111話
俺達はその後、テントを張ってから夕食を食べた。夕食は、俺とローデンさんとケシリーさんがそれぞれ持ち寄った弁当を食べた。
その時、俺の弁当が美味すぎると言って、2人はなぜか落ち込んでいた。
俺は料理人として働いていた事があるから、別に気にしないでもいいのに……
まあそんな事は言えないので、俺はローデンさんとケシリーさんの弁当も美味しいとしか言えなかったのだが……
そんな事がありつつも、俺達はその後それぞれのテントで休んだのだった。
そして、次の日。
俺達はダンジョンを進んでいた。現在は35階層にいる。
「はっ!」
俺は今、モンスターと戦っている。
「いやあああああ!」
「難波さん、早くやっつけてえええええ!」
ローデンさんとケシリーさんはそう叫ぶ理由は、俺が戦っているモンスターだ。
そのモンスターとは……
「カサカサカサッ」
ゴキブリだ。
「早く何とかしてえええええ!」
「来ないでえええええ!」
「ふっ!」
俺はゴキブリのモンスターであるダークコックローチを倒す。
数は20体程いて、どれもこれもがとても大きい。フライパンぐらいの大きさだ。
「はあ!」
俺はやっと全て倒し終えた。
「はあ、はあ、はあ……助かりました……」
「生きてる……生きてるよぉぉぉ……」
2人はそうして、その場にへたり込んでいる。
やっぱり、ゴキブリは苦手なようだ。
まあ、得意なやつなんて殆どいないよな。
俺はその場で、2人が回復するまで待つことにしたのだった。
ダークコックローチとの戦闘から10分。
やっと落ち着いてきたローデンさんとケシリーさんは、俺に謝ってきた。
「すみません、難波さん……」
「私達が不甲斐ないばかりに、時間をロスしてしまいました……」
「いえ、大丈夫ですよ。それより、もう落ち着きましたか?」
「はい、何とか」
「私ももう大丈夫です」
「よかったです。それなら、行きましょうか」
「はい」
「分かりました」
そうして、俺達は再び進み出したのだった。
それからさらに1時間。
俺達は遂に39階層まで来た。
そのまま40階層へと続く狭い通路を進む。
そして、40階層へと到着した。
「いってきます」
俺はそう言って、一気に入口から飛び出す。
「グアア!」
そこには、40階層のボスモンスターであるアーマメントベアがいた。
アーマメントベアは熊のモンスターで、手に籠手をつけている。
さて、戦うか。
俺は刀を正眼に構える。
「グアアアアア!」
アーマメントベアは吠えた後、こちらに向かって来る。
そして、俺に向かって右拳で殴りかかってくる。
それを俺は躱し、刀で斬りつける。
しかし……
防御されたか……
俺の攻撃は、アーマメントベアの左拳で防がれていた。
「グアア!」
そして、アーマメントベアは再び右拳で殴ってくる。
それを俺は横に飛んで躱し、そのまま距離を取る。
さて……
ここまでの攻撃を見るに、特に強いわけではなさそうだ。しかし、さっき俺の攻撃を防がれた事から、反射神経はよさそうだ。
それなら……
俺は腕を伸ばして刀を構える。
「グアアアアア!」
その瞬間、アーマメントベアがこちらに向かって来た。
俺も走り出し、一気にアーマメントベアとの距離を詰める。
「グアア!」
そして、アーマメントベアは右拳で殴りかかってくる。
俺はそれに合わせて、刀を振るう。
「心証流秘剣ー響」
ガキイィィィン!
俺の刀とアーマメントベアの拳がぶつかる。
そして……
「グアアアアアアアアアア!」
アーマメントベアは吠えつつ右腕を高く上げる。
俺の剣技によって、右腕が痺れたのだろう。
その隙に俺は体を半身にして、刀を持った左腕を後ろに引く。
そして、そのまま突きを放つ。
「心証流秘剣ー楔」
「グアアアアア!」
俺の刀は、アーマメントベアの胸を穿った。
そうして、アーマメントベアは消滅したのだった。
ふう、終わったな。
俺は目の前に落ちている魔晶石を持ち上げる。
かなり大きいな。
俺がサッカーボールぐらいある魔晶石を眺めていると……
「難波さん、大丈夫ですか?」
「怪我してませんか?」
ローデンさんとケシリーさんが、入口からこちらに向かって走って来た。
「ああ、大丈夫ですよ」
俺はそう言う。
「そうでしたか。よかったです」
「それにしても、アーマメントベアの魔晶石って、こんなに大きいんですね」
俺が持つ魔晶石を見て、ケシリーさんがそう言う。
「これも持ち運べそうにないので、ここに置いていきましょう」
「それがいいと思います」
「これまでの魔晶石もそうしてきましたからね」
俺達は今まで倒したモンスターの魔晶石を回収していない。理由は、持っていると邪魔だからだ。
「それじゃあ、行きましょうか」
俺達はそのまま先へと進んだのだった。
そのまま進んで行き、遂に50階層へと到着した。
俺が入口から中に入ると……
「パオーン!」
そこには象がいた。
こいつがヘビーエレファントか。
途轍もなく重い事から、その名がつけられたというモンスターだ。
「パオーン!」
ドスドスドス!
俺の存在に気づいたようで、こちらに向かって走って来る。
そして……
ヒュン!
「うおっと」
ヘビーエレファントが、長い鼻で攻撃してきた。
俺はそれを横に飛んで避ける。
危ねえなあ……
俺は体勢を立て直し、刀を構える。
その瞬間……
ヒュン!
「またか!」
再び鼻での攻撃をしてくるヘビーエレファント。
俺はそれを屈んで躱す。
そして俺は立ち上がり、走り出す。
このままやられるわけにはいかねえ!
俺はそのまま刀を振るう。
しかし……
バシッ!
「なっ!?」
俺の刀は、ヘビーエレファントの鼻に絡め取られてしまった。
まずい!
俺は刀を手放し、その場から離れる。
すると次の瞬間には、俺がいた場所をヘビーエレファントが踏みつけていた。
危ねえ!あのままじゃ、踏み潰されるところだったぜ!
さっき取られた刀は、ヘビーエレファントに投げ飛ばされて反対側に飛んで行ってしまった。
そのため、俺は一旦刀を消してから再度出す。
そうする事で、刀は鞘に納まった状態で出て来た。
俺は刀を鞘から抜き、構える。
こうなったら……
俺は縦横無尽に走り出す。
ヘビーエレファントは、俺に向かって鼻で攻撃してくるが……
「ふっ」
俺はそれを避け、そのまま走り続ける。
そして、ヘビーエレファントを間合いに捉えると、俺は刀を振るう。
「心証流奥剣ー吹雪」
俺は刀でヘビーエレファントを数回斬りつける。
「パオーン!」
ヘビーエレファントはそんな俺に対して鼻で攻撃してくるが、俺には当たらない。
その間に俺はさらに攻撃を仕掛けるため、走り出す。
「心証流奥剣ー刹那」
俺はヘビーエレファントとすれ違う瞬間、3度刀を振るった。
そして、遂にヘビーエレファントは消滅したのだった。
「ふう、終わったな」
中々手強かったな。ここから先、ヘビーエレファントより強いモンスターが出て来るとなると、俺も本気を出さないといけないな。
「難波さん、お疲れ様です!」
「お見事でした!」
ローデンさんとケシリーさんが、入口からこちらに来た。
「ありがとうございます。それでは、今日はここで休みましょう」
「はい」
「分かりました」
そうして、俺達はテントを張る準備をしたのだった。




