第28話 魔術結社『ウィッチクラフト』 後編
お待たせし過ぎたかもしれませんが、更新再開です!
前回のあらすじ
魔術結社登場
保護した魔女の女性を隠れ里へと連れて行き、しかる場所に預ける。
そして僕とノインは、この隠れ里での僕達だけの家へと帰って行く。
家とは言っても小ぢんまりとした一軒家で、お世辞にも広いとは言えない。
だけどノインと二人だけで暮らしていくのには、十分な広さだった。
「先にお風呂に入ってきなよ」
「いいの?」
「うん」
「それじゃあ入ってくるね。……覗かないでね?」
「覗かないよ」
「えっ? 覗かないの?」
「冗談はいいから、さっさと入ってきなよ」
そう言い、ノインの細い肩を掴んで風呂場の方へと押しやる。
ノインは素直に風呂場に姿を消し、僕はリビングに戻ってくる。
そしてソファーに腰掛け、三ヶ月前の出来事を思い返していた―――。
◇◇◇◇◇
「『ウィッチクラフト』……」
その名前には聞き覚えがあった。
僕がまだ異端審問官だった頃、魔女達の秘密結社があるらしいと都市伝説程度には噂されていた。
噂止まりだったのは、その秘密結社の本拠地が全く分からなかったかららしい。
だから本格的な調査などが行えないと、ルイさんがぼやいていたのを覚えている。
その秘密結社が、まさかこんなところにあるなんて夢にも思わなかった。
「アイン様達にも『ウィッチクラフト』の一員として、その魔術を存分に振るっていただいております。ですのでゼクス様達にもご協力いただけたらと思いますが……強制はしませんし、この隠れ里から立ち去っていただいても問題ありません。ですが……この隠れ里に留まるというのでしたら、仮の住まいだけは提供いたしましょう」
「その見返りとして、『ウィッチクラフト』に加われと?」
「先程も申し上げた通り、強制はしません。加わるも加わらないも、どうぞご自由にお決めください」
アナスタシアさんの提案は、僕達側にデメリットが無さ過ぎて逆に罠なんじゃないかと疑いたくなってくる。
でも、魅力的な提案であることも確かだった。
あと、どうしても聞いておきたいことがあった。
「……一つ聞きます。『ウィッチクラフト』の最終的な目標っていったい何なんですか?」
「人間と魔女が共に暮らし、笑い合える世界を創ること。それが『ウィッチクラフト』創設時からの目標……いえ、願いに他なりません。その為に、障害となるワルプルギス機関とは敵対しているのです」
アナスタシアさんの口から出たその『願い』は、ロミオさんの手紙に書かれていたこととほとんど同じだった。
それを聞いて、僕の意思は固まった。
「……なるほど、分かりました。それじゃあ僕も『ウィッチクラフト』に加わります」
「そうですか。『ウィッチクラフト』に………………えっ?」
するとアナスタシアさんが、すっとんきょうな声を上げる。
僕の答えが意外だったのだろうか?
「驚くようなことですか?」
「いえ、まあ……それなりに。ゼクス様は元とは言え、異端審問官であったのでしょう? でしたら、その……」
「同僚だった相手に刃を向けることに抵抗は無いのか、ですか?」
言い淀んだアナスタシアさんの言葉を予想してそう続けると、彼女は無言でコクリと頷く。
「抵抗が無いと言えば嘘になりますけど、それよりも僕には、ある人から託された願いを叶えるという使命がありますから。人間と魔女が共存出来る世界を創るという、大きな願いが」
そう告げると、アナスタシアさんはハッと大きく目を見開く。
だけどそれも一瞬のことで、アナスタシアさんは柔和な笑みを浮かべる。
「そうですか……ではゼクス様の『ウィッチクラフト』加入を認めましょう。他の方々は如何なさいますか?」
「わたしもゼクスと同じで、『ウィッチクラフト』に協力させてください。わたしも同じ願いを託されてるので」
「あたしも。衣食住が確保されてるのはデカいから」
ノインは僕と同じ理由で、フィアは現実的な理由で加入の意思を示す。
そうして僕達は、正式に『ウィッチクラフト』に加入した―――。
◇◇◇◇◇
それが三ヶ月前の出来事。
それともう一つ、アナスタシアさんはとても気になることを言っていた。
それを思い出しつつ、手元にある魔剣へと目を向ける。
……まさかコレにあんな謂われがあるなんて……。
魔鎌デスサイズ。
魔槍ゲイボルグ。
魔弓イチイバル。
魔槌ミョルニル。
魔楯イージス。
魔鎧アイアス。
そして――魔剣ソウルイーター。
魔心霊装と呼ばれるこれらの七つの武器は、『大罪の悪魔』から魔術を授かった七人の魔女の始祖、その亡骸を利用して製造されたらしい。
そして――彼女達の意識は今も存在している、とも―――。
魔心霊装は今も生きてる。
その製造過程は追々本編で明かす予定です。
まあ、ロクなもんじゃないですけどね。
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