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狭軌最強鉄道伝説~新幹線がない世界~  作者: ムラ松
終章 過去の機関士と未来の運転士
18/20

不思議な俺の記憶

ついに、最終章に突入です!!今回は以前登場したある人々にスポットライトを当ててみたいと思います。

俺には不思議な記憶がいくつかある。それは蒸気機関車を超高速走行させ、脱線させたことだ。俺は鉄道には興味がないからそれが一体どういうものかわからないが今の俺じゃいろいろな意味で不可能なことをやったという記憶がある。むしろ今の自分がやったような気がしない。不思議な記憶はそれだけではない。その蒸気機関車が脱線する時に必死に横にいた若い女の子を抱きかかえ、死にかけたことだ。あとひとつが、この蒸気機関車との話とは関係はないが、太平洋戦争でアメリカの戦艦に零戦で特攻を仕掛けたことだ。そこからどうなったは全くわからない。そして「倉橋優子」という名前が頭に残っている。その人はまったく誰かわからない。俺はその誰かもわからない名前だけが不思議な記憶と共に残っている。

この記憶は小さい頃からずっと残っている記憶である。一体、この記憶の正体はなんだろうか?昔からの疑問だったが、親にも友人にもこのことを話しても「夢でも見てたんじゃないか?」と言われて済まされてしまう。だから俺は今では、夢だと思い込んでいる。だから、この不思議な記憶の正体は未だに謎である。


俺の名前は三浦幹太。その部分を除けば平凡な中学3年生である。

2018年5月の終わり、うちの中学校ではもうすぐ修学旅行。行き先は定番の京都と奈良。班のみんなで行きたいところを決める。その場所決めでうちの班ではこんな案が出た。それは…

「私、京都鉄道博物館行きたい!!」

と、言って、ガイドブックの見開きページのを見せる子がいた。鉄道博物館といことなら鉄道が好きな男子が言うならまだしも、これを言ったのは…女子だ。


彼女は新井優奈。ルックスもいいし、見た目もよし、女子力MAXのクラスの中でもそこそこかわいい女の子だ。しかし、中身を覗くととんでもない奴。とんでもない鉄道好きで高そうなカメラ持ってよく撮影に行ったり、電車に乗りに行っているらしい。

でも、彼女についてはまだ終わらない。母親はJR東日本の特急のアテンダントで父親は300㎞/hで走る列車を開発した技術者。また親戚類もJR東日本や国鉄で超特急の運転士やっていたり、昭和30年代に当時世界最速の265㎞/hを出したとかなどなど、異名な記録を保持しているらしい。


この意見を聞いて班のみんなは唖然としていたが

「まぁ、先生に聞いていいって言うなら行ってみようか。」

俺がうなずく。

「確かにそうだな。」

「電車は知らないけど、新井が言うなら行こうか。」

みんなも賛成する。

「いいの?みんな、ありがとう。」

そう言って新井はにっこり笑った。

まさか、この出来事で俺の運命が変わるとは思いもしなかった。


それから一か月ほど経ち、ついにお楽しみの修学旅行当日。早朝に地元の国立駅に集合する。

「ふあ~。」

俺は大きなあくびをする。

「三浦、眠そうね~。」

横で新井が笑う。

「新井、お前はまったく眠そうじゃないな。」

俺は新井を見た。

「私は始発乗ってよく撮影に行っているから私からすればこんな時間慣れっこよ。」

そう言って新井はまた笑う。


国立から東京まではそれぞれ班ごとに移動する。とか言って、中央線でそのまま行けばいいだけの話だが。

ホームで電車を待っていると白い顔にオレンジの帯の中央線の電車が入線してくる。

「あれはE233系と言って、関東のあちこちで走ってる電車なんだよ~。」

新井がこの電車を見て俺らに説明する。でも電車詳しくない俺にそれを言われてもな…。俺はそう思いながら苦笑いする。


中央線で東京へ向かい、他のクラスメイトと合流し、京都に向かう列車に乗るために先生に引率されホームへ向かう。それから少しして…

「681系じゃん!!」

新井が目を輝かせる。ホームには白い顔にロボットみたいな3つの目をつけたようなライトをつけた列車が入線してくる。

「なんかすごい顔してるな…。」

俺はこの車両を見て呆然とする。すると新井が

「これがお父さんが開発して車両なんだよ~。」

と、言ってドヤ顔をする。

「これがお父さんが作ったやつなのかよ!?」

「すごいね~!!」

「こんなかっこいいやつ作ったのが新井のお父さんか!!」

それを聞いたみんなは驚く。

「この電車は681系と言って、JR西日本とうちのお父さんが務める鉄道総研が共同で開発した車両で、高速度試験で350㎞/hで走行して、当時の世界最高時速を更新した車両なんだよ!!他にもこれの強化版で見た目はほぼ同じの683系というものいるんだよ。」

新井は目をキラキラさせながら言う。

「けっこうすごい車両なんだな。」

俺でも一応こいつがすごいということは伝わった。

「そうだよ!!この車両には他にもたくさんの魅力が…って三浦…。」

俺はにっこり笑って新井の頭をなでた。

「お前、本当に電車好きなんだな。」

「もちろんだよ!!私の家族は代々、超特急や特急の運転士や鉄道関連の仕事してるから、私もその後を追いたいもん!!」

そう言って新井はにっこり笑う。


列車に乗り込み、京都へと向かう。

「すごく速いな…。」

周りの高速で流れる景色を見ながら俺は言う。

「三浦、もしかして超特急は初めて?」

新井が聞く。

「うん。旅行行くとしてもうちは車が多いからな。」

俺はうなずく。

「この列車は超特急のぞみだから最高時速270㎞/hで走って京都まで向かうんだよ~。ちなみに超特急のぞみの一部は京都に止まらないのもあるんだよ~。」

新井が言う。

「本当に電車っていろいろあるんだな~。」

俺はそう言ってまた窓の景色を見る。


東京を出て2時間ぐらいして京都に到着。ここからバスで奈良へ向かう。この日は奈良で観光をして、京都のホテルに行って1日目は終了となった。

そして2日目。この日は班別自由行動となった。午前中は京都のお寺や観光地などをまわって、そして午後は…

「京都鉄道博物館に来たぞ~!!」

新井が両手を空に掲げる。新井が一番楽しみにしていた梅小路公園内にある京都鉄道博物館に来ている。

入場券を買って館内に入る。館内に入ると…

「見たことない電車ばかりだな…。」

目の前には蒸気機関車とオレンジと緑のツートンの色の電車と歴史の教科書だかで見覚えのあるボンネットの顔に赤とクリーム色の車体の電車がいた。

「左からC62型蒸気機関車、80系電車、そして181系特急型電車ね。」

新井が説明する。

「一番右の電車は歴史の教科書で見たことあるな…。」

班員の1人が言う。

「あれが当時世界最速のスピード256㎞/hを出した181系。日本の高度経済成長期の象徴とも言われる列車だよ~。日本で初めての250㎞/hも出す電車として有名なんだよ!!」

確かに、「日本の高度経済成長期の象徴」として歴史の教科書に載ってたな。

「これがお前のおじいちゃんだかが運転してた電車か?」

俺が聞く。新井のおじいちゃんは昔、超特急を運転していたらしい。

「そうなんだよ!!私が生まれるかなり前に運転士やめちゃったらしいけど、お母さんが言うにはすごくかっこよかったらしいよ!!」

この時の新井の目はいつもの何倍にも輝いていた。本当にこいつ、鉄道が大好きなんだな。

その時、俺の頭の中にはまったく誰ともわからない女の子の笑顔が思い浮かんだ。どこか新井に似ている部分がある。でもこの笑顔、見たことがある。しかしこれは今の俺が見た笑顔ではない。これは俺の不思議な記憶と関係しているのか…?


本館に入る前にもいくつか車両があって、新井が班員にその車両についてひとつひとつ説明する。そして館内に入ると…

「あれ、これ、昨日乗った電車じゃん。」

目の前には昨日、京都まで乗った車両が。

「ここの博物館には681系が展示されてるんだよ~。」

新井が言う。

「なんでこんな、現役車両を博物館に置けるんだ?」

俺が聞く。

「それはこの681系は昨日乗ったやつとはちょっと違うんだよ~。」

そう言って新井は細い目で俺ら班員を見た。

「でも、見た目は変わらなそうだけど…。」

班員が車両を見ながら言う。

「まぁ、普通の人から言わせればそうなるよね。この車両は681系900番台と言って、681系の試作車なんだよ。」

「試作車?」

俺ら班員は首をかしげる。

「試作車というのは、新しい電車を作るときに実際にどんな性能が出るかを試して、少しダメなところがあったりしたらそこを改善して、量産車、つまり、試作車のデータを生かした車両をたくさん作るんだよ。」

「なるほどね~。」

俺ら班員はうなずく。

「試作車ってことはこの車両で350㎞/h出したってことか?」

俺が聞く。

「そうだよ~。お父さんはこの車両を使ってあらゆる試験を行ってたみたいだよ。」

新井は車体をなでた。

「すごいな!!」

「本当にすごいものを展示してるか~。」

「てか、その車両を開発した人の娘が目の前にいるのか…。」

俺が言うと

「確かに…」

「これもこれで…」

班員は唖然とする。

「だから私のお父さんはすごいんだぞ~!!」

新井はドヤ顔する。

「あ~それはすごいな~。」

「すごいすごい。」

それを聞いて俺ら班員は苦笑いする。

「それでなんでこの車両がこの博物館にいるんだ?」

俺は首をかしげる。

「あ、その話だったね。この車両は高速度試験以外にも、JRでは一番キツイ勾配がある群馬県と長野県の間にある碓氷峠を補助機関車なしで超えたりしたんだよ。ちなみに補助機関車は坂を登るのを補助する機関車なんだけど、681系はそれなしで登ったんだよ。他にも東北や北海道の雪対策の試験に使ったり、すれ違い列車との風圧の関係とかいろんな試験に使ったみたい。そこから営業運転に出したから他の量産車と比べたら機器類の老朽化は著しくて、一足早くに廃車になったの。それで今、ここにいるの。」

新井が説明する。

「なるほどな~。」

俺らはそれを聞いてうなずくが半分理解できていない模様。


展示物はもちろんこれだけではない。昔の鉄道関係のものや車両がたくさん展示されている。

ということで俺らは現在、「鉄道のあゆみ」という鉄道の歴史のコーナーにいる。

「こんなに鉄道の歴史って深いんだな…。」

俺は資料や説明文ひとつひとつに目を通した。鉄道に詳しくない俺でもものすごく理解できてわかりやすい。やっぱり歴史って興味深いな…。

鉄道初期の頃から歴史を遡ってきたが、俺はある時代のところで足が止まった。

「この制服にこの車両の模型にポスター、どこかで見たような…。」

その時代とは昭和初期。展示の題名には大きく「鉄道の黄金期」とか書かれていた。そして、模型の列車。俺はこれをリアルで見たような記憶が…。それにこの制服も来たことがあるような…。

「特急富士…特急燕に櫻…。」

どこかで聞いたことがあるし、なんかおかしい。すると脳裏にまたあの脱線した時のことが蘇る。まさか、特急富士って…。でもよくわからない。これは一体何なんだ?

「さっきからブツブツどうしたの?」

新井が横からのぞき込む。

「いや、なんかこの特急の名前、聞いたことがある気がしてな…。」

俺は半笑いする。

「ふ~ん。」

新井はうなずきながら俺の顔を見る。なにか察されたような…。

「ど、どうしたんだ?」

なぜか知らないが俺は全身汗だらけだった。

「意外だな~と思ってね。」

「意外?」

俺は首をかしげる。

「電車知らなそうな三浦がそんな特急の名前知ってるから。」

「そ、そうか?」

「そうだね~。まぁつばめも富士もさくらもみんな現役の特急だったり寝台特急だからね~。」

新井はそう言って次の場所へ向かおうとする。

「そ、そうか…。」

俺は少しそこに立ち尽くしてから新井についていく。やっぱりこの車両に特急の名前に、どこかで聞いたことがあるし見たことがる。これは一体なんだろうな…。俺の謎は深まるばかりだ。


次の時代は昭和初期ということで次は第二次世界大戦と戦後について。

「このポスター…。」

俺は目の前の戦時中のポスターに釘付けになる。

「このポスター知ってるか?」

班員の1人が俺に聞く。

「なんかどこかで見たことがある記憶があってな。」

「たぶん、ドラマとかで見たんじゃね?」

「あ、そっか!!」

俺はそれだという顔をする。

「どうしたんだよ?」

「やっぱり、ドラマで見ただけか。」

「まぁ、そうだろうな。」

と言って、その班員はその場を去る。

この記憶、全て、ドラマで見たことが夢と混じったのか!!なんか心の霧が晴れた気がした。それを思ったのも束の間、俺の脳裏には…

『両士さ~ん!!気を付けて~!!』

自分が乗り込んだ列車に向かって駅で、赤ちゃんをおんぶした女の人が手を振っている姿が蘇る。やっぱりこの記憶はなんだ…?


この後もいろいろな場所を見て回った。いろいろな展示物があってひとつひとつ、新井が解説してくれる。なんか新井もすごいけど、この場所もすごいな…。

そして本館の隣にはたくさんの蒸気機関車が置いてある車庫が。

「ここすごいな~!!」

俺はまわりを見回す。

「扇形庫って言って、あの真ん中のターンテーブルで位置を変えて蒸気機関車を出し入れするんだよ!!やっぱりいつ見ても圧巻だな~。」

新井が言う。なんか似たような景色を見たことがあるな…。

俺らはこの扇形庫を見て回る。その時、俺は、1両の蒸気機関車が目に入った。

「C5345…。」

説明欄を見ると「C53型蒸気機関車」と書かれていた。

「この蒸気機関車、見覚えが…これ、運転したことがあるような…。」

「また、何、ブツブツ言ってるのよ。」

新井が俺を突っつく。

「いや、何でも…。こいつの運転室って入れるかな?」

「あそこの階段から入れるんじゃない?」

新井は奥の階段を指さす。

「ほんとだ。」

俺はそう言って、そこへ向かった。

そして階段を登り、運転室に入り、俺は左にある運転席に座った。

「この景色、この姿勢…。」

俺はそう呟いてその窓をのぞき込む。すると脳裏に…

ボー!!シュッシュッシュッ…

この蒸気機関車と一緒に高速でどこか見覚えのある地方都市を駆け抜ける姿が思い浮かぶ。そして、横を見ると石炭を釜に焚べる女の子の姿が。俺はその姿を見てとっさに…

「倉橋、スピードもう少し上げるから石炭の量増やしてくれ!!」

そう叫んでしまった。

「三浦、何言ってるの?」

「うわっ!!」

ふと我に返って横を見るとジト目で俺を見る新井がいた。

「何?この席に座って機関士になったつもり?」

新井はクスクス笑う。

「別に…なんでもないよ!!」

俺はそう言ってこの場をあとにする。

何かおかしい。見たことがないのに、なぜかどこかで見たような記憶がある。本当に一体これは何なんだ…?

(続く…)

このお話では初めての鉄道を知らない主人公を出してみましたがどうでしたか?

次回は不思議な記憶の正体を探っていきたいと思います!!

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