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第11話 腐敗王と主人公その1

おそらく俺とショウ同様に腐敗王を倒すべく侵入したプレイヤーパーティーだったのだろう。戦士系と魔術師系とバランスのとれた構成に見えるが、残念なことにかなわなかったようだ。ぱっと見だが装備も大したことはなさそうだった。チート能力がなんだかわからないが、腐敗王のチート能力のほうが凶悪だったのだろう。哀れな連中だ。しかし俺は戦うことを戸惑わなかった。

 5人のプレイヤーゾンビに見知った顔は・・・いたかもしれないが、心に決めていたので無視しきった。

「シューティングスター!!」

 問答無用で奴らがチート能力を使う前に消し飛ばすことにした。

 俺の突き出すマキシマムペイン13からは超高速で魔法陣が展開し、流星群が奴らを襲う。

5体のうち4体までがそれで終わった。

「ダークバリア・・・」

 全身に呪符を張り付けた老魔術師ゾンビはどこからともなく呼び出した黒い雲のバリアによって完全防御を果たしていた。おそらく闇を自在に操るとかがこの老魔術師のチートだったのだろう。ダークバリアなんてスキルは存在しなかった。

「ダークブリット・・・」

 さらに黒い礫を俺へと飛ばしてくる。

 急いでいるのに邪魔な野郎だ!!

 俺は黒い礫をマキシマムペイン13の刀身ではじきながら接近し、一気に突きの嵐をたたきこんだ。

「必殺!!ミリオンスパイク」

 頭を串刺しにしたことで老魔術師はようやく停止する。

 ぱちぱちぱち


 小さな拍手が聞こえた。


「おにーさんやるー♪」


 何時からいたのか、部屋の片隅には宵闇色のローブを着た小さな女の子が立っていた。

「すっごい速さであの精度とか、胸キュンものだったよ」

「お前もプレイヤーか?ここには今のアンデッドを作ったやつがいるんだ。こんなところにいたら危ないぞ」

 俺は親切オーラ全開で言ってやった。

女の子の外見は、上品な刺繍のされたフード付きの宵闇色のローブに、不釣合いなほどにまがまがしい首飾り、整った顔立ちは10人が見れば10人がかわいらしいと言うだろう。

 闇色の髪はポニーテールにし、サークレットか何かをつけている。腕にはこれまた不釣り合いなほどまがまがしい小手を装備していた。

「そうなの?僕は強いから大丈夫だよ?」

 少女はまったく問題ないとばかりにはにかんで見せた。

「そうか?だが、ここは危ないから上の安全なフロアまで俺が送ろうじゃないか」

 少々セリフにつまりつつだが、俺は少女を上に行くよう促しつつ、自然な体勢を取る。脱力から最高速を出すための自然な体勢を・・・。

「うーん、それじゃあお願いしちゃおうかな?・・・っていつまでもバカな芝居させないでよ?」

「ああ、終いにしようか」

 そう言いながら俺は超高速の斬撃を繰り出す。スキルも何もない、ただステータス任せの不意打ち。

 ぞぶ

そんな音が聞こえた。

 切り飛ばされた少女の顔はなんで自分がこんな悲劇的な死を迎えるのか?といった顔で固まっていた。

 しまった!?実は関係ない子だったのか!?俺の心に一瞬迷いが生まれたそのとき。

「死霊砲!!」

 少女の体が結印し、俺に死霊のかたまりをぶつけてきた。

「うぐああああああ」

 あまりの苦しさに俺は身を硬直させる。

「あははは、ひっかかったね。だましあいは僕の勝ちー」

少女は転がった頭を拾い、自分の体に乗せる。しゅううううう。そんな音を立てながら首はもとどおりくっついてしまった。


「やはりお前が腐敗王か・・・」

 俺はなるべくダメージを見せないようにふつうに見えるように立ち上がる。

「死霊砲は痛いでしょ?やせ我慢は体によくないよ」

 まるで転んだ友人に向けるような笑顔で俺に話かける腐敗王。

「刻印を解除しろ・・・さもなくば」

 腐敗王は意地悪そうな、それでいて余裕を持った笑みを浮かべながら割り込む。

「さもなくば?どうするの?」

「斬る!!」

 問答無用に斬るべき相手だ。交渉に見せかけた時間稼ぎをせざるを得なかった。俺は別に腐敗王の見た目に騙されているわけではない。腐敗王の外見はかわいらしい少女だが、こいつは王都の地獄絵図を作り出し、現在進行形で悪化させている元凶なのだ。隙がなかった。斬りかかるだけの余裕がこちらにないほどに戦い慣れてやがるのだ。

「って、もうさっき斬ってるじゃん。良い感じの威力だったよー。本当は食らうつもりなかったんだけどさっきのは避けきれなかったからきれいに食らっちゃった・・・ちょっぴり興奮しちゃったかも」

 身をくねらせて怪しげな視線を俺に向ける腐敗王。ん、なんだこれは?一瞬頭がくらっとしたが俺は気合を入れて跳ね除ける。

「チャームアイのスキルを跳ね返したってことは・・・1500以上だね。ますます面白くなってきたかも」

 腐敗王は跳んだ。てっきり距離をとるかと思っていた俺は意表を突かれた。なんと奴は俺の懐に飛び込むと、まがまがしい手甲で攻撃してきたのだ。かすった胸甲がしわしわと縮み、崩れていく。存在する力を奪われたかのように風化し、壊れてしまう。

「調子に乗るなよ、ドリルテンペスト!!」

 俺は自身の体をドリルに変えるスキルでもって追撃を弾き飛ばす!しかし奴はすぐさま地面に手をつくと、アンデッドナイトを10匹も召喚しやがった。

「心臓をきれいにえぐってあげようと思ったのに、アンデッドナイト達

、そのおにーさんを包囲して!」

 されてたまるか!!

「バスターホーリー!!」

 アンデッド用の切り札。神聖剣で全部まとめて薙ぎ払う。

 これは動き自体に浄化の効果があり、演武のような動きの中で斬ることによって攻撃に聖属性が追加されるのだ。ちなみに習得するためには相当な腕が必要となる。

「神聖剣まで使えるんだ・・・ゾクゾクしてきちゃった。これってもしかして恋かも?」

 何か恍惚とした表情で俺を見てくる腐敗王。言ってることの割にその手に集まる死霊は何だ!?

「それは王都中からかき集めた死霊か!」

 そう、死霊なんて死体がなければそうそう転がっていないのだ。だが、今の王都は死体まみれ。むしろ嘔吐くらいの勢いだ。腐敗王の両手には元気玉よろしく大量の死霊が集結していた。

「これに耐えられるかなー?耐えられたら僕、本気になっちゃうよ?」


 まるでフリースローでもするように気軽に死霊玉が投げられた。怨嗟の声をあげながら俺に突っ込んでくる。さっきの死霊砲の数百倍の威力。当たれば死ぬ!!

「神聖剣奥義・ディバインジャッジメント!!」

 俺は全力で奥義を放った!この技は一切物理的な影響はない代わり、立ち上る聖なる白い炎が邪悪や不浄を昇華消滅するのだ。ただし、信仰心のかけらもない俺がやるとすさまじく気力を消費する。

「ハアハアハァッ・・・耐えきってやったぜ!!今度はこっちの番だ、マキシマムペイン能力解放!!」

 愛剣のリミッターを外す。10秒程度だが、出力が圧倒的に上昇し、スキルコンボが可能になる。

 首を切りはなしても死なないような化け物には完全粉砕しかない!!

 死霊玉を破られてあっけにとられていたのか、腐敗王は微動だにせず、俺の初太刀を受けた。ソニックブームがみぞおちを撃ち、腐敗王は口から血を、股間からは小便をまき散らす。そのままソニックブームを追った俺は空中前転しながらの頭部両断、背後に着地してサイドステップからの横なぎで右腕を切断する。その腕が落ちる前に、右胸から入った刃が左わき腹から抜けていく。遠心力を利用して一回転しつつ右足を切断し、転ぶ前に更に右側から三連の斬撃を食らわした。跳躍し、天井に着地。その天井を蹴りながら真下の腐敗王に全力の必殺スキルを叩き込む!

「うおおおおおおおおおっ、フォーリングスター!!砕け散れええええ!!」

 俺自身が超加速、超質量の星となって突撃する技だ。部屋の石畳が瞬時に粉みじんになり、壁に亀裂が入っていく。

 終わったとき、腐敗王は飛び散っていた。

「倒せたか?」

 ぷしゅううううう、と音を立てて地面に突き立てたマキシマムペインの装甲が閉じていく。ちょうどリミッターが再びかかったのだ。俺は周囲を見回した。個人に使う技ではない・・・。クレーター上にえぐれている。

「痛いじゃないか!!」

 クレーターの真ん中、突き立てたマキシマムペインを禍々しい小手で覆った手がつかむ!!

 あれでまだ死なないとは腐敗王は不死身か!?













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