タマゴ達の邂逅 11 ~ ナターク ~
「う~ん。ラノミナまでいないとは。予想外っ。」
リィリス船長率いる一行は、ラノミナが居ると思われるエリアを探索していた。居ると予想していた宇宙測定ルームにはラノミナは居なかった。
小さな船長に向かってナタークは呟いた。
「ここは一旦、休憩談話ルームに戻って、、」
「いやっ。まだよっ!仕事場しか探してないじゃないっ。ラノミナの居住スペースまで行くわよっ!」
「了解ですっ。船長。」
コリュは素早く敬礼した。それを見て、ミュエネは笑った。
「コリュはやる気満々ですね。」
「は~ぁ。まだ。行きますか。」
ナタークはため息をついた。
◆◇◆◆◇◆◆◇◆
居住スペース。ラノミナが使用していると思われる部屋は、入口がロックされていた。
「なんでロックしちゃっているのよっ!」
リィリスはそう扉に向かって叫ぶ。
「ロックすると何だか安心して落ち着く気持ち。私はわかるな~。別に危害があることなんてないんだけど、外界と隔絶した自分の空間ってことが大事なのよね。」
落ち着いて語るミュエネの隣で、リィリスは猛獣のように扉を叩いた。
「もうっ。なんで出てこないのっ。こんなに叩いてるのに。」
リィリスは、怒りに任せて思いっきり扉を蹴った。しかし、何も変化は無い。
「コリュ~。どうにかならないのっ。」
そう言って、リィリスは泣き出した。
「ロックを解除すればいい?できるけど…」
コリュは、ボソリと呟く。
「えっ~。できるのっ。やって。今すぐ開けてっ!」
◆◇◆◆◇◆◆◇◆
「船長。ロックされているのに、本当に開けてしまっていいんですか?」
ナタークは思わずそう問いただした。
「いいのよっ!閉めてる方が悪いのよっ。」
コリュは、携帯していた小型の端末を使って、何かを入力している。
「コリュさんは、そういうのが得意なんですか?」
「知らない。でも、割と好き。」
「コリュは凄いのよっ。ロードロックシステムだってコリュが破壊したのよっ。すごいでしょ。」
「なんで、コリュさんより船長の方が自慢げなんだ?」
「ウルサイっ。私たちは仲良しなのっ。ねっ。コリュ。」
リィリスは、コリュに顔を摺り寄せた。コリュの方は、嫌がらない、というより無表情だ。
「解除できた。船長。」
「凄いわっ。コリュ。さあ、突入よっ!」
「は~ぁ。この2人組みは危険な組み合わせかもしれないなぁ。」
「そうですね。。私もちょっとだけそんな気がします。」
ミュエネは、見守るような優しい目で2人を見ている。
「行動力と遂行力がずば抜けているからですかねぇ。それだけで説明できない違和感も感じるなぁ。なんだか、こう、こころのつながりというか、つながりのあり方というか、、」
ナタークはまだこの時は何も知らなかった。危険とは何か。誰に対して危険なのか。どんな危険が待ち受けているのかを。