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世界を救いたいなら、騎士団長を惚れさせろ!?  作者: 緋原 悠
第三章 レティシアの物語(2)
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42.魔物退治完了

 ユベールとお兄様の私を呼ぶ声が、どんどん大きくなっていく。外のまぶしさがやわらいだようだったので、私はゆっくり目を開けた。


 目の前には、私の顔を覗き込むユベールとお兄様の姿があった。周りを見渡すと、私は森の奥にある小屋の中――十一年前お母様と私が誘拐された場所――で倒れていたようだった。

 少し離れたところにはリーヴェスが立っている。窓の外を見ると、空が少しずつ明るくなってきていた。

 ぼんやり辺りを眺めていると、ユベールが私を抱きしめた。


「特に怪我もないようでよかった。レティシアがさらわれたすぐ後に、リーヴェスも屋敷に来てくれて、みんなで後を追ったんだ。魔物は全部リーヴェスが倒してくれたよ」


 ユベールの体が透けているような気がして、私は慌ててユベールの肩に手を添える。問題なくユベールに触れることができた。不吉な見間違いをしてしまうくらい、私は疲れているらしい。


「グラディウスがお前の屋敷に魔物が出たと言うから行ったんだ。俺が着いた頃には遅かったがな」


 離れたところにいるリーヴェスがぶっきらぼうに言った。


「リーヴェス……、グラディウスもどうもありがとう」

とお礼を言うと、リーヴェスは私から顔を背けた。グラディウスは何も言わない。


「いつまで引っついているつもりだ」

 お兄様がユベールを引っ張り、私から遠ざけた。

「レティシア……無事で本当によかった」

 お兄様は私の手を握りながら言った。お兄様に触られたことで、だるくて堪らなかった体が急に軽くなった気がした。

「お兄様……いつも助けてくれてありがとう。今度、今までのお礼をさせて。何が欲しいか考えておいてね」


 銀色の小鳥が助けてくれなかったら、私が今こうして生きていることはない。

 今までも何かしてもらった時は都度お礼を言っていたが、誘拐された時に助けてもらったことに対しては、今まで感謝の気持ちを伝えたことはなかった。もちろん感謝はしていたが、伝える機会を逃してしまっていた。


「ど、どうしたんだ、今さら急に。私がお前を助けることなんて、いつものことだろう」


 急に今までのお礼を言い始めた私を、お兄様は気味悪がった。少し離れている間に何があったんだ、と心配そうな目で私のことを見ている。


「お兄様がいなかったら、今の私はなかったなって改めて思っただけよ」


 私は笑いながらお兄様に言った。お兄様は慈しむように私を見ながら


「レティシアがいなかったら、今の私もなかったよ」


と言った。


「さぁ、帰ろう」


 お兄様は私の手を引いて、立たせてくれた。お兄様に肩を支えられながら、私は自分の足で小屋の外へ向かって歩く。


 小屋の外に出ると、ユベールは


「僕は少し用事があるから、済んだら追うよ。レティシアの屋敷で会おう」


と笑顔で言って、私の返事を待たずに森のさらに奥へと走って行ってしまった。


 最初は自分が疲れているせいかと思ったが、何度見てもやっぱりユベールの体は透けていた。

 こんな明け方に、しかも森の奥に何の用があるというんだ。明らかにおかしいのに、お兄様もリーヴェスも何も言わずにユベールの後ろ姿を見送った。

 ユベールの後を追おうとしたら、後ろからお兄様に手をつかまれた。


「私はここで待ってる。どれだけ遅くなってもいいから、ちゃんと自分の足で戻ってくるんだよ」


 お兄様は優しい目で言うと、私の背中を押してくれた。「はい」と返事をすると、私はユベールが消えた方向に向かって、駆け出した。

あと3話で完結です〜。

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