誰だろうね?
「真夏ちゃん大丈夫!?」
真夏達が自宅に戻り昼ご飯を食べていると玄関の鍵が開き愛佳が叫ぶような声をあげながらやって来た。
「愛佳ちゃん?」
真夏は愛佳の顔を見て驚いた目をした。
「真夏ちゃん...意外と元気そうね」
愛佳が目にしたのは幸せそうに秀一から昼御飯を食べさせて貰っている真夏の姿だった。
「愛佳もう来たの?随分早かったわね」
台所からエプロン姿の麻里が顔を覗かせる。
「うん。調べものは学校の知り合いにお願いしたからね、今日中に連絡があると思う」
「すまない、連絡が遅れたな」
秀一は箸を持ったまま愛佳に頭下げる。愛佳は秀一の顔を見て本当に我を忘れていない事を知った。
「兄ちゃん、次!」
熱い視線を送る愛佳を見た真夏は秀一に向かい口を大きく開けた。
「分かった」
秀一は苦笑いを浮かべながら素麺をつゆに浸け真夏の口に運ぶ。
「うまーい!麻里ちゃんの素麺サイコー!
兄ちゃんの箸運びも絶品!!」
見せつけるような真夏の笑顔。
若干の羨ましさと元気な真夏の様子に安堵しつつ少し複雑心境の愛佳だ。
「愛佳も素麺食べる?」
麻里が声を掛ける。
「もちろん、私朝食べずに来たから腹ペコよ」
「でも愛佳ちゃん、兄ちゃんに食べさせて貰うのはダメだよ」
少し意地悪な笑顔で真夏は言った。
心配をかけまいとする真夏の気持ちの入った言葉に愛佳はすっかり落ち着きを取り戻す。
「残念だな~全て片付いたら秀ちゃんにお願いしようかしら?」
「愛佳ちゃんそれなら良いよ!」
「わ、私も」
麻里も思わず聞いた。
「うむ特別に許す!」
和やかな空気、秀一はみんなの気遣いを確かに感じた。
「それで立花と和田は?」
昼御飯を食べ終え愛佳は現在の詳しい状況を改めて聞く。
「まだ捕まらないのよ」
「予め逃げ場所を用意していたのかな?」
麻里の言葉に愛佳が聞いた。
「それなら玲美に匿えなんて連絡は入れない筈よ」
「そうよね...」
「ねえ?」
やり取りを聞いていた真夏が口を挟む。
「何かな?」
「玲美の乗りかえた奴は?」
「え?」
「だから玲美は兄ちゃんから別の男に乗りかえたんだよね、そいつは?」
「ああ、佐藤亮ね、あいつは入学早々謙二君に叩きのめさられて周りの生徒から馬鹿にされて殆ど学校に来なくなったの。1学期が終わったら転校したよ。確か隣の市の高校だったかな?」
「そいつが犯人の可能性は無いの?」
愛佳が麻里に詰め寄るが首を振る。
「あいつは170cmあるかどうか身長よ、今回襲って来た連中の中にそんな奴は居なかったわ」
「間違いないか?」
秀一が麻里に念を押す。尤も秀一は玲美の次の男の顔はおろか名前すら覚えていないが。
「間違いないよ、4人並んで襲い掛かって来たからね。でも1人は大男だったわ」
麻里の言葉に真夏は男に脱臼させられた左腕を触りながら体を震わせる。
そいつが真夏に怪我を負わせた犯人だろう。
「真夏ちゃん大丈夫?」
「...ごめんなさい真夏」
「大丈夫だよ。今は兄ちゃんが一緒だからね!」
真夏は元気良く秀一を見た。
「ああ、もちろんだ」
「へへ」
秀一は優しい目で真夏の頭を撫でる。
さすがに羨む声を抑える愛佳と麻里だった。
「最後の1人は誰か?だな...」
秀一は静かに呟く。3人目は北川と確信している様だ。
「兄ちゃん...」
「何だ?」
「私を襲った奴は多分大人だよ」
「何だと?」
「本当真夏ちゃん?」
「うん。何となくだけどね雰囲気や体の動きで、まあ多分なんだけど...」
真夏の言葉に益々最後の犯人が考え着かなくなる秀一達だった。




