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北門臨時倉庫の処理済みは、冬火の到達を閉じられません

配送控えの端には、父エルンストの印が押されていた。


北門臨時倉庫、処理済み。


きれいな言葉だった。乾いた朱肉で、誰も痛まないように見える。けれど私は、その一行を読んだ瞬間、ミラの夜薬の湯気が途中で消える音を思い出した。


「リディア様、処理済みなら、もう大釜は戻らないのでしょうか」


施療院の見習いが、薪棚の前で小さく聞いた。薪は残り少ない。今夜の薬粥、明朝の粥、包帯を煮る湯。三つを同じ火で回すには、大釜か、それに代わる深い鍋が要る。


「処理済みは、到着したという意味ではありません」


私は配送控えを調理台に置き、横に三枚の木札を並べた。


一枚目。ミラ、夜薬、冷めないこと。

二枚目。夜番縫い子二名、帰院後の粥、午前三刻。

三枚目。薬棚洗浄湯、包帯煮沸、明朝まで。


「これは、北門臨時倉庫という箱へ入っただけです。誰の火に届いたか、誰が食べられたか、どの棚が乾いたか。その欄が空白です」


王宮厨房監督官セレスティア様は、母の料理帳を抱えたまま眉をひそめた。


「伯爵家側は、処理済みとして晩餐会会計から外したいのでしょう」


「はい。けれど、外すなら生活到着条件が必要です」


父がよく使った言い方があった。台所の物は家の物だ。誰が使っても同じだ。だから私の名はいらない。


その言葉で、母の料理帳も、台所の鍵も、火を見ていた私の朝も消されそうになった。


私は消えなかった欄を指で押さえる。


「処理済みを四つに割ります。物が倉庫に入った。火に届いた。食べる人へ届いた。使った人が帰って確認した。この四つが閉じるまで、処理済みにできません」


私はさらに、鍋の底に残った煤を布でぬぐった。黒い跡は、火の強さを覚えている。伯爵家の台所では、母がいつもそこを見ていた。肉の見栄えではなく、病人の粥を焦がさない火かどうか。王宮の皿に乗る飾りではなく、夜に戻る人の腹へ落ちる温かさかどうか。


「大釜が倉庫に入っただけなら、火はまだここへ来ていません。薪を何本節約できたかも、夜薬が何分遅れたかも、会計の文字には出ません。でも、ミラの喉は冷たい薬を飲めません」


ミラは寝台の上で、木札を胸に抱えたまま私を見ていた。声を出すと咳が出るので、彼女は小さくうなずくだけだった。


「そんな細かいことを、王宮会計が読むでしょうか」


「読ませます。読まないなら、読まないという札を残します」


私は青い紙を切り、配送控えの上へ重ねた。


未完了。冬火到達欄なし。夜薬一名、粥二椀、包帯湯一回、未確認。


その横に、もう一枚の小札を置く。


倉庫到着済み。生活到着未了。処理済み使用禁止。


「ここで止めれば、伯爵家の会計はきれいに閉じません。けれど、閉じないからこそ、今夜の火が盗まれたままになりません」


見習いが息をのんだ。


「未完了にしたら、伯爵家に怒られませんか」


「怒られるのは、火が届いたふりをした印です」


私は小竈に細い薪を足した。ぱち、と小さな音がして、湯の表面が揺れる。


大釜はまだ戻っていない。けれど、セレスティア様が王宮厨房の予備鍋貸与札を一枚出してくれた。


「王宮小竈用、深鍋一基。用途は?」


「北門施療院、夜薬と明朝粥。晩餐会補填ではありません」


私はそう書き、見習いに筆を渡した。


「あなたの名も書いてください。誰が火を見たかが、明日の薬棚を守ります」


見習いは震える字で、自分の名を書いた。ミラの薬湯は冷めずに済んだ。夜番から戻った二人は、雨で濡れた肩をさすりながらも、温かい粥を受け取れた。包帯鍋にはまだ湯が足りないが、少なくとも今夜の一回分は煮られる。


小さな報酬だった。


伯爵家の大釜も、父の印も、まだ倉庫の奥にある。けれど処理済みという言葉は、もう誰の体温も閉じられない。


セレスティア様が配送控えを裏返した。


「リディアさん。ここに、もう一つ番号があります」


薄い帳簿写しに、同じ父の印。


北門臨時倉庫、一括整理済み。対象、料理帳付属品および旧台所係携行品。


私の古い前掛けと、母が使っていた小さな計量匙まで、処理済みの束に入れられていた。

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