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生徒会かね?

色々あった2学期だが期末試験も終わり後は冬休みを待つばかりとなったある日。

秀一と愛佳は服飾部副部長の川井涼子に携帯で呼び出された。


「何だろうね?」


「分からん。だがクラブとは関係無い事みたいだな」


「どうしてそう思うの?」


「クラブの用事なら部室で言えば良いからだ」


「あ、そうか」


呼び出しの理由が分からないまま2人は携帯で指定された教室に着いた。


「ここか」


2人は教室に貼られたプレートを見る。


[3年生徒自習室]


そう書かれていた。


「失礼します」


秀一は扉を開ける。


「よ!」


たくさんの机と椅子が並んだ教室の中で謙一が1つの椅子に座っていた。


「謙一お前も呼ばれたのか?」


「そうだ」


「川井先輩は?」


「分からん、少し待っててくれと言って出ていった」


謙一も呼び出されただけで用件は聞かされて無いようだ。


秀一と愛佳も空いている席に座りしばらく雑談で時間を潰す。


「謙二さんは?」


「先週退院したよ、入院中は病院の会議室で麻里に勉強を教わって期末試験は助かったと喜んでいたぜ」


「そうなのか?」


「ああ、玲美も一緒の部屋で勉強したって言ってたな」

 

「え?秀ちゃん知ってた?」


「いや初耳だ」


「まあ言う程の事でも無いと思ったんだろ」


謙一はさらっと流した。


「お待たせしました」


教室の扉が開く。そこに居たのは川井だけではなかった。


「山下さんに敷島さんまで」


秀一は少し驚いた顔で3人を見る。


「おい涼子これは一体?」


「ごめんね広田君、愛佳ちゃん。ビックリするよね」


川井は謙一の言葉はスルーして秀一達に謝る。


「今日はなぜ生徒会長や敷島さんまで?」


愛佳は敷島や特に山下会長の存在が気になって仕方がない。


「青山さん取りあえず座って下さいね」


山下の言葉に愛佳だけ席を立ち上がっていた事に気づいて席に座り直した。


「落ち着け」


謙一が声をかけるが愛佳は横目で睨む


「愛佳、まずは話を聞こう」


「うん」


秀一の言葉に満面の笑みで応える愛佳。


「それでは改めまして説明します、来年の生徒会に皆さん入って欲しいのです」


「は?」


「え?」


「何だと?」


秀一、愛佳、謙一の3人は山下の言葉が全く理解出来ず呆気にとられる。


「了解した?」


「いやだ」


「お断りします」


「出来るか!」


即座に拒否する3人。


「一応理由は聞くわね、何故ダメなの?」


山下は全く動じる事なく尋ねる。


「面倒だ」


「成る程広田君の理由は『面倒だから』ね。青山さんは?」


「静嵐高校の生徒会役員って選挙ではなくて基本指名ですよね、私達がなぜ指名されるのか理由が分かりません」


「そうね、まだ指名理由を言って無いから困惑しちゃうわね。斎藤さんは?」


「忙しいからだ」


「忙しいってあんた何もやってないじゃない?」


川井は斎藤の理由に噛みつく。


「運動部の助っ人や寮の仕事があるんだよ。今の寮長は役立たずだから、来年は俺が寮長に指名されたし」


謙一は川井の質問にもっともらしい理由を話した。


「斎藤さん」


静かに敷島が斎藤の前に椅子を置いて座る。


「な、何でしょう」


「私は生徒会の者ではありませんが会長のお手伝いをしてきました。

そして分かったんです。生徒会の役員に必用なのは人望、そして力が」


「力?」


「はい、多様な人を動かし導くのに力も必用な場面があるのです」


「はあ...」


敷島の熱い眼差しに謙一の顔は赤くなる。


「それなら謙一を生徒会に入れたらいいです。俺と愛佳は別にいいでしょう?」


「おい秀一!」


あっさり謙一を差し出す秀一の言葉。


「斎藤...いえ謙一さん。まだ話は終わってません」


「はい」


秀一を呼び止めようとする謙一だが敷島の視線が離さない


(え?秀ちゃん私との時間を大切にしてくれるの?

やっぱり秀ちゃんは私の事を...)


こちらは妄想に耽る愛佳。


「まあ、広田君はそう言うと思ったわ」


秀一と愛佳の様子にやれやれといった川井は山下に目で合図を送った。


「広田君、来年川井さんは女子寮の寮長に決まりました。更に服飾部の部長に内定しているんです」


「はあ」


「そして私は川井涼子さんを次期生徒会長に指名したいと考えていますが多忙で充分な活躍が見込めません。だから川井さんを助けて欲しいのです」


「それが俺達って事ですか?」


「そうです」


川井を助ける事は別に構わないが生徒会にこだわる必用は無い。そう思う秀一は愛佳を見る。


「山下さん」


「青山さん、ちょっと」


目を細め立ち上がり発言しようとする愛佳を山下と川井が教室の隅に呼び寄せる。


「ねえ青山さん、あなたが来年生徒会に入れば広田君との時間が更に増えるわよ」


「え?」


川井涼子の言葉に愛佳の細められていた目は大きく見開く。


「そう、文化祭や体育祭の打ち合わせで夜遅くまでの作業。それは2人っ切りの共同作業よ」


続け様に放たれる山下の言葉だが少し誇張がある。生徒会の打ち合わせは2人っ切りはまずありえない。

しかし愛佳の頭の中は...


(嘘?来年から秀ちゃんとのパラダイスが生徒会室で?

来年のクラスでまた一緒のクラスになれるか分からないだけにこのチャンスは逃がす事は出来ないわ!)


まんまと乗せられる愛佳。


「秀ちゃん」


「なんだ?」


「生徒会にようこそ」


「なぜそうなる?」


「だって秀ちゃん、来年から真夏ちゃんと麻里ちゃんも来るんだよ?少しでも2人が早く学校に馴染めるようにしてあげなくっちゃ!」


あっさり寝返る愛佳。


「そうよ、青山さんには来年女子寮の副寮長をお願いするつもりよ。新しく寮に入る真夏ちゃん達が快適に過ごす為に彼女の協力は欠かせないよ」


更に情に訴える川井。


「広田君、中山麻里さんは転校されて来るんですよね?転校生は不安なものです。生徒会としても出来る事はありますよ」


現実問題そうかもしれない事を持ち出し更に説得する山下。


「おい謙一!」


秀一は謙一を呼ぶが...


「秀一、一緒にやろうぜ」


「謙一お前まで...」


敷島のにこやかな笑顔の前で顔を赤らめた謙一が秀一を裏切った。

いや先に謙一を生徒会に差し出したのは秀一だ。


「...分かりました」


秀一は諦めて生徒会入りを了解するのだった。



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