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守るべき存在、失われる世界  作者: 上月 佑幸
クリスティア編
53/90

聖域という場所

 クリスティアはフィールでの会談が終わり、時間も夜遅くなってしまい1日イスに座りっぱなしで凝った肩や背をほぐすべく室内に取り付けられた小さい浴槽に浸かり、至福の一時を過ごしていた。

「会議も終わりましたし、明日の午前中は城下でお買い物をして午後にはフィールを発とうかな」

 全身が暖まり凝った肩を揉んでいると、不意にあの染まらぬ純白の世界と自身と同じ声をする存在が脳裏を過ぎる。

「今日もまたあの夢を見なくちゃいけないの?」

 寝る事への恐怖は日に日に増していき、夜は彼女にとって憂鬱な時間になっていた。お陰で最近では寝不足からか意識がボーッとしていたりすることも多々あり、仕事にもミスが見受けられることもしばしば。

「ただの夢……だよね? 私は世界なんて壊したくない」

 果たして本当にそうだろうかとクリスティアは自問する。真我では破壊と虐殺を望んでいるのではないかと不安になる。折角気分よく入浴していたのだが、次第に表情は曇っていき重い溜息を吐き出す。

「もう、出よう」

 風呂から上がり寝巻きに着替え、ベッドに腰を降ろし髪を乾かし、後は眠むるだけ。

 そう、眠るだけなのだ。ベッドに横になり瞳を伏せて、意識を微睡みに抱かせ1日を終わらせる。

「嫌だ……もう、いや」

 タオルで髪を乾かす手が止まり、込み上げてくるどうしようもない気持ちに涙が溢れ嗚咽を漏らす。タオルをそのまま自身の顔に押し付け涙を拭き、身体を震わせる。

 普段は悟られないようにと笑顔を振りまいていたが、それもそろそろ限界だった。多忙な毎日でありながら眠る事を恐れなるべく寝ないようにと睡眠時間を削っていき、クリスティアの精神は擦り切れ寸前だった。それでも、何とか頑張ってこれたのは愛する民の為であり、仲間が支えてくれていたからだった。

 もう十分頑張ったよねと無意識に自身に言い聞かせ、タオルから顔を上げて簡易キッチンに眼を向けると、薄暗い中で鋭利に光る調理包丁が目に入る。

「そんなのダメだよ……」

 脳裏に描いてしまった鮮血の色を頭を振って打ち消し、気持ちを落ち着かせようと窓を開ける。

 涼し夜風がカーテンを緩くなびかせて、クリスティアの身体を吹き抜けていく。

「うん、ただちょっと疲れてるだけだけなんだよね。少し休息すれば変な幻聴も夢も見なくなる……よね?」

 帰国したら少しの間だけ休息しようと。ちょっと休めあ大丈夫だと気分を入れ替え、暗い思考を振り切り休暇を何して過ごそうかと楽しい思考へ切り替える。

「それまでの辛抱です。そうすればもう怖い夢なんて見ることはないですよね」

 少しだけ元気が出てきた所で、布団に身を潜らせて瞳を閉じ睡魔に任せて意識を微睡みに包ませる。



 中央教会主城のテラスにてアルベールは星を見上げていた。

 一面の暗闇に輝く小さな煌き達。

 良案が浮かばず、考えに行き詰まってしまったアルベールは気分転換にと夜空を眺めにテラスへ訪れていた。だが、そこには既に先客がいて今はその者と共に何も語らずに夜空へと視線を向けている。

 今日の出来事は不可解な事ばかりで少々混乱していたのかもしれないと、星を眺めていたら焦りも若干だが和らぎ、少し心に余裕が生まれてきた。

「この夜空とっても綺麗じゃないかしら?」

「うむ、確かにな。だが、意外だな貴公が星を眺める趣味を持っていたとは少々驚きだよリリアン」

「あら、そうかしらぁ? 私だって星を見たくなる時もあるわよ。まぁ、時々なんだけどねぇ。それより、アルベールは一体何を悩んでいるのかしら?」

 艶やかな蒲萄色の長髪を風に揺らしながら、妖しげな色気を纏う瞳をアルベールに向ける。

「さて、何のことだ?」

「ふふふ、本当アルベールは隠し事は苦手よねぇ。さては、あの娘の事かしら」

 全てお見通しだと言わんばかりに眼を細め愉快そうに微笑む。

 この妖艶な表情を目にした男はきっとコロリと財を投げ打ってでも彼女の犬に成り下がるだろう。それほどまでに彼女の美貌や仕草、そして纏う色香は異性に対して絶大な効果を発揮する。これまでに皆の知らぬ所で何人の男を泣かせてきたのだろうかと溜息を吐きたくなる。

 そんな彼女の色香もアルベールには通じず、澄んだ翡翠色の瞳で見つめ返す。

「出来ればクルトに話しを持ちかけたいのだが、姿を見ないのでな」

「あら、クルトだったら聖域に行っているわよぉ~。何か探し物をしてくるみたいな事を行っていたような気がするけど、一体何なのかしらねぇ」

「聖域……」

 確かにあそこはこの世界にあって特異な空間だった。

 もしかするとあの場所にならクリスティアという邪神についての何か手がかりがあるのかもしれない。それをいち速く感づいたクルトは聖域に趣いて調べているのであれば、1人より2人の方が効率が良いと考えに至り、リリアンに礼を述べ、アルベールは背に銀の大翼を発生させ上空高く舞い上がり、聖域を目指して飛翔する。

 その姿をテラスから見上げ見送っているリリアンはまたも愉快そうに微笑む。

「私は"次の為"に備えておこうかしら」

 ステラはそのまま踵を返し城内に姿を眩ます。

こんばんは、上月です。

 今週……というより昨日の夕方くらいから頭痛が酷く、今も変わらずに痛みが強いです。

申し訳ありませんが、次の投稿は3日後の6月9日になります。

 次の話しでは聖域でクルトと合流し手がかりを散策する話ですので、よろしくお願いします。

((´д`))

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