001(主人公視点) 1/2
リハビリついでに書いた作品です。
何話か投稿しますが、反応が芳しくなければ途中でやめちゃうかも。
僕の初恋は、中学校の入学式。
そのころの僕は両親が死んでしまい、この世界が色あせて見えた。
唯一といってもいいほど仲の良かった幼馴染に呪いに近い者を与えてしまい結果的には遠ざけられてしまい、己が内に秘めた災厄に一人怯えっていた。
一族の証である魔法が発言しなかった代わりに多才であったことを生かして、多趣味に色々やっていたものを全て捨てて、ただ普通の中学生として生きて行こうと・・・その時は思っていた。
「こんにちは、こうちゃんだよね?」
その声にどこが覚えがあった。もう二度と会えないと思った顔も思い出せないあの子の声。僕はとにかく顔をあげて声の主の顔を見る。
「やっぱり、こうちゃんだ。また会えたね?」
僕は決してえして忘れない・・・その時の、サクラよりもきれいと感じた彼女の笑顔を。
―――3年後、4月上旬
僕は桜並木の下を本を片手に歩いていた。
「おや、あれは幸一か?」
「あ、本当だ。おーい、幸一!」
「うん?ああ、蓮二、武蔵。おはよう」
僕の名前は高野 幸一。
このあたりでは名門校と呼ばれる高校に合格し、今日から通う高校生だ。
今声を掛けてきたのが高阪 蓮二と坂本 武蔵。
武蔵は中学から、蓮二は小学校からの知り合いだ。
僕らは何かと気が合う中だが、物の見方や秀でているところが少し違う。
人を心、技(頭脳)、体(運動能力)で10段階で分けるとするなら、僕は心8、技10、体6。蓮二は心10、技9、体7。武蔵は心7技6体10。と言ったところだ。
(※この十段階評価に置いて、10・9→超人、8,7→神童、6、5→天才、4、3→秀才、2、1→平均以上、(0)→平均以下)
僕達3人はその優秀さゆえに特殊な環境を味わったので、少し周りと歓声が違ったりするが僕達はそれを分かり合える間柄なのだ。
「蓮二、美鈴さんはいいのか?」
僕がそう聞くと蓮二が固まり、「今はそこには触れないでくれ・・・」とうつむきながら言う。
ちなみに美鈴さんとは蓮二の彼女である。
「それがさ、聞けよ幸一。こいつ、宮崎とダブルで主席とって入学の言葉を言うという約束してたらしいんだけど、初日ぐらいは俺たち3人で登校したいとわざと手を抜いたらしんだよ?」
「え?・・・蓮二、死にたいの?ばれたら、今度は・・・一年軟禁?」
「馬鹿野郎!お前たちの度重なるペナルティのせいでなぜか、両親から独立して同棲生活まですることになった時点でもう軟禁状態だよ!」
蓮二は涙を流しながら僕達に抗議してくる。
実際、蓮二の彼女である美鈴さんは超が付くほど美人だ。
まあ、蓮二しか眼中にないのと好きな人への異常な執着心を見せられてはいろいろと思うところはあるけどね。
「いいな~。俺も、彼女欲しいぜ」
武蔵はそんなことを言っているが結構モテる。
超人的な運動能力で様々な運動で賞を取り、全国どころか世界大会にも召集されたこともある。
そんなスーパースポーツマンが持てないはずもなく、結構ラブレターを貰っていたりする。
だが、彼としては自身と同じくらい運動能力とは言わないものの、僕以上(つまり運動能力の評価が7)の人がいいらしい。
探せばいるだろうというか、結構いる。
ただ、今は選手として頑張る人ばかりで武蔵の春はまだこないだろうと感じていた。
「二人とも、彼女がいるからいいよな~」
「は?僕、いないよ?」
武蔵の言葉に僕は驚き、否定する。
「あ?静香さんやユフィー、いんちょがいるだろうが」
「・・・はい?」
僕は何故そんなこと言われるのかわからなかった。
確かに彼女たちとは仲がいいし、実際好きだった・・・今では特別な間になってしまったが。
そう、特別いや、特殊な関係か。だからこそ僕は彼女たちにこの思いを告げることなく中学を終えた。
「まさか・・・。え?でも彼女たちは」
「え、幸一?」
二人そろって僕を見て驚いている。何を驚いているんだ?
「ま、まあ。とにかく学校へ急ごう。遅れちゃうよ!」
何に驚いているかわからないもののとりあえず急いだ方がいいので僕は二人の背中をおす。
「お、おう。まあ、蓮二は着くのが憂鬱そうだがな」
「そうですよ。・・・あ、見てください、不在着信52件。メール152件。トーク(連絡通信アプリ)通知表示その他表示、200。現在進行形で増えてます」
そう言って肩を落とす蓮二を慰めながら俺たちは高校へと向かうのであった。
※※※
「終わった~」
「そうだね。・・・あれ?蓮二は?」
僕達3人は同じクラスで今日は一人を除いて全員が来ていた。
卿は挨拶もそこそこに席替えがあり、くじで決めた。
僕の席は窓側最後尾・・・ではなくその前でそこには、武蔵が座っていた。
就業の挨拶が終わり廊下側で最後尾をゲットした蓮二を確認しようとするもそこには誰もいなく鞄もなかった。
―――ブー、ブー
トーク『ミレイ:帰りは私がレン君を占有します』
「つれて行かれたようだね・・・」
「ナムアミダブツ・・・」
僕達はとりあえず念仏を唱えておいた。
「さて…お昼食べに行かない、武蔵?」
「おう!と言いたいが、この後野球部と柔道部とサッカー部に顔出す約束しているんから。すまんな」
まだ初日だというのにもう運動部に声をあけられているのか。相変わらず、忙しい奴だ。
「いいよ、いいよ。今から顔合わせておいて損は無いでしょ?でも、困ったら呼んで?頭数そろえるくらいの役には立つから」
「はは、そうだな。またお前たちとチーム組んで試合したいもんだ」
そう言うと武蔵は荷物をまとめて教室から出て行った。
既に教室には俺一人。
「俺も帰ろうかな?」
―――ガラガラ
「あれ、幸一君。まだ、いたの?」
「あ、委員長。じゃなかった、宮本さん。あれ?今日休みじゃ」
彼女は今日休んでいた。
一応風邪と言う事にはないっていたが本当の事を僕は知っている。
2週間前の僕のせいだからだ。
僕がそう言うと彼女は顔を赤くして怒った。
「バカっ!別に、幸助に会えるかもとか考えてないから!」
「う、ごめんね。ちょっとそれを期待している自分がいた。・・・あっと、弟君は元気?」
「あ、あう。ごほん、・・・ええ。またあなたに会いたがってるわ」
「今度は塾で会えるよって伝えておいて」
すると、彼女は驚いた顔を僕に向ける。
「あなた、あの塾でアルバイトするの?」
「うん。ちょっと人に教えることに興味が出てきてね?」
「あなたはきっといい先生になれるわ。・・・あの時も、教えるのうまかったし」
彼女は顔を真っ赤にして言うのであの夜の事と思いだす。
「そう、だね。・・・でも、君がお酒なんか出したせいだよ?」
「間違えたのよ。けして、あなたとしたかったわけではないのよ!それにあれは、契約を完成させるのに必要だったわけだし。結局・・・二人一緒だったし」
彼女は恥ずかしさで顔がトマトみたいに真っ赤だ。
ちょっとかわいい。このままだと僕が危ないから、そろそろお暇しよう。
「・・・じゃあ、星良さん。また明日」
「ッ。・・・急な名前呼びは卑怯よ」
「どうしたの?」
「なんでもないわ。また明日ね、幸一君」
彼女がちゃんとあいさつを返してくれたので僕は笑って教室を出て行った。