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守るべき存在、失われる世界  作者: 上月 佑幸
クリスティア編
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クルトの見世物

 クリスティアは約束通り馬小屋で向かうと、既にそこには一頭の白い馬を撫でる魔王の姿があった。

 城下の女性陣からアルベールの噂をよく耳にし、その多く振り向くであろう完成しつくされた容姿。

 その女性達の貴公子とも呼ばれるアルベールが白馬と並ぶだけで芸術的な絵となる。

「……」

 その芸術的価値を目の前にし、普段接しているクリスティアも頬を薄く染め、瞳は次第に潤み熱にうなされるような甘い溜息をついてしまう。

「む、クリスイティアか此方は既に……準備が……。クリスティアよ顔が赤いが熱でもあるのではないか?」

 心配そうな表情を浮かべ、ゆっくりと近づきまじまじと瞳を覗き込むと、ようやく我に返り素っ頓狂な声を上げ一歩大きく後退する。

「あっ、アルベール君!? どうしたの?」

「どうしたのは我が言いたいのだがな。何やら頬が赤く瞳が潤んでいたので、具合でも悪いのかと思ったのだが」

「ううん、大丈夫。ちょっとボーッとしちゃっただけだから。それより、その馬は?」

「うむ、今日1日だけ借りたのだ。これから少し遠出するのでな、その為には足が必要なのだよ」

 アルベールが手を掲げると、白馬は嬉々とした様子で足軽くアルベールの下に来ては頭を垂れる。

「先程からこのようになつかれてしまってな」

 仕方のない子だというように差し出された頭をゆっくりと撫でる。

 だが、アルベールにはその温もりも質感も感覚することができ無い。あくまで、魔力の膜を介して擬似的に触れているだけなので、力加減というものが分からない。

「遠出ってどこまで行くの?」

「ふむ、これといって特には決めてはいないな」

「遅くなりすぎない程度にしようね」

 アルベールがコクリと頷いたタイミングで背後に何者かの気配を感じ振り返る。

「クリスティアが留守の間は俺に任せておけばいいよ」

「うわぁ!?」

 振り返れば、自身と全く同じ容姿をし聖女としての聖衣を纏ったクリスティア自身が立っていた。

「わわわわ、何で私がもう1人!? まさか、邪神が……!?」

 眼を回しながら混乱しパニックに陥るクリスティアの頭を聖衣を纏ったクリスティアが軽くチョップし落ち着かせる。

「落ち着けクリスティア、俺だよ」

 そう言って指を鳴らすと聖衣の方のクリスティアの全身は白く発光し、目の前に第2魔王クルト・ティアーズが姿を現した。

「ど……どうなってるの?」

「驚かせたのは悪かった。でも、想像以上の反応で逆にこっちが焦ったよ。今のは、まぁ変身だよ」

「ほぅ、クルトにその様な芸が出来るとは知らなかったな」 

「芸って言うなよ。これは立派な因果創神器の力なんだぞ」

 そういって見せたのは、先程指を鳴らした中指に嵌められた指輪。

「これはね、ディル ファージル(回避の指輪)と言ってね、自身の記憶にある人物のそっくりさんになれる指輪なんだよ」

 試しにともう一度指を鳴らすとまたもやクルトは白く発光し、今度はシン・リードハルトの姿になる。

「俺は咎を嘆く者シン・リードハルトだっ! ふふふ、これ一回でいいから言ってみたかったんだよな」

「凄く似てました!」

 可笑しそうに笑いながら拍手を送るとシンの姿をしたクルトは悪ふざけなのか、次には第6魔王シオン・トレヴァリオンの姿へと変わり、女の子のような可愛らしいポーズを取り始める。

「わわわわわわ……シオン君のこんな姿が見れるなんて」

 若干興奮気味のクリスティアにシオン……に変身したクルトは最後にアルベールの腕に抱きつき上目遣いで頬を紅潮させる。

「お兄ちゃん! もっとシオンと遊んでよぉ」

「流石にそれは……くく」

 アルベールはその熱い視線から逃れるように顔ごと背け笑いをこらえる。

「ねぇねぇ! お兄ちゃ……うん?」

 アルベールに抱きつくシオンに変装したクルトの肩に手が置かれる。

 それはもちろん少し離れた所で引きつった表情を浮かべるクリスティアの物ではない。

 では、誰がと振り返る。

「テ……メェ、そんなに遊んで欲しけりゃ俺が徹底的に付き合ってやろうか、あァ?」

 背後には眉をヒクつかせながら無理やり何かを押し殺したような声で不気味に笑うシオンがいた。

「なんだシオンか。今面白いところなんだから邪魔しないでくれるか」

「俺の顔で何やら楽しそうな事やってんじゃねぇかよクルト。ってことでだ少しツラ貸せよ」

 シオンはそのままシオンを引きずってどこかに消えてしまった。

「うむ、中々に楽しい見せ物であったな」

「えっと、その……クルトさん大丈夫なんですか?」

「まぁ、問題はないだろう。さて、そろそろ行くか」

 アルベールは白馬に飛び乗り、そのしなやかな手をクリスティアに差し伸べ、手を取り後ろに座らされる。

「クリスティアしっかりと我に捕まっているのだぞ」

「うん! 大丈夫」

 2人はそのまま城下を駆け、正門を潜り国を出る。

こんばんは上月です。

雷が凄いですね! なんだか、興奮してきちゃいますよ(((o(*゜▽゜*)o)))

そんな訳で最新話を投稿です。

次回は白馬に乗った2人のデートの続きとなります。しばらく日常パートが続きますがどうぞよろしくお願いします。

次の投稿は7月17日の日曜日です

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