3.旅の始まり
魔物に襲われる夢を最近見ることが多いーーー
「怖い...怖い....俺は結局何もできなかったーーー」
負傷して動けないのもあったが、魔物に仲間たちがやられて行く姿に何もできないでいた自分が嫌いになっていた。
きっとつけ上がってたんだなって....
強くなりたいと思って必死になってた頃を思い出す。
でも、その自信はあの事件でへし折られたーーー
恐怖が自信を吹き飛ばされた感覚をふと思い出すと共に夢から覚めたーーー
同時にゴンと音を立てて
ディーンはベッドの角で頭をぶつけて、
痛さから目を開けたーーー
「痛いぇ...」
シエスタにつもりがだいぶ長い時間眠っていたようで、
部屋の窓から見える外を見るとすっかり暗くなっていて虫の声が屋敷の庭に響いていた。
「約束だったもんな、必ず守れるようになるってさ...
でも、俺なんかにそれはちょっとキツかったのかもな....」
ディーン・フォルグレンはランディアス王国騎士団に所属する新人騎士。
騎士学校を出た直後の魔物討伐任務で負傷して、一線を離れて王都を離れて故郷へ療養に為に戻っていた。
フォルグレン家は代々王国騎士団の中枢を担う人材を輩出しており、ディーンもその期待させられた新人だったが....
仲間を救うために魔物の攻撃を受けて負傷して、
討伐対象の魔物を逃してしまったことで失敗をしてしまいディーンは自信を失っていた。
得意で好きだった剣も見るのも億劫になって、ディーンは自室に引き篭もるようになっていた。
剣を握って騎士学校に進んだのは、
首席総長を務める父アランと今はいない歳の離れた兄デイビッドの影響が大きいーーー
自分も誰かから必要とされて、誰かから羨望の眼差しを向けられるような騎士になりたいと思うことがあったからだーー
それを思うまでは故郷の街でただ楽しく過ごしてたー
でも、10年前に街を謎の軍団に襲われた際に戦っていた父アランと兄デイビッドの王国騎士としての姿を見て憧れたのがあった....
それと同時に何もできなかった自分が嫌になっていた。
ディーンはベッドから起きて、部屋の壁にかけてある昔から使っていた木剣を見つめていたーーー
強くなりたくてあの剣を振ってた日々を思い出していた。
剣術は好きで好きでたまらなかた、兄と遊んだ記憶で一番多いのは一緒に剣をやっていたことだったーーー
ディーンはふと何かを感じて木剣を手に取って部屋の外に出た。唐突だったが部屋を出て中庭で剣を振りたくなったからだった。
中庭には使用人も侍女もおらず静かな場所が広がっていた。
剣を構えてみれば、自ずと身に染みついた動きが滲み出るように剣を振り始めた。
基本の技から高度な技まで繋げていくーーー
剣には自信があって、騎士学校でも優秀な成績を収めていて剣だけはトップの成績を誇っていたのをふと思い出した。
それもそうだ、兄デイビッドは剣の天才と言われた人物で騎士団の中で一番とも言われていたーーー
その影にいたことを思い出すとディーンは振っていた剣を止めて、大きくため息をついた。
「お、いいじゃん。ディーン。その剣筋は立派なもんだよ」
そう背かから父アランの声が聞こえて振り向くと、頬に指を当ててきて笑みを浮かべる父が立っていた。
ディーンはアランの手を払ってこう言った。
「もぉ...何だよ!ところで、なんで父さんは実家にいるんだ?
仕事で王都を離れられないんじゃ...」
「はぁ〜何をいうかと思えば...お前は母さんに似て真面目だなーーー
ここは愛しの我が家。いつ帰ってきたっていいだろ?
何より、大切なディーンが傷ついて療養してるって聞いてすっ飛んできたんだよ。父親の鑑だろ?な?」
アランはそう言ってふざけた雰囲気を出して場を和ませようとしているのがディーンにも感じられた。
父アランは家ではちょっとふざけたことが多い自由な人物だが....
若干40代で実力で首席総長に抜擢された人物でもある。
多くの騎士を従え、先の敵国との戦役で難しいと言われた任務を成功させたような人物だーーー
アランはどこか気分が乗らない息子を見て、腕を広げて息子を抱きしめたーーー
「会いたかったよディーン。元気で何よりだ...」
「うん。ありがとう....」
ディーンはそれを聞いてホッと息をついて心を落ち着けたーー
アランはディーンを離してから何か思い詰めた顔をしながらこう言った。
「実は...とても言いにくいんだが。お前にしか頼めないことがあってさーーー
一応だが、これは首席総長としての独断でかつ秘密裏に行って欲しいんだ」
ディーンは父が言った首席総長という単語を聞いて、
今から話す言葉が父としてではなく、組織のトップから来るものだと自覚して姿勢を正した。
そんな息子を見てアランは軽く笑ってこう言った。
「そんな固くなるなよ....
ま、秘密裏に行う必要がある任務ではあるからな。
療養中のフォルグレン巡士に頼むべきかは悩んだが、大々的にはできなくて...一番信頼のおける人物に頼もうと思ってない。
まぁー任務と言っても、簡単な話だ。
でもここからは、絶対誰にも話すなよ。国家機密に関わるからな」
アランはそういうと表情を変えて任務の内容をディーンに伝えた。
その空気の変わり方はいつも見る少しお茶目な父とは違い、騎士団を率いる人物になっているのをディーンは感じ取れた。
「ディーンにやってもらいたいことは....リズってお前と同じ年ぐらいの巫女を1ヶ月後に王都に連れて帰って欲しんだ。
ディーンはリズという名前を聞いてあまりピンと来なかったが、記憶のどこかで覚えているような気がした。
「こんな感じだ。彼女に国民銃士隊のアラベルが護衛で着いてくれてる。アラベルは知ってるだろ?」
「あーうん。アラベルさんなら騎士学校で噂には聞いたことあるよ。確か、元々は王立騎士団にいた秀才なんでしょ?」
「ああそうだな。そのアラベルだーーー
ついでと言ってはなんだが、デイブに最後に会ったのは彼女が最後だと聞いてる。
だから、彼女からデイブのことを聞いてきてほしい」
アランはそういうとちょっと、
悲しげな顔をしていたのを見て、ディーンもちょっと行方不明になった兄デイビッドのことを浮かべると同じような表情になった。
そんな空気を感じ取ったディーンは頷いてこう言った。
「わかった。リズさんとアラベルさんとリンドロンドに向かうよ」
ディーンはそう言うとアランから任務の詳細の書かれたメモのような紙を受け取り、自分の部屋に戻り旅の準備をし始めた。
リズ一行はいるのは
ディーンが住んでいるキングスポートという港街から、少し離れた山中にあるアクアリア遺跡の探索に向かうらしく、
ディーンが合流することは織り込み済みにになっていた。
父アランから渡されたメモに集合場所も指定されており、そこへ向かうことにした。
次の王都リンドロンドへの船は2週間後にあることも確認してディーンは自室に戻り騎士団から支給された長剣を手に取って家を後にした。
久々に出る家の外は新鮮だったが、少しばかり勇気だけは必要だったーー
でも、一歩飛び出してみればどうってこともなかった。
剣は持ってるが戦いに行くわけではないのをわかっていたからだ。
「観光してるのに付き添って、一緒に王都に行けばいいだけだよなーー」
ディーンはそう呟いて自分に言い聞かせた。
色々なことを知り大切なことを学ぶ世界を救う長い旅へと進んでいることをまだ彼は知らないでいた。
ディーン「流石にプロローグだけじゃまずいって思って、取り急ぎで投稿したらしい...」
アラン「まー変な感じになってしまうからな...いきなりラ...」
ディーン「父さんそれ言っちゃダメだから!絶対言わないで!」
アラン「あーあーすまん...ところで、まだ俺のキャラ紹介が載ってないんだが(2023年1月現在)....
まー入れ忘れてるだけなのかな?」
ディーン「うーんどうなんだろう...とにかく、兄さんは結局どこに行ったんだろうか?行方不明なんでしょ?」
アラン「え、キャラ紹介に海賊になってるみたいなのあったけど」
ディーン「それはまだ言わないで!知らないことになってるから!!!もぉ」
アラン「すまんすまん...兄貴はグレたがディーンは真面目でいてくれよなぁー」
ディーン「うーん...わかったよ。とりあえず、出かけてくるよ」
アラン「気をつけて行ってこい」