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私が愛佳よ。

「へえ、麻里ちゃんと真夏ちゃんがお泊まりか」


真夏ちゃん達が学校に訪ねてきた翌日、私は真夏ちゃんからのメールで麻里ちゃんが玲美と話し合いをしてひっぱたかれた事、昨夜は夕飯に2人の好物の素麺を食べた事等を知った。


「だいぶん腫れてるわね」


メールに添付されていた写真には笑顔でパジャマに着替えてピースサインをする真夏ちゃんと同じくパジャマに着替えて少し斜めに顔を傾けて、以前の様なおすまし笑顔で写る麻里ちゃんの姿があった。(自撮り棒で撮影したのね)

麻里ちゃんは腫れた頬を隠しているつもりだろうが顔の左側の輪郭が歪んでるのがまるわかりだ。


「麻里ちゃんは相変わらずだね...」


きっと玲美を煽って叩かれた事は容易に想像出来るが麻里ちゃんはもう復讐はしないと言っていたので彼女なりのケジメなんだろう。


「とにかく麻里ちゃんが反撃しないで良かったわ...」


麻里ちゃんが本気で叩き返したら首が1回転するよ、本当。

クールに見えて麻里ちゃんは結構喧嘩っ早いからね。


「私達が知り合ってもう13年か...」


私が麻里ちゃんと真夏ちゃんに出会ったのは秀ちゃんのお祖父ちゃんが営む道場だ。

体が弱く病気ばかりしていた私を心配した両親が連れていった道場で出会った。


最初は怖くて道場の隅で泣いていた私に声を掛けてくれたのが麻里ちゃんだった。

『一緒に稽古しよ』

それが最初の言葉だった。


麻里ちゃんは私より半年早く入門していて真夏ちゃんや秀ちゃんとも仲良しだったが、私を快く仲間に入れてくれた。


秀ちゃんは当時から強くて年上の謙一さんといつも稽古をしていた。

稽古着の秀ちゃんは当時から可愛くって格好よくって...


とにかく麻里ちゃんや真夏ちゃんの憧れの人で私もすぐに好きになった。

小学校に上がっても私達の関係は変わる事なくずっと同じだった、中学2年のあの時まで...


「あれはきつかったわ...」


秀ちゃんが玲美と付き合う事を聞いた私は本当に目の前が真っ暗になった。

失恋とは違う、大事な物が突然無くなる、いや奪われる感覚とでもいうんだろうか、まさに絶望だ。


真夏ちゃんがいなかったら私はきっと堪えきれず麻里ちゃんの様に病んでいただろう。

ショックで道場も行かなくなり学校と家の往復だけの日々、そんな中でも真夏ちゃんは私に連絡をくれて励ましてくれた。


『絶対に兄ちゃんは戻って来るよ、愛佳ちゃんそれまで我慢だよ』


学校で秀ちゃんと玲美が一緒に歩いているのにでくわした時、私の隣にいた真夏ちゃんの言葉は今も忘れない。


麻里ちゃんは私達と距離を取り自分を偽りながら病んでいってる時も真夏ちゃんは麻里ちゃんが元に戻るのを待っていた。

だから仲直りの時、秀ちゃんに必死でお願いしたんだと思う。麻里ちゃんがまた壊れてしまうのが怖かったんだろう。


「結局私と麻里ちゃんは真夏ちゃんに救われたんだよね」


そう呟きながら添付されている写真を見つめた。秀ちゃんとほぼ毎日会える今の環境を少し申し訳なく思いながら。


「ん?」


なんだろう?

写真に写る物に違和感が....

2人が抱き抱えているクッション?

いや枕か...


「あ~!!秀ちゃんの(カバー)だ!」


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