116話
俺はクロに乗って、ドラゴンが放つ火球を避ける。
その間に、俺は体力を回復する。
「どうにかしないと……」
今のところ、特に何か解決策があるわけではない。
そのため、クロが火球を避けてくれている間に俺は考える。
しかし、やはり何も思いつかない。
どうすれば……
俺がそう思っていると……
「ヒヒーン!」
「どうしたんだ?」
クロが何かを見つけたようで、そちらに向かって走って行く。
そしてクロが止まったのは、入口から丁度反対側の壁だった。
「ここに何が……」
俺は壁を見ていると……
「!?」
これは!?
壁の一角、まだ火球でやられていない所に、何か書いてあった。
それを読むと……
「これは……もしかして……」
そこで……
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ボン!ボン!ボン!ボン!ボン!
火球がこちらに向かって飛んで来た。
「やばい!クロ、逃げるぞ!」
俺達は急いでその場から離れる。
バアァァァァァァァァァァン!
そして、次の瞬間にはさっきまで俺達がいた場所は、火球によって破壊されてしまった。
しかし……
「……あれがもし、本物なら……」
この状況を一変出来るかもしれない。
今までの事から考えても、恐らくは間違いないだろう。
「……やってみるか」
俺は魔王化を解き、呪文を唱える。
「我、手にするは覇王の力」
「力を求め、力に溺れる」
「我が魂、その力を掴み」
「赫く染まるこの世の果てへと連れて行く」
「オーバーロード・ソウル・ドライブ!」
その瞬間、俺の体は紅く輝き出した。
そして、その光が収まると……
「……これが、覇王の力……」
俺の体は紅い光を纏い紅いマントを羽織っていた。そして、刀も紅く染まっていた。
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ボン!ボン!ボン!ボン!ボン!
ドラゴンは俺に向かって火球を放つ。
クロはそれを避けながら走る。
「クロ、ここで下ろしてくれ」
俺がそう指示を出すと、クロは走るのをやめてその場で座る。
俺は下りると、クロに指示を出す。
「ローデンさんとケシリーさんの所へ戻るんだ」
「グルル……」
俺がそう言うと、クロは立ち上がって2人がいる方へと向かう。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ボン!ボン!ボン!ボン!ボン!
そうしていると、ドラゴンが火球を放つ。
俺はそれを避けるため、走り出す。
バアァァァァァァァァァァン!
後方で火球が弾けるが、俺はそれを気にせず走る。
この覇王の力が俺の思った通りなら……
俺は一気にドラゴンのいる方の壁へと走る。
そして、一気に壁を蹴って上に飛ぶ。
すると……
「やっぱりか!」
俺が蹴った壁は破壊され、すごい勢いで上に飛ぶ事が出来た。
そして、俺はドラゴンの翼に捕まった。
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ドラゴンは、俺を振り落とそうと必死に暴れる。
「ぐおおおおおぉぉぉぉぉ!」
俺は落とされまいと、必死にしがみつく。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ドラゴンはかなり怒っているが、こっちだって負けるわけにはいかない。
「はっ!」
俺はドラゴンの背中へと飛び移り、そのまましがみつく。
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ドラゴンは俺が背中に乗ると、さらに暴れ出す。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「うおおおおおおおおおお!」
俺はしがみついて、慣れてきたところで左手に持った刀をドラゴンの鱗に突き刺す。
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ドラゴンはさらに暴れる。
俺は振り落とされそうになるが必死に耐え、そのまま刀を突き刺す手に力を込める。
すると……
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ドオォォォォォォォォォォン!
「うおあああ!」
ドラゴンは壁に体当たりをして、その衝撃で振り落とされそうになる。
くそっ!このままだといつか振り下ろされる!何とかその前に倒さないと!
俺はドラゴンの背中から刀を抜き、右手に持った刀をしまう。そして、何とか立ち上がる。
もう一回、一か八かの勝負に出る!
「ふっ!」
俺はドラゴンの背中を蹴って上に飛ぶ。
この覇王の力なら、絶対にやれる!
俺は左手に持った刀の切先をドラゴンに向け、そのまま落下する。
「心証流秘剣ー雫」
グサッ!
よし、刺さった!
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ドラゴンは痛がり、激しく暴れる。
この勢いでやるんだ!
俺は何とか振り落とされないようにしながら、ドラゴンの背中の上を縦横無尽に走る。
いくぜ!
「心証流奥剣ー吹雪」
俺は刀でドラゴンの背中を斬りつけていく。
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ドラゴンも必死に振り落とそうとする。
「うおおおおおおおおおお!」
俺がドラゴンを倒すのが早いか、ドラゴンが俺を振り落とすのが早いか……
結果は……
「グアアアアア……アアアアア……」
ドラゴンが段々と高度を下げていく。
「うおおおおおおおおおお!」
ドオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォン!
ドラゴンは地面へと落ち、そのまま動かなくなったのだった。




