表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を救いたいなら、騎士団長を惚れさせろ!?  作者: 緋原 悠
終章 レティシアの物語(3)
45/45

45.新たな始まり

 イレーヌと話したあとも相変わらず何もやる気がおきず、カフェラテとチョコレートを味わいながら、部屋の中から木の葉が落ちるのを観察して過ごした。

 ある日、私を見るに見かねたお父様が、恐る恐る話しかけてきた。


「ユベール君と何かあったのか……?」

「ユベールは、遠い所に行ってしまったのよ。もう当分は会うことはできないわ」


 地面に落ちる葉っぱを目で追いながら私は答える。


「どうしたんだ、私の知っているレティシアではないぞ。ユベール君を追いかけてはいかないのか?」

「追いかけて行けるような場所じゃないのよ」


と私が答えると、お父様は何も話しかけてこなくなった。

 どうしたのだろうと横目で確認してみると、お父様は私の横で私にかける言葉を必死に考えているようだった。

 日頃あんまり深く考えないお父様が、何とかしようと頭を抱えている。お父様はいったいどんな言葉をかけてくるのだろうと、私は気長に待った。


 五分悩んだ末、お父様の口から出てきた言葉は


「チョコでも食べるか?」


だった。


「ぷっ」


 私は思わず吹き出した。チョコレートなんて、お父様がこの部屋に入って来てからすでに五粒は食べている。


「ふふふ」


 そんな私を見て、お父様も笑いだした。


「あはははは」


 私たちはお互いの目を見て、二人で声を出して笑った。私の心は声を出して笑い合えるくらい、元気になっていたようだ。


「よしっ!」


 私は勢いよく立ち上がる。体も心も十分休んだし、これ以上お父様やお兄様を心配させるわけにはいかない。


「お父様、心配しないで。充電完了よ!」


 お父様は元気になった私を見てほっとしたようで、「行ってこい」と言いながら私に剣を渡してくれた。

 私が馬を乗りまわしながら剣を振っていることを快く思っていなかったお父様が、まさか自分から剣を渡してくれるなんて。


「失恋には新しい恋よ。行ってきます!」


 私は剣を受け取ると、屋敷の外へ向かって走った。不意に、未来のグラディウスから言われた言葉が口から出てきたことに気づく。

 グラディウスが消えてしまった今も、グラディウスの言葉は私の中で消えずに残っているんだと思うと、嬉しくなった。きっとユベールの考えも、私の中に残っているに違いない。


「そうだ、その勢いだ。父さんに協力できることがあれば、何でも言いなさい」

 

 私の背中に向かって、お父様が嬉しそうに呼びかけた。




 これから何をしようか?

 やりたいことはいっぱいある。


 まず、聖剣以外に魔物を退治できる方法がないか見つけたい。恋は人を変えるから、リーヴェスが心から好きになれそうな女性がいないかも同時に探したい。

 聖剣以外の方法が見つからず、リーヴェスが好きになれそうな女性も見つからない場合は、最終手段だ。嫁の貰い手が見つからないから助けてくれと、私がリーヴェスに泣きつこう。


 この時代のグラディウスとも、もっと仲良くなりたい。


 お兄様もユベールも私には見つけられないだろうと言っていたけれど、願いを叶えてくれる花、ローディとも話してみたい。


 やりたいことが多くて大忙しだ。これから始まる忙しい毎日を想像し、私は胸を弾ませた。馬で風を切りながら走る。体中で感じる風が気持ちよかった。

 ひとまず体を動かそうと、私は森へ向かった。

完結です!

読んでくださり、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ