

「ではいつ気付いた?」

「あの男がきっかけさ」

 優雅は先ほど気絶させた男を見る。黒幕の男もそれに続く。

「やつはこの階の人を香忍術を使って眠らせたんだろう。しかしやつは幻獣を連れ、操った。だがやつに基本忍術ならともかく、特殊系忍術を二つも使えるほどの実力者には思えなかった。つまり、犯人はこの場に2人いることになる。執拗に余裕があるのかと言ってきていたしな。そのもう一人というのが幻術者なら全ての疑問が解消される」

 

優雅はすべてに納得したかのように滑らかに答えた。

「しかし優雅、幻術で変装しているならなぜ私たちは気付けなかったんだ?」

 雅が疑問を上げる。まぁ気になるところであろう。

「簡単さ。変装と言っても単に幻術でこの男が東郷さんに見えるように錯覚させられていただけだ。だがそう見えているだけで実際に直接おれたちが被害を受けるわけじゃない。

 だから幻術の気配も最小限に住みどこか怪しい程度にしかわからなかったんだ」

 優雅がそう言い終えたところで男がパチパチと手を叩きながら口を開いた。

「素晴らしい、昨夜の狙撃の対応といい、この洞察力といい、やはり君は要注意人物のようだ。うまくいったと思ったがどうやら今回はきみを警戒しすぎたようだ」

 そう、つまり部屋で優雅が感じた視線はこの男の警戒心が優雅へ向けられたものだったわけだ。だからこそ優雅しかそれを感じ取ることができなかったわけだ。


「私の名は海藤という。まぁ覚える必要はない。正体を見られた以上、君たち全員には死んでもらう」

 海藤と名乗った男はやや強めの口調で言う。

「私たち3人を相手にするつもり?」

「私たちをあまり舐めない方がいいぞ」

 2人が戦闘態勢になりながらそう答える。

「ふ、たしかにいくら私でも彼を合わせた3人の忍学生を相手にするのは骨が折れそうだ。

 というわけで戦力の分散をさせてもらおう」

 海藤がそういうと1匹の幻獣を生み出し外へ向けて放った。

「どういうつもりだ」

優雅が問いかける。

「おや?追わなくていいのか?東郷が言っていただろう?パーティを用意したと」

「まさか!」

 優雅が何かに気付く。

「その通りだ。そこには残りの仲間たちを待機させてある。そしてパーティにはそこそこ名の知れた者たちが集まっている。我々にとっては大事な人質というわけだ」

(やられた!まさかそこまで手を廻しているとは!甘かった!)

 優雅は自分の甘さに鞭をうって言葉を発する。

「2人はここでやつの相手をしてくれ。おれは会場へ向かう」

「え?それなら私たちが向かうよ」

 優がそう提案するがすぐに首を振った。

「まだ正確な敵の数が分からない以上、2人を向かわせることはできない。おれなら良い策がある。それにやつ1人なら2人でやればそう簡単にはやられないだろう。なんなら倒してもいい。2人はあの術は使えるか?」

「うむ、一応最近完成したところだ」

 優雅の問いに雅だ頷く。

「よし。なら全く問題ないだろう。おれが会場へ行く」

 そういうと華音の方へと歩み寄り、何かを取り出し手渡す。

「これは?」

「持っていてくれ。まぁお守りみたいなもんだ」

「そう。わかったわ」

 そして優雅は外へと向かう。そこで華音に呼ばれもう一度華音の方へと向き直る。

「私はいま心から優雅を信頼しているわ。だから勝手に私の前からいなくなるのは許さないわ。生きて戻ってきなさい」

「……ああ。わかった」

 どこか心配そうに答えた華音に対して笑って答えた優雅はそのまま外へと駆け出して行った。



いかがでしたでしょうか?若干ながら優雅の最強が露わになったと思います。次回はもうちょっと見せられるはずです。

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