15話
あれから数日が経った。俺は午前の座学はイメージトレーニング、午後の実技はトーレス達との対戦をして、休みの日は修行をして過ごしていた。そして今日も午後の実技の授業が始まった。
「……」
「どうしたんだ?」
「いや、ちょっとな」
今はトーレスと試合をするところなのだが、少し気になる事が出来た。
「ちょっと待っててくれ」
「え?」
俺は歩き出し、男の子の前に来た。アッシュグレーの髪に垂れ目で少し気の弱そうな男の子だ。
「どうしたの?」
「君、すごく銃の扱いが上手いな」
「え、そうかな?」
「ああ。さっきの試合を見てたんだが、中々のものだった」
「ありがとう!」
そう言って男の子は微笑む。
「よかったら対戦しないか?」
「え、僕と!?」
「ああ」
「でも、君って先生と互角に戦ってたよね。僕じゃ相手にならないよ」
「大丈夫だよ。俺は対戦してみたいんだ。お願いできないかな?」
「……そこまで言うなら」
「ありがとう。俺は難波レイだ。レイって呼んでくれ」
「僕はシュウ・ライザン。シュウでいいよ。よろしく」
「よろしく。それじゃあやろうか」
「うん」
「トーレス君、レイ君はどうしたんですか?」
「ああ、あの子の所に行ってるぜ」
「どうしたんだろう?」
「さあな」
「あ、今から対戦するみたいですよ」
「え?」
「本当だ!」
「見学しましょう」
「賛成!」
「そうだな」
「いつでもいいよ」
「分かった。それじゃあ行くぜ」
俺は走り出す。しかしその直後だった。
「くっ!」
俺の走るコースに的確に銃弾を打ち込んでくる。俺はシュウの銃撃に足を止めるしかなかった。
俺はそのまま逃げ続ける。シュウは拳銃のようだが、弾を装填する動作がない。恐らく、魂を具現化した武器である銃には球を装填する必要はないんだろう。厄介なことだ。
「このままじゃまずいな」
全然近づけない。俺は今まで銃を使うリベレイターを相手にした事がなかったが、ここまで厄介だとはな。
「こうなったら!」
俺は逃げるのをやめて前に出た。もちろん、そんな事をすれば銃で撃たれる。だがこれしか方法がない。だから俺は急所だけを刀で守って、他の場所は捨てる。
「ぐっ!」
痛えな。だが耐えられる!
そのまま近づく。そして刀の間合いに入った。
「はあ!」
俺はそのまま刀で突きを放った。
「うわあ!」
そしてシュウはその場で蹲った。
「俺の勝ちだな」
「……そうだね」
ふう。何とか勝てたな。
「それにしても、まさか突っ込んでくるなんてね」
「ああするしかなかったからな。でも本当に強かったぜ」
「ありがとう」
すごく的確な狙いだったな。いい経験になった。
「レイ、すごかったな」
「あ、悪いな。待たせちまって」
「いや、いいよ。それにしても、お前もすごかったな!」
「え?」
「あのレイをあそこまで追い詰めるなんてな」
「本当だよ!」
「すごかったです!」
その後は3人にシュウを紹介してから、また対戦したのだった。
「対抗戦ですか?」
「ああ」
俺は放課後、先生が話があると言うので職員室に来ていた。トーレス達には先に帰ってもらった。
「2週間後にあるんだよ。クラス対抗戦がね。それに出て欲しいんだ」
「それってどんなものなんですか?」
「まあ要はチーム戦だな。5人でチームを組んで、他のクラスとトーナメント形式で戦うんだ」
成る程。そんなものがあるんだな。
「分かりました。出ます」
「助かるよ」
「他のメンバーは?」
「まだ決めてない。君が決めていいよ」
「え、いいんですか?」
「ああ」
「……分かりました」
「うん。それじゃあ話は終わりだから帰っていいよ。ありがとう」
「はい」
俺は職員室を出た。
それにしても、クラス対抗戦か、面白そうだな。
「あいつらに声をかけてみるか」
次の日の昼休み。俺はトーレス達に昨日先生から言われた事を話した。
「何だか面白そうだな!」
「確かにね」
「それで、4人とも俺とチームを組んで出ないか?」
「え、いいのかよ?」
「ああ」
「私はそんなに役に立たないよ」
「そんな事ねーよ」
「そうでしょうか?」
「僕も役に立たないと思うんだけど」
「そんな事ねーって。トーレスとアリアが前衛で、シュウが遠距離からの狙撃、ミリーナが盾でシュウを守る。結構いけると思うけど」
「レイ君は何をするんですか?」
「俺は全部カバーする」
「え、全部!?」
「それってすごく難しいよね」
「まあな。でもみんなが戦いやすいように俺は動く。それぐらいやってやるさ」
「俺はやるぜ!レイが出来るって言ってんだ。なら信じて戦うだけだ!まあ、俺はレイのサポートがなくても相手を倒すけどな!」
相変わらずトーレスはノリがいい。
「トーレスは参加か」
「私、やります!」
「お、本当か?」
「はい!折角ですからやってみたいと思います!」
「よし、ミリーナとシュウはどうする?」
「3人がやるなら私もやる!」
「分かった」
「僕は……」
俺以外の3人がシュウを見つめる。やめてやれよ、それやられると断りづらいだろ。
「分かったよ、やるよ!だからそんなに見つめないで!」
ほらな。
「いいのか?嫌ならやめてもいいぞ」
「……ううん、やってみるよ。僕も自分の力を試してみたいし」
「そうか、分かった。みんなありがとな」
本当にいいやつらだ。俺も頑張らないとな。
「それじゃあ今日の放課後から練習か?」
「そうだな。実技の時間は今まで通り個々の力を高めよう」
「分かった」
「みんな、よろしくな」
「おう!」
「頑張るね!」
「はい!」
「うん!」
そうして俺達は2週間後のクラス対抗戦に向けて、練習を開始した。
「そっちに行ったぞ!」
「任せてください!」
「くっ!」
俺達は今チームでの練習をしている。と言っても、俺対4人での模擬戦だが。やはり相手がいないとどうしても限界が来るからだ。そのため、俺が4人を相手にしている。
「はあ!」
それにしても、練習を始めてから約2週間。本当にみんな強くなった。最初は俺が4人を圧倒していたのに、ここ数日は押され気味だ。それぞれが強くなっているのもあるが、連携がよくなっている。
「はっ!」
「くそっ!」
今アリアの攻撃を捌いているが、中々抜け出せない。
「おらあ!」
横からトーレスも攻撃してきた。
これはまずい!
俺はアリアの剣を無理矢理押し返し、トーレスの攻撃を避ける。
「そこだ!」
しかし、避けた先で銃撃された。シュウが狙っていたようだ。
俺は銃弾を転がって避ける。そしてシュウの所に走って行く。そして刀で斬ろうとする。
「させないよ!」
しかしミリーナが盾を構えて俺の攻撃を防いでしまう。
「はあ!」
後ろからアリアが剣を振るってきたので、俺は横に飛んで躱す。そこにトーレスが攻撃をしてきた。
「はあ!」
トーレスの短剣に俺の刀を当てて、態と飛ばされて回避する。
何とか回避できたが、このままじゃまずいな……
「仕方ない」
俺はここで本気を出す事にした。そして一気に走り出す。
「はっ!」
そのままの勢いでトーレスに斬り上げを放つ。
「危なっ!」
しかしトーレスは避けた。
「はああ!」
そこに横からアリアが俺に攻撃してくる。俺はそれを躱してまた走り出す。
「来た!」
次に向かったのはミリーナの所だ。俺はミリーナに向けて刀を振るう。しかし、ミリーナは盾を前に構えて防御しようとする。しかし、それは俺の狙い通りだ。
「ふっ!」
「え?」
俺はミリーナの盾を蹴って飛んだ。そして後ろにいるシュウと目が合った。
「これで!」
シュウは俺に銃を向けてくるが、遅い。
「はっ!」
「うわっ!」
俺はシュウが銃で撃つより早く刀を振った。そしてシュウはその場で倒れた。
先ずは1人。
「うおお!」
トーレスが来たので俺は横に飛び、再びミリーナの所に向かう。
「また来た!」
今度はギリギリまで引きつけてから盾を構えるのか、まだ盾を構えない。
そして俺が刀を構え、斬撃を放った時に盾を構えようとした。しかし、それでは駄目だ。俺は今までよりも刀を振るう速度を速くする事で、ミリーナが盾を構えるより先に斬撃が届く。
「ううっ!」
そうしてミリーナも脱落した。これで2人。
「はああ!」
「うおお!」
今度はアリアとトーレスが俺に攻撃をしてきた。だから俺はアリアの剣を刀で往なし、トーレスのラッシュは体を逸らす事で避ける。それを何度か繰り返すと、2人の攻撃が同時に終わる時があった。
「ここだ!」
俺はその隙に先ずは後ろを向いているトーレスを刀で斬る。
「ぐう!」
トーレスは前に倒れた。これで3人。
「はっ!」
「ふっ!」
アリアが剣で斬り下ろしをしてくるので、俺は斬り上げで対抗する。そして俺は足払いをした。
「きゃあ!」
アリアはその場でこけたので、俺は刀の切先をアリアの顔の前に持って行く。
「ここまでだな」
「……はい」
こうして模擬戦は終了した。
「やっぱりレイは強いなー」
「途中までいけると思ったよねー」
「そうだね」
「最後は圧倒されました」
「まあ、本気出したからな。確実にみんな強くなってるよ」
「そうか!」
「やったね!」
「僕も自分が強くなってきてる気がするよ」
「私も強くなってるのを感じます!」
「じゃあ今日はここまでにしよう」
「そうだな」
そうして、俺達の約2週間に渡る練習は終わった。
来週にはクラス対抗戦が始まる。




