110話
俺達は順調に進んで行き、3時間程で10階層まで辿り着いた。
「こんなに早く10階層まで来れるなんて……」
「前に来た時、私も思いました」
後ろで2人がそんな会話をしている。
「今日は出来れば30階層まで進みたいと思っています。ですので、出来るだけ早く行きたいんです」
「30階層!?」
「それは流石に無理があると思いますよ」
「大丈夫ですよ。もちろん、ローデンさんとケシリーさんの体力に限界が来たら、そこまでにしますから」
俺がそう言うと、ローデンさんが聞いてくる。
「本当に行けるんですか?」
「恐らくですが」
「……分かりました。私達は難波さんの邪魔をしないように気をつけますね」
「ありがとうございます。こちらも配慮しますね」
俺はそう言って、前を見る。
「それでは、アイアンオックスを倒してきます」
「気をつけてください」
「が、頑張ってくださいね!」
頷いて、そのまま走り出す。
「ブフォ!?」
突然出てきた俺に、アイアンオックスは驚いたようだ。
悪いが、一気に倒す!
俺はこの1週間で、体の方もかなり動けるようになった。
そのため、アイアンオックスも恐らく一撃で倒せるだろう。
俺は刀を地面すれすれに構えて、そのまま弧を描いて走る。
「ブフォォッ!」
アイアンオックスも、こちらに向かって走り出した。
そして、お互いの距離が1メートル程となった所で、俺は一気に刀を振り上げる。
「心証流秘剣ー焔」
「ブフォッ!」
俺の一撃は綺麗に決まり、アイアンオックスを一刀両断する。
そして、アイアンオックスは消滅したのだった。
俺は魔晶石を拾い、入口の所にいるローデンさんとケシリーさんを呼ぶ。
「終わりましたから、行きましょう!」
俺がそう言うと、2人はこちらへと歩いて来た。
「あんなに簡単にアイアンオックスを……」
「まあ、この間も戦いましたからね。それじゃあ行きましょう」
そうして、俺達は11階層へと向かったのだった。
11階層から18階層までを難なく突破し、遂に19階層までやって来た。
「ふっ」
俺は襲って来るスティングビーと戦っていた。
「はっ」
俺は一気に2体倒して、残りは3体となった。
その瞬間、こちらに向かって一気に飛んで来る。
「はああ!」
俺は攻撃を避けつつ、確実に1体ずつ倒す。
そして最期の1体を倒し終えた。
「これで終わりだな」
もう襲って来る気配はない。
この先はもう20階層へと続く狭い通路があるだけなので、恐らくモンスターはいないのだろう。
「難波さん、大丈夫ですか?」
戦闘が終わったのを確認して、ローデンさんとケシリーさんがこちらへと来る。
「はい、大丈夫です。それじゃあ、20階層へと向かいましょうか」
「はい」
「分かりました」
そうして、俺達は20階層へと向かった。
「あれ、モンスターがいない?」
20階層に着くと、ローデンさんがボスモンスターであるバターフライがいない事に気づいて、そんな風に言葉を漏らす。
「ああ、バターバタフライなら少し前に俺が倒しましたよ。確か、1週間経たないと復活しないんでしたよね?」
俺がそう聞くと……
「え、ええ、そうですけど……」
「難波さん、もしかして1人で20階層まで来たんですか?」
「え、そうですけど?」
俺がそう言うと、2人は呆れたような顔をした。
「普通、バターバタフライは1人で倒せるようなモンスターじゃないんですけどね……」
「それを言ったら、アイアンオックスも1人で倒せる人は中々いませんよ……」
そして、そんな事を呟く。
まあ、バターバタフライは少し厄介だったしな。確かに、普通の冒険者なら1人で倒すのは厳しいだろう。
「そんな事より、早く行きましょう」
俺がそう言うと、2人はこちらを見て頷いた。
そうして、俺達は21階層へと向かう。
ここから先は俺も行った事がないからな。どんなモンスターがいるのやら……
俺はそんな事を思いつつ、狭い通路を進んで行ったのだった。
それから数時間、俺達は順調に進んでいた。
21階層からは、少しモンスターの強さが上がったような気がするが、まだまだ俺の敵じゃない。
そのため、かなり順調に来ていた。
「そろそろ30階層ですね」
「そうですね」
俺達は今、30階層へと続く狭い通路を進んでいるところだ。
あと少しで、今日の目標到達階層となる。
「30階層に着いたら、今日はそこで休みましょう」
「そうですね」
「30階層なら、モンスターも現れませんし安全ですね」
そう、30階層ならボスモンスターを倒せば、後はモンスターが出て来ないので、休憩や夜営の場所として使用する事が出来る。
そのため、何としてでも30階層へと辿り着き、ボスモンスターを倒さなければならない。
「ですが、30階層のボスモンスターもかなり強いですからね。難波さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だと思います」
30階層のボスモンスターはグランドゴリラというモンスターだ。
グランドゴリラは、ダンジョンの地面を揺らしてくるらしいので、気をつけなければならない。
そうして進んでいると、遂に30階層へと到着した。
「それでは、ここで待っていてください」
「はい」
「頑張ってください」
そうして、俺は入口から入る。
すると……
「ウホウホッ!」
グランドゴリラがいた。
最初からこちらを向いていたので、既に俺の存在に気づいている。
それなら……
俺は一気に走り出す。
「ウホッ!」
その瞬間、グランドゴリラは手で地面を叩く。すると、地面が揺れる。
今だ!
俺は一気に上へと飛び、そのまま刀の切先をグランドゴリラに向ける。
「ウホッ!?」
「心証流秘剣ー雫」
俺の一撃はグランドゴリラの体に刺さり、そのままグランドゴリラは消滅した。
こんなもんか……
俺は少し大きな魔晶石を拾うと、ローデンさんとケシリーさんに声をかけた。
「ローデンさん、ケシリーさん、終わりましたよ」
すると、2人は入口から入って来た。
「え、あれで終わったんですか?」
「はい」
「一瞬だったんですけど……」
「まあ、そんなに強くなかったんですよ」
俺がそう言うと、2人は首を横に振る。
「いやいやいや、そんなはずないですよ!」
「そうですよ!最近は、バターバタフライですら倒せる冒険者は少ないんです!グランドゴリラなんて、もう数ヶ月も討伐報告が上がっていませんよ!」
いや、そんな事言われてもな……
「ま、まあいいじゃないですか。それより、テントの準備をしましょう」
俺は無理矢理話を切り上げ、そのままテントを張る準備をし始めたのだった。




