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完全な馬鹿だね。

『秀一いるか?』


麻里達が秀一の自宅で夕飯の準備をしていると玄関のインターホンから謙一の声がした。


「病院は大丈夫か?」


玄関の扉を開け秀一は出迎える。


「ああ大丈夫だ。必要な物は親父が持ってきてくれたしな、あいつ(謙二)は俺が病室に居ると恥ずかしいみたいだ」


「何となく分かるわ」


「うん」


「分かる」


謙一の言葉に麻里達3人は頷く。

狭い病室に190を超える筋肉質の大男が2人、しかも兄弟。

看護師達、いや病院中で注目の的だろう。


「そんな事は良い。何か進展はあったか?」


「まだ連絡が無いな」


「そうか」


そして謙一に先程真夏が言った話をする。


「大人?」


「うん確信は無いけど多分」


「真夏の予想は当たってると思うぞ」


「謙一もそう思うか」


「ああ不意を突かれたとはいえ実際に犯人とは対したんだろ?それで真夏がそう感じたのならな間違いないぞ」


(道場で大人とも対する機会が多かった真夏だから)

皆そう思った。


「着信だ!」


愛佳が携帯を取り出した。


「山下さんからよ」


愛佳の言葉に全員頷く。


「はい青山です...」


通話を押して話始める愛佳、それを見守る秀一達。

皆静かに愛佳を見ている。


「何か分かったのかな?」


「分からん」


謙一の呟きに秀一も気もそぞろで返事をする。

やがて愛佳は話終えた。


「愛佳、会長は何を?」


「うん『結果が出たから報告書を今から文書化して送信します』って」


「送信?」


「そうよ秀ちゃん。真夏ちゃんプリンターある?」


「もちろん私の部屋にあるよ!」


真夏は元気に立ち上がる。


「怪我人は無理するな俺が持って来る」


「兄ちゃんダメ!!」


秀一が代わりに行こうとするが真夏は慌てて止めた。

その様子に愛佳と麻里は頷く。


「私達が持って来るから」


そう言って3人は階段を上がって行く。

やがてプリンターを持ってリビングに戻って来た。

何故か真夏は恥ずかしそうだ。


「少しは片付けしなさい」


「そうよパンツまで」


「しっ!兄ちゃんに聞こえる!」


秀一と謙一は聞こえないふりをするが大体察した。


「よいしょっと」


麻里がプリンターをセッティングし、愛佳が携帯を触りながら何かしている。


「おいコードは要らないのか?」


プリンター横に携帯を置いた愛佳に秀一は聞く。


「『コード』って、今は全部無線だよ?」


「謙一そうなのか?」


「高校生で知らないのはお前くらいだ」


謙一は呆れながら笑った。

やがてプリンターから印刷された文書が出てくる。印刷が終わると麻里は素早くコピーをとり皆に配る。


「こんな事まで出来るのか...」


「ほれ」


謙一は唖然としている秀一に報告書を渡す。


「すまん」


秀一は報告書を読むが内容は予想通りだった。


[北川武志は秀一達への傷害で警察に逮捕された。

余罪が数件あり(山崎小百合を脅迫した時と同様の手口で数人の女性達を脅迫又は脅迫未遂)少年審判になった]


[結果は保護観察、保護司達による自宅での生活指導での改善更正と決まった]


「...しかし2日前から行方不明か」


「馬鹿な奴だ、少年院は避けられんな」


秀一と謙一は北川の行動に呆れる。

保護観察中の人間が行方を眩ますとは余りに後先を考え無さすぎの行動だ。


「でもどうやって逃げたの?」


「そうよね、自宅に軟禁状態だったんでしょ?

お金も無い筈よ?」


「それが謎だな、奴が今住んでる街からここまで200kmはあるぞ?無銭乗車でもしたか?」


真夏や麻里、謙一も不思議そうに首を捻る。


「手引きした奴がいるな」


「手引き?」


「どう言う事だ秀一?」


「そのままの意味だ。北川を手引きしてここまで運んだ奴がいる。そして手引きした奴は北川にあれこれ吹き込んだ。そうじゃなけれはこんなに鮮やかに襲撃は出来んよ」


「それじゃ和田や立花も?」


愛佳が震える声で聞いた。


「手引きした奴の知り合いだろうな」


「一体誰なの?」


「秀一心当たりは無いのか?」


「今は分からん。ただ奴等の最終目的は俺だと言う事は間違いない」


「ああ、北川の目的は(謙一)と秀一だろうな」


「まさか兄ちゃん...嫌だよ...」


秀一と謙一の言葉に戦慄が走り真夏は涙をためる。


「え?これって」


報告書に書かれた最後の項目に麻里が声を上げた。


「どうした麻里?」


「秀一...これ...」


麻里が指差した所には

[北川玲美と北川武志は従兄弟である]

そう書かれていた。

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