タマゴ達の邂逅 12 ~ ミュエネ ~
「も~っ。なんでここにもいないのっ。」
小さな船長はご立腹のようだった。布団をひっくり返し、収納スペースまで開けてラノミナを探す。
「ちょっと。そんなに部屋をかき回しちゃだめですよ。ラノミナさんが困ってしまいますよ。」
ナタークも船長をなだめようとしているが。…おさまりそうにないな。
そんな時、コリュが静かに部屋に入ってきた。
「あれ、コリュ。いったいどこに行ってたの?」
コリュに問いかけると、なぜか、人差し指を立てて鼻の頭に近づけた。
…どうやら、静かにして欲しいらしい。
船長はコリュに気づかず、ガサゴソと部屋を漁っている。
…
コリュは静かにナタークの傍に近寄り、袖の端をつまむように2度引っ張った。
「あれ、コリュさん。どうかしたの?」
ナタークの声を聴いてリィリス船長も我に返る。
「あっ、コリュ! ここにもラノミナがいないよっ!」
…
コリュは、リィリスに対しても人差し指を立てるジェスチャーをした。そして、ナタークの袖を引っ張った。
「こっち。」
コリュは、一言だけ小さく呟くと、ナタークを引っ張って歩き出した。
◇◆◇
コリュは、静かに指を指す。その先には、白髪の綺麗な女の子が、半裸の状態ですやすやと丸まって眠っていた。
「きれいだ。。」
ナタークの呟きが聴こえた。見惚れてしまっている。
リィリス船長はそんなナタークを押しのけて、カッカツと寝ている少女に近づいた。
「この子がラノミナねっ。 気持ちよさそうに寝ちゃってっ。 さあ、起きろ~っ!」
「そんな。起きちゃう。」
コリュが残念そうに、リィリス船長の肩に手を置いたが、もう手遅れだった。
ナノミナはもぞもぞと動き、虚ろに目を開けた。その青みを含んだ灰色の瞳は、とても澄んでいた。
… その目は、ナタークの黒い淀んだ瞳を捉えた。
「ようやく起きたわねっ。ラノミナっ。私が船長のリィリスよっ。」
自己紹介する船長を無視して、ラノミナはタオルを押さえながら立ち上がった。迷いなく一直線にナタークの方向に歩き出す。
「ちょっ、ちょっと無視しないでよっ~。」
その声さえも無視して、
殴った。
ラノミナの拳は、ナタークの眉間を捉えた。
ナタークは気を失って仰向けに倒れた。