003 β
―――某ホテル レストラン:渚
「本当によかったの?」
「いいの。ね、こうちゃん?」
「・・・ああ。もう、わかった。僕が全部出すよ」
「なんか悪いな、幸一」
「いやー、うれしいぜ。ここひとり5000もするバイキングビッフェだろ?」
「これは幸一君への罰なんです。だから、みなさん。気にしないでください」
蓮二の彼女である美鈴が心配そうに僕に聞いてくるがそれに静香が先に答える。
僕としては静香と僕、あと星良あたりを誘ってお寿司屋さんあたりだと思っていたら勝手にお店予約して連れてこられたと思ったら、ホテルのビッフェ。
しかも、みんないる。
・・・もうこうなったら元は絶対に取るしかない。
と思いながらここで血涙を流しながらまず、飲み物を頼む。
ドリンクだけはオーダー制でとりあえずウーロン茶をピッチャーで頼み、あとそれぞれジュースを頼む。
「とりあえず、個室だから物を取られる心配はないとおもうけど一応は僕は残っていようか?」
「大丈夫だって、幸一。全員でさっさと取りに行ってしまおう」
武蔵はそう言って僕を連れ出し全員がバイキング会場で食材を取ってゆく。
「へー、新春フェアか。春の食材を使った料理が多いな」
キャベツ、きくらげ、カリフラワー、アジ、カツオ、鰆、アサリ、ハマグリ、鯛、はちみつ、イチゴ、オレンジ、メロンなどと言った食材を使った料理が数多く並んでおり家族連れも多く見られた。
「レン君。私こっち取るからレンクンあっちから取って」
「あ、ああ。けど、今日はみんながいるから食べさせるの話だぞ」
「えー、みんな気にしないと思うけど」
「僕が気にするんだよ、美鈴・・・」
「おいおい、蓮二。見せつけてくれるじゃない、リア中が」
「・・・ね、ミレイやめよう」
「うん、さすがに血涙しながら言われるとやりすぎた気がするし」
さすが、武蔵。
あのバカップルのいちゃいちゃを止めるなんて。
はは、わっかってる。その血涙は演技だろ。
だから、僕に「なにかとってきてほしい物は無い?」って静香と星良に聞かれている僕をそんな目で見るな。
※※※
「それじゃあ、全員の進学を祝って。乾杯!」
「「「「「乾杯~!」」」」」
それぞれが席のもどると、飲み物がすでにおかれており全員でそれを突き合わせて僕が乾杯の音頭を取る。
「うわ。おいしい。こうちゃん、このお肉、おいしいよ」
「ありがとう。・・・お、本当だ。それにこのソースもよくあってる」
「お魚ばかりですね、美鈴ちゃん」
「魚って確かお肌に行ってきたことがあるんです。それに今度、レン君に作ってあげようかと思って。委員長は・・・あ、すみません。星良は高野君に作らないのですか?」
「おい、聞いたか蓮二?今度は魚だとよ」
「はは・・・今度は阪に関する勉強しないといけないのか」
「お疲れ、そんなに薬混ぜられたら普通は体に大成できるんじゃないのか?」
蓮二は美鈴さんにことあるごとに薬を混ぜられて色々なことをされているらしい。
さすがにR18はBまでらしいけど。
「もういっそのこと、流れに身を任せれば?」
「僕が抗うことをやめたら美鈴はもう、とまらないから無理」
「それって、美鈴ちゃんのことを考えて反抗的な態度を取ってるってことか?」
「本当なの、レン君?」
「ま、まて。いまのは言葉のあやだ」
「静香、そう言うことは気づいても言ってあげないのが優しさだ。現に蓮二はよく墓穴を掘り易い」
「幸一!?」
「もう、皆さん楽しむのはいいですけどもうすこし静かにしてください。個室とはいえ他にもお客さんはいるのですから」
「星良、この話の発端は君じゃないか。一人だけ無関係と言う顔はいただけないな」
「え、確かにお魚の話はしましたけど」
「星良、こうちゃんはからかってるだけ。だからそんな顔しないで」
「ふふ。星良、冗談だ」
「も、もう!幸一君のバカ!」
「うわー、リア充どもめ!・・・彼女なしの俺へのあてつけかよ!」
その後もにぎやかに食事は進んだ。
※※※
「―――へぇ、静香は学校ではそんななんですか」
「私としてもこんな静香君を見るの初めてでな」
「そうだよ、静香ちゃんの緩んだ表情見れて私はい嬉しいわ」
女性の声?
僕がお手洗いにはなれて、デザートをついでに二皿分とって帰ると個室の中から知らない人の声がした。
「部屋はあって・・・いるな」
「高野君?」
「幸一?どうかしたのか?・・・ああ、両手がふさがっているのか。あけるよ」
「あ、まって」
―――ガラガラ
「おや、これは失礼してるよ」
「君が静香君の言っていた」
中に入ると見知らぬ女性が二人いた。
「ふーん、知的な印象を受けるね」
「近づいてわかるが・・・凛」
「そうね、静香君と共に戦う男だけはあるのか?」
「あ、あの・・・人違いです。静香のパートナーはあっちです」
「レン君?」
「え!?いや、美鈴さん?今見てたでしょ?この二人の目的は幸一!僕じゃない!」
「デレデレしてた」
「まって、まああああああああああああああああああああ」
僕の変わりに扉を開けて扉の中に入った蓮二は見知らぬ女性に挟まれ少しデレッとしてしまった故に美鈴さんに耳をつかまれ出て行ってしまった。
ナムアミダブツ・・・。
「ほい、二人とも。デザート」
「ありがとう、こうちゃん」
「ありがとう、幸一君」
「いいよ。その代わり、自分の分も乗せてあるからちょっとはもらうよ」
「あれ、そっち?」
「彼女もちだったのね。悪いことしちゃった」
「静香、彼女たちは?」
「ああ、学校の先輩で」
「私が2年、生徒会長 北条 一花です」
「私は同じく2年の風紀委員長 風見 凛です」
「あ、これはどうも。僕は高野 幸一です」
「ふーん。・・・、きみは静香の事をどこまで知ってるのかな?」
「先輩!?」
「悪いな、静香。私としても彼をつかみ損ねていてな。お前の言って男に見え無くてな」
「・・・」
「こうちゃん?」
「いや、・・・なんでもないよ。先輩、その視線は不愉快ですのでやめてください」
僕は先ほどからあてられている不愉快な力のこもった視線にカウンターを返しながら、魔力波を放つ。
「ッ!?今、なにをした?」
「凛、やめなさい。ごめんなさい、高野君。さすが、静香ちゃんと共に戦う男なんですね」
―――ピリッ
『精神攻撃を確認。〈暴食〉起動。無効化完了』
「・・・そうですか」
「?」
「・・・まさか、先輩。魔眼を使ったんですか!?」
「ごめんね、ちょっと反射的に発動しちゃった」
「静香、今のは僕が悪い。何も問題ないから安心しろ」
「でも!」
僕は、星良に抑えられながら心配そうに今にも身を乗り出す勢いの静香の頭を撫でる。
「安心しろ。暴走はしない」
「わかった」
「・・・すまないね。今度お詫びをするよ?」
「じゃあ、学校で静香によくしてやってください。それと面倒事に巻き込まねいでください。彼女だけこのメンバーの中で違う学校に行ってしまったので」
「あら、私達でいいの?」
「・・・そうですね。できれば、あなたたちのお家に絡まれないといいのですが」
「安心院だからね。・・・わかったわ。できるだけ力になりましょう」
「わたしも、そう言う事なら力になれるだろう」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、私達はこれで」
そう言って二人の先輩は自分たちの席に帰って行った。
「ありがとう・・・こうちゃん」
「うん?いいってことよ」
「おーい、幸一。今そこですごい美人が・・・ってあれ?何かあったのか?」
武蔵が皿いっぱいに果物を持って戻ってきたのを見て僕は思わず笑ってしまった。
その後、やけに疲れた蓮二とつやつやの美鈴を待ってその日はお開きとなった。
「あー、おいしかった」
「この後どうする?」
「カラオケ行かないかい?」
「お、賛成!」
「レン君も行くわよね?」
「あ、ああ」
「さすがにそっちはおごらないぞ」
「わかってるって。じゃあ、カラオケにゴー!」
武蔵達はそうしてカラオケ屋に向かって歩いて行く。
僕もある気だろうとして、服をつままれ、立ち止まる。
「静香?どうした?」
「あ、えっと。・・・ありがとう」
「ふっ。どうした、静香。何でお礼なんか―――」
「私は知ってるよ。事前にみんなに声かけていたこと」
「あー、だれだ?口を割ったのは・・・。声かけられたら内緒って言ったのに」
そう、今回本当は全員に事前い声を掛けていた。
それと同時にこうもお願いしていた。
もし、静香から誘われたら初めて誘われたようにしてほしい、と。
「だから、ありがとうか」
「うん。それとね―――「おーい、二人とも。おいてくぞ」」
「あ、すぐ行く!それで、それと?」
「あー、うう・・・。やっぱなんでもない」
「あ、おい。顔真っ赤だぞ」
「なんでもないって、言ったらなんでもない!」
そう言って静香はみんなの元に走って合流する。
なんだったんだろ?




