3、野口雪の思い
.....。
野口と友人になって何というか1年目になったのでパーティーを開催する事になった。
パーティーというのはまあ.....俺と野口と義妹の劉星のみのパーティーとなるが。
ジュースを飲んでお菓子を食べてやんちゃするだけのパーティーである。
俺は横で楽しそうに劉星と話している野口を見る。
しかしまぁ。
この場に幼馴染と後輩が居てもおかしくは無いんだが.....うん。
あの件があってはもう呼ぶ事は無いだろうな少なくとも。
そして後輩も。
アイツらは許せないとかじゃ無いけどもう関わり合いを持ちたくない。
こんな下衆な真似をしてきたしな。
もう二度と話す事はないだろう。
「お兄」
「.....ん?どうした。劉星」
「飯塚さんと山本さんは呼ばなくて良かったの?」
「.....あー.....」
やっぱりか。
丁度痛い所をついてきたな.....。
俺は思いながら劉星を見る。
どう言い訳をしようか、と悩んでいると。
劉星ちゃん、と笑顔になる野口。
それから、忙しいみたいだから、と説明してくれた。
「あ。成程ね」
「何か飯塚さんの方が忙しいみたいだしね。.....ね?宮本」
「.....そうだな。.....有難う。野口」
そして野口を見ながら、そういう事もあるけど今度全て説明する、と劉星を見る。
劉星は、うん?何を?、と聞いてくるが。
俺は、まあ今は言えない、と言いながら話を澱ませた。
アイツら部活で忙しいんだよ、と話す。
実際は違うが。
「まあまあ。.....せっかく楽しいしパーティーしよう」
「.....そうだね!」
「.....確かにな。よし。何をするか」
「ゲーム?ボードの」
「それ良いかもな」
んで俺達はボードゲームをする事になった。
取り敢えず.....劉星なら説明しても良いかもしれない。
思いながら俺は顎に手を添えた。
そしてボードゲームで遊ぶ。
☆
「めっちゃ食った.....太るかな」
「.....ポテチ一袋も食えばな。.....350キロカロリーぐらいはあるぞ」
「うわー.....運動しないと。あ。トイレ行ってくるね」
そして野口は、こっちだっけ?、と指を差してトイレに行く。
俺はそれを見計らってから居ると。
お兄。何かあったの、と聞いてきた。
俺は、!、と思いながら劉星を見る。
何か察した様な顔だった。
「.....劉星。.....何故そう思うんだ?」
「.....状況、かな。後さ。お兄とは長い付き合いなんだよ?だったら大体察するよね」
「そう.....なのか」
「うん。大体はそんな感じだよ」
「.....そうか」
そして俺は眉を顰めながら劉星を見る。
劉星は覚悟を決めた様な顔をする。
それから俺は話し始めた。
全ての事象を。
「.....そっか」
「.....ああ」
「.....お兄。取り敢えずは.....落ち着いて考えよう。.....今は.....うん」
「そうだな.....うん」
それから俺達は俯いてから考えていると野口が戻って来た。
そして俺達を、?、を浮かべて見てくる。
どうしたの?、と言いながら。
俺達は、何でもない(です)、と答えつつ野口を見る。
野口は何かクエスチョンマークを浮かべながら床に腰掛けた。
「何か良い事の話?」
「まあアンラッキーな話だよ」
「.....そっか。ゴメン」
そして野口は頭を下げて謝る。
そうしてから、ゲーム続きしよっか、と野口は言い出す。
俺は、だな。しんみりしてしまった、と苦笑した。
それからまたボードゲームで遊び出す。
「宮本」
「.....何だ?」
「このパーティーで少しだけでも楽しんでくれれば」
「.....そうだな。.....楽しむよ。多少は」
「.....そうだね」
それから俺達は遊び出す。
勝敗はどうなるか分からなかったが。
俺の表情を読み取り野口は、勝敗なんてどうでも良いよ、と言い出す。
罰ゲームも定めないしね、とも。
そうして俺達は遊びまくった。
☆
「今日は有難う」
「.....ああ。気を付けてな。野口」
「だね。野口さん気を付けて」
俺達は笑みを浮かべながら野口を見る。
野口は俺と見ながら柔和になる。
気が付けば既に時間は17時を過ぎてしまった。
そして野口は、じゃあね、と去って行く。
「じゃあな」
そして俺は野口を見送る為に門まで来た。
それから野口を見る。
すると野口は、ねえ、と向いてくる。
俺の元に劉星が居ない事を確認しながら。
うん?どうしたんだ?
そして野口は複雑な顔で口を開く。
「.....大変だけど頑張ろう」
「.....ああ。そういう事か。.....そうだな。頑張ろうな」
「.....うん」
私も居るからね、と言いながら真剣な顔になる野口。
俺はその姿に、ああ、と返事をした。
それから野口は手を振って去って行き.....やがて小さくなっていく。
その姿を見てから俺は家に入った。
正直.....どうなるんだろうな。
ドアノブに触れた時。
その事が、ふと、頭を過ぎる。
.....。